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小川一水 『時砂の王』 感想

〇雑感
著者の名前は聞いたことはあったものの、なかなか縁がなく、これまで触れる機会に恵まれなかったが、ようやく読むことができた。SFとして手堅くまとまったストーリー重視の作品で、小粒ながらもなかなかよかった。少し淡々としているところもあるが、部分部分では情熱的な部分もあり、熱し過ぎず冷め過ぎず、バランス感覚が優れている。ただ、欲を言えば、もう少し尺か欲しかった。主人公のオーヴィルが魅力的だったこともあり、彼の姿をもう少し見ていたかった。

概要。遥か未来の時代に生まれた人工的な知性体・オーヴィルが、時間遡行を繰り返して敵性機械生命体を殲滅し続け、滅亡に向かう人類の歴史を救う、というタイムリープ+歴史改変もの。長い戦いの果てにオーヴィルがやってきたのは弥生時代で、現地人からの協力を得て最後の戦いに挑む、というのが大筋となる。弥生時代が舞台ということで、日本史でお馴染みの卑弥呼が出てきて、オーヴィルのパートナーとなり、彼に淡い想いを寄せたりするが、実は彼女の存在はそこまで本筋とは関係ない。著名な人物を出した方が作品に馴染みやすいと思ったから登場させたということなのか、卑弥呼が出てくる必然性は感じなかった。どちらかといえば、今作の見どころはオーヴィルの生き様のほうにあると思う。

オーヴィルにはかつて愛した女性が存在したが、歴史を変え続けることで元居た自分の時代の存在は歴史から抹消され、彼がどれほど尽力し、どのような結果を出そうとも、彼女の下には二度と帰れないということだけは、最初からわかっている。彼が人類を救うために戦いつづげるのは、いったい誰のためなのか。理由など知りようもないまま、オーヴィルは最後まで戦い続ける、という極めて救いのないプロットになっている。何千年もの間戦いを続けてきたオーヴィルは、心身から疲れ切っているが、それでも最初の目的を果たすために戦い続ける。まさしくハードボイルドと言えるような彼の生き様は読んでいて心地よい。

ただ、オーヴィルの戦いはその大半が省略されてしまっていて、彼がどのような経験を積み重ねてきたのかはほとんど語られておらず、読者の想像に委ねられてしまっている。大事なことは書かれているが、説得力を持たせるだけの分量が不足していて、オーヴィルの心境を語り切れていない、というのが実感である。特に恋愛周りの描写については物足りなさが際立った。なので、もうちょっとボリュームが欲しかった。

ともあれ、文章がかなり読みやすかったのと、ストーリーの作り方も好みだったのは間違いないので、またそのうち他の著作も読んでみたいところ。

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漫画、ラノベ、ゲームなどのネタバレ感想記事を書いています。ネタがあるときはコラムみたいなものも書きます。あとアマゾンアソシエイトに参加してます。以下定型文。「このブログはAmazon.co.jpを宣伝しリンクすることによってサイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイトプログラムである、Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です。」

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