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空の境界

 空の境界とは、2007年10月から2009年8月8日までの期間、都内を中心とした一部の映画館で上映された連作アニメーション映画です。全七章。今作は同名小説(著者は奈須きのこ)が先に発売されており、原作では小説ならではともいえるクドい文章表現が多かったことから、どのように映像化されるのかファンの中でも話題を呼びました(少なくとも、私の中では)。また、かなり偶然のタイミングだったんですが、最近年明けに最終章を追加したBD-BOXが発売されることが発表され、それとは別に近々漫画化もされるとのことです

 私は原作小説を既読の状態で映画を観ました。今作はかなりの部分で原作を忠実に再現したようで、そのためストーリー面では特別目新しさを感じませんでした(といっても、発売直後に一読してから再読していないこともあり、途中はかなりうろ覚えでしたが……)が、映像ならではの直死の魔眼の表現や、独特な世界観を始めとした魅力的なキャラクター作りなど、内容を知っているにも関わらず、ほとんど中だるみせず一気に楽しませてもらいました。特に、主題歌の使い方はとても上手で、最初にobliviousが流れたときは思わず鳥肌が立ちました。

 なるべく短めに各章の感想を書きます。一部ネタバレを含みますので、未視聴の方はご注意ください。

 一章『俯瞰風景』。静かで地味、という印象です。わかっていましたが、前半はあまり動きがない話なので、特に映像栄えしませんでした。中盤までは橙子の説明口調のおかげもあり、かなりだれを感じます。しかし、中盤以降式が行動を開始してから一気に緊迫感が出てきて、比例するように速く時間が過ぎていきました。戦闘シーンは一瞬で終わってしまいますが、壮大な主題歌の演出もあり、鳥肌ものでした。死線の表現は幻想的でかなり好みです。

 これは少し余談になりますが、空の境界は秀逸な伝奇的設定や濃密に作り上げられた世界観と、そこに登場するキャラクターたちが大変魅力的だということが挙げられます。私が空の境界でもっとも惹きつけられた部分は、どちらかといえばキャラクター、特に主人公である式その人の魅力でした。ですので、今回映画を観るにあたっては、式をどのように表現するのかかなり気になっていましたが、一章を観た感想としては、原作を読んでいたときにイメージしていたものよりもかわいい女の子っぽい感じだった、といったところです。やはり声がついたことが大きいかと思います(演技が下手、合ってないという意味ではないです)。最初は少し戸惑いがありましたが、すぐ慣れました。それ以外の部分としては、式の叙述トリックが味わえないのは少しもったいないと感じました。さすがにこの映像を見て式を男だと思う人はあまりいないでしょうし、今となっては一人称がオレの女性キャラクターにもそこまで違和感がないと思います。

 二章『殺人考察(前)』。主人公の式が二重人格だった頃の話で、男性人格の識(式は女性人格)とヒロインの幹也(男)がいちゃつく話です(違います)。ウィンドウショッピングをしているときにくるくる回る識がとてもかわいいです。なお、設定上、ここでの両義式は一応男です。でもかわいいです。

 三章『痛覚残留』。異能力バトルの真骨頂。エスパーVSジョーカー。念力で全てを捻じ曲げる藤乃と、視えるものなら何でも殺せる式との戦いです。式は念力すら殺してしまうので、特に反則に近い能力を持ってますが、藤乃は藤乃で最後に千里眼にも目覚めてしまうので、どっちもどっちですね。ちなみに、式がなんでも殺せるのは直視の魔眼というもののおかげで、この設定についてはここで初めて触れられていますが、原作を読んでいない人はここの話だけでついていけるのかちょっと不安です。あとは、藤乃はイメージ通りエロかったです。

 四章『伽藍の洞』。Interlude。式が入院していたときの話。三章とはうってかわって、全体的に落ち着いた展開です。いちおう戦闘シーンもありますが、そこまで盛り上がらなかった。話の展開上、どこかしらに必要な場面ですが、地味めの話だと思います。

 五章『矛盾螺旋』。式VS黒幕。意欲作です。空の境界という作品は、全体的に内容を掴みづらいという性質がありますが、そんな中でも五章は特に把握しづらい内容だと思います。原作でもそうであったと記憶してますが、断片的なシーンがかなり多く、時間軸と視点が複雑に入り乱れているところが特徴的で、話の筋がどうなっているのかわかりにくい。小説を未読で、映画が初見の人には特にわかりにくい話ではないかと思います。私はうろ覚えながらも展開を知っていて、結末もわかっていたので流れのままに視聴できましたが、まっさらな状態でこの話を見ると、出し惜しみをされている感じがしていらいらするかもしれません。

 私としては、全編に渡って式の魅力が惜しみなく描写されていたためとても満足でした。戦闘シーンでポン刀を振り回しながらくるくる回る式はかっこいいし、会話中に布団に包まる式の姿はあざといくらいにかわいい。ギャップ萌え。あと、この章でのみ登場するキャラの『この螺旋が矛盾していたらよかったのに』という台詞は名言だと思います。

 六章『忘却録音』。幹也の妹、鮮花と式がメインの話。鮮花の学校で起きている『妖精に記憶を奪われる』という事件の犯人捜しが主なストーリーです。作品全体の構成からすると、そこまで必要性を感じない話ではありますが、鮮花がかわいいのでOKです。多少、あざといくらい女の子してます。最後のバッチリ!で撃沈しました。空の境界は目を閉じている表情が概ねかわいいですね。

 ストーリーは原作から結構改変されているようで、そこが批判の的になっているみたいですが、残念なことに大筋以外あまり印象になく、詳しく覚えていないです……。

 七章『殺人考察(後)』。黒幕を倒したあとの話。あいまいな境界線が引かれたまま、はっきりしなかった式と幹也の関係に終止符が打たれます。全章の中でも一番長く、また一番好きな話です。この物語はたくさんの装飾(=設定)がありますが、この章を観て、結局今作は式と幹也の物語なのだなと再認識しました。最後に式と幹也が手を握りながら歩いているシーンはとても印象的で、感傷的。

 以上です。原作重視で、派手さな演出やわかりやすさよりも雰囲気作りを優先されており、どちらかといえば原作既読者向けの作品ではありますが、『一見さんお断り』というほどにわかりにくい内容ではないと思いますので、じっくり映像を楽しみたい人にお勧めしたい作品です。全七章503分(Wikiを参照しました)、決して短い時間ではありませんでしたが、充実した時間でした。
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Author:SAIN455
漫画、ラノベ、ゲームなどのネタバレ感想記事を書いています。ネタがあるときはコラムみたいなものも書きます。あとアマゾンアソシエイトに参加してます。以下定型文。「このブログはAmazon.co.jpを宣伝しリンクすることによってサイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイトプログラムである、Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です。」

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