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宮城谷昌光 『孟嘗君』 感想

〇雑感

 理想にむかって人は努力をつみかさねてゆく。理想が完全に具現化することはないとわかっていても、その努力が尊いことはいうをまたない。


『太公望』と同じくらい面白かった。全5冊もあるのに、ほとんど休憩することなく一気に読み終えてしまった。ただし、『太公望』とは違い、こちらには一つ大きな欠点がある。タイトルの『孟嘗君』とは、春秋戦国時代末期(まさしく漫画『キングダム』の時代)の戦国四君として名高い公子・田文のことであるが、タイトルどおりに太公望のことをひたすら書き続けた『太公望』とは違って、今作では孟嘗君のことはほとんど書かれていない、というところである。1~3巻の孟嘗君は何も知らない子どもで、物語にはほとんど絡んでこず、主役を張るのはその庇護者である好漢・風洪――のちの白圭である。キングダムで名前が出てきた孟嘗君とはどのような人物だったのか、ということを知る手がかりとして手に取った身としては、半ば詐欺にあったような気分だった。

困ったところは、その白圭が織りなす大河物語が、途中から孟嘗君のことがどうでもよくなってしまうほどに面白いというところである。著者の作品のほとんどに共通することかもしれないが、白圭の人物像は大変魅力的で、彼の思想や成さんとすることに惹き付けられてやまず、夢中になって読みふけってしまった。適度に挿話される蘊蓄が作品をより高尚なものにしていて、大変含蓄のある文章なのにそれでいて大変読みやすいというから頭が下がる。

終盤からは主役が孟嘗君に移っていくものの、濃厚に残った白圭の気配は消しきれず、いま白圭は何を思い、何をしているのか、といったことの方が気にかかってしまうくらい、完全に白圭にキャラを食われてしまっていた。孟嘗君の凄みや偉大さについては、この後の時代を描いている『楽毅』や『奇貨居くべし』の方がむしろ詳しい。ともあれ、当初の想定とは全く違う読後感となってしまい、孟嘗君のことはほとんど頭に残らなかったものの、とても面白い物語であったことに違いはない。

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SAIN455

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漫画、ラノベ、ゲームなどのネタバレ感想記事を書いています。ネタがあるときはコラムみたいなものも書きます。あとアマゾンアソシエイトに参加してます。以下定型文。「このブログはAmazon.co.jpを宣伝しリンクすることによってサイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイトプログラムである、Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です。」

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