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アサイ 『木根さんの1人でキネマ』 1~4巻 感想

〇雑感
何らかの分野に一家言を持つ人、つまりはオタクであることを自認する人に向けられた作品。本作の主人公・木根さんはシネマホリックで、作中でぶち上げられているのはあくまでも映画鑑賞に対する独自の価値観であり、作品に対する評価や感想が述べられているが、実はそこが物語の本質というわけではない。この作品が表現しようとしているのは、自覚していてもどうにもならないオタクの面倒臭さややるせなさだと思う。自分の好きなもの、素晴らしいと感じているものが、他者とは相容れないことへの哀切を、コミカルかつシニカルに描いている。一緒に映画を観て楽しんでもらえたのであれば、当然今後はずっと同じ話題で盛り上がれると思ったら、決してそうはならないことのままならなさ。それでもどこかにそういう人はいるのではないかと淡い期待を抱いてしまう愚かしさ(当然、そんな人は滅多にいません)。似たようなことで思い当たる節がある人はあるだろうし、ない人はおそらく一度もないだろう。

2巻以降もチクチクと刺さるような内容ばっかり描いていて、苦々しい笑いが浮かんできてしまう。いやほんと……。「有名作品なのになんで見ないの?」と聞かれることの鬱陶しさとか、他人の意見をただ論破するだけの議論に熱中してしまうとか、レビューサイトの影響を受けて啓発されちゃう同僚の話とか、自分で書いたことも忘れてしまったような大昔の文章にブーメランされるとか、その必要もないはずのになぜか媒体で作品を買ってしまうとか、なんかもう木根さん……みたいな同情の気持ちしか浮かんでこない。

幸いにも、自分の一歩後ろ、既に一度経験していることが大半なので(現在進行形もあるが)、かろうじて冷静に読める内容になっているが、もう少し前の自分が手に取っていたら、顔真っ赤になって全否定していたかもしれない。そういう意味で、稀有な作品ではある。

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