PS3用アクションRPG 『ニーア レプリカント』 感想

〇前書き
シナリオが気になってPS3版を買ったはいいものの、ワールドマップの移動がだるすぎて途中で投げてしまい、積みっぱなしになってしまっていた作品の一つです。当時の自分には、正真正銘のお使いクエストがあまりにも億劫すぎました。放置から早数年が過ぎましたが、最近発売されたオートマタの好評さが気にかかり、そっちがやりたくなってしまったので、意を決して消化しました。10年以上前にやったっきりのDOD(ドラッグ・オン・ドラグーン。ニーアレプリカントと開発が同じで、ダークファンタジーテイストのA・RPG)もそうだったんですが、ゲームシステムそのものはあまり私の肌に合っていないというか、どちらかと言えばシナリオを見るために手を出した部分が大きいので、ゲーム性についてはノータッチの感想となっています。泣き言になりますが、ぶっちゃけ3Dアクションがあまり得意ではないので、難易度を上げれば難しくてクリアできないし、かといって難易度を下げればぬるすぎて単調だし、というどうにもならないジレンマがあります。


〇ストーリー・裏設定のネタバレ感想
やる前は全然知りませんでしたが、この「ニーア レプリカント」はDODのEエンド、いわゆる新宿エンド後(DOD主人公「カイム」とその相棒のドラゴン「アンヘル」がなんやかんやして異世界ワープして現代社会にやってくるエンディング。DODはマルチエンディングになっており、Eエンドというのはその中の一つです)の世界が舞台となっていて、本編の物語はそこからおよそ1500年後の時代を起点としてスタートしています。最初はビルディング立ち並ぶ現代的な風景の中で異形の敵と戦っていたのに、なんでいきなりファンタジーテイストあふれる中世世界が舞台になってしまったのか、プレイ当初はもちろん全くよくわかっていませんでしたが、そもそも最初とそのあとでは時代が全く違うわけですね。

正直、あまりのスケールのでかさに笑うしかないんですが、もちろん膨大な時間の隔絶にもしっかりとした理由があります。カイムらDOD世界の人間が現れたことで、現代社会には体が塩になって崩壊する奇病「白塩化症候群」が蔓延し、人類滅亡まったなしの破滅シナリオが発動してしまうことになりました。当代の権力者なり研究者なりは、対抗措置として人類の魂と肉体を分離させ種を保存させることを決意(この辺が超展開)。このうち、魂だけの霊体的な存在となった人類がゲシュタルト体で、魂が抜けて肉体だけの状態になったものがレプリカント体です。レプリカントという何となく言葉から想像できるように、レプリカントはゲシュタルトに紐づいて生成される人間もどきであり、おおむねクローン体のようなものです。このレプリカントについては製造方法、肉体機能、運用方法に関する疑問があるのですが、とりあえず当時の人々は世界から白塩化症候群の元凶が駆除されて、人が生きていけるような世界が戻ってきたら、分離させた魂と肉体を再融合させ人間社会を復活させようじゃないか、という途方もない計画を立ち上げ、そして実行してしまいます。

実際に1000年かけて白塩化症候群という奇病は根絶されますが、誤算だったのは1000年もの時間の歩みが当初想定していなかった(と言いきってしまっていいのかどうかは微妙ですが)レプリカントの自我の萌芽という想定外のエラーを生んでしまい、レプリカントと統合しようと思ってもうまくいかなくなってしまった、ということです。ゲームを2周すればわかりたくなくてもわかってしまいますが、つまりはプレイヤーの操作するニーアら主人公たちこそがレプリカントであり、ニーアら主人公がマモノと呼ぶバグのような存在がゲシュタルトであり、本来の人間です。正確には、いずれはレプリカントと同化し人間として復活するつもりだった理性を保った集団と、人格がなくなってしまった崩壊体という分類がありますが、ニーア・レプリカントにはそんな区別はついていないので関係ありません。ニーア・レプリカントが生きている世界には、白塩化症候群が根絶された代わりに、原因不明の黒紋病という謎の病気が流行っているのですが、これはゲシュタルトが消えたレプリカントが肉体を維持できなくなって消滅していっているだけで、レプリカントにとってはどうあがいても避けようがない死病となっています(重要)。

裏設定を知った時は、よくもまあこんな突拍子もない、途方もない設定を考えたな、と素直に脱帽しました。細かいところでは疑問が残るものの、シナリオギミックに関して言えば本当によくできていると思います。つまりこの物語は、かつての人類と、本来その器となるべきはずだった存在の争いという、全く救いのない構図となっています。RPGの敵役であるところのマモノに、人類と同じような”生命”の側面を持たせるのはそんなに珍しくないかもしれませんが、自我の芽生えたレプリカをプレイヤーにロールプレイさせ、人類の魂を狩らせて駆逐していく、というゲームデザインはあまりにもえげつないのではないでしょうか。何より嫌らしいのは、この作品がやり込み型のA・RPGであり、視点主人公に同調、共感させながらゲームを進行させていく構造になっている、という点でしょう。さりげなくプレイヤーにもその醜悪さの片棒を担がせ、あっさりと、しかも登場キャラクターたちの自覚などなく、全く救いのないエンディングをさもハッピーエンドのように描いています。

どういうことかというと、レプリカントはゲシュタルトと対になっていて、元となるゲシュタルトがいなければ誕生もできないのだから、作中で行われていたのはただただ自分たちの発生源を除去していたに過ぎません。問題を解決するどころか、自分で自分の首を絞め続けている。ゲシュタルトを殺せばそれに紐づくレプリカントは二度と生まれなくなり、当然、新たなゲシュタルトが生まれることはない。物語の最後で、ニーア・レプリカントは自分のゲシュタルト体であるニーア・ゲシュタルトを、その正体を知らぬまま殺すのですが、ニーア・ゲシュタルトこそが世界中(全てを支えていたのかまではわかりませんが)のゲシュタルト体を維持するためのエネルギーを供給していた張本人であるため、彼が死んだことでこの世界を保持していた仕組みは完全に崩れ去ることとなります。近いうちに他のゲシュタルトと(ニーアを含む)レプリカントの大半が死に絶えると思われ、せっかく助け出したヨナも当たり前のように死ぬことでしょう。繰り返しになりますが、黒紋病はゲシュタルト体が病んでいるから起こる死病であり、根本的な問題が解決されなかった以上、彼女が救われることもありません。ニーア・ゲシュタルトから取り返したことは何一つ問題の解決につながっておらず、そもそもニーア・レプリカント自体、ゲシュタルト体を失ったことで近々死ぬことが運命づけられています(推測)。結局、ニーア・レプリカントとプレイヤーは、無自覚なまま人類を滅すために奔走し続けていた、というわけです。これほどに虚無いシナリオはなかなかお目にかかることができません。こんなものをコンシューマで売り出した製作者は頭がおかしいと思います(褒めてます)。


〇マルチエンドについて
DOD同様、ニーア レプリカントもマルチエンディングになっていますが、DODに比べるとそこまでの変化はなく、基本的な流れはどれも同じなまま、終わり方をちょっと違う視点から眺め直す、といった趣向となっております。大筋は同じなので、最後に見ることになるであろう、Dエンドについてだけ書いておきます(かなり致命的なネタバレになるので、念のため伏せておきます)。

ゲームクリアとEDをリンクさせたメタ演出、ニーア・レプリカントがみんなの記憶から消滅する=これまでのセーブデータを削除することでカイネの救済を果たすことができるというギミックは、ゲームデザインとしては秀逸であり、RPGとして見事にやり切ったんじゃないか、とは思います。ただ、個人的には残念なのが、プレイヤーが積極的にその判断をするに至るまでの感情的な積み上げが不足しているんじゃないか、と思ったことです。設定面はかなり丁寧に積み上げていて、ギミックには感心してばかりでしたが、しかし正直なところ、ストーリー的にはそこまで物語への感情移入はできていませんでした。これは感性や好みの問題なので、そう思わなかった人もいるかもしれませんが、カイネ・エミールがヨナを助けるために命までかけたこと、カイネを助けるためにニーア・レプリカントが自らの存在を差し出したこと、こういったキャラクターの行動原理となる部分に感情的な賛同を得ることができなかったのです。

カイネを救うシーンに感動できなかったのは、カイネの救われない人生への同情以上に、カイネの子どもっぽい生き方への否定が先立っていたからです。私はカイネの人物像をあまり好意的に受け止められませんでした。カイネはずっとマモノと世界への憎悪を糧に生きていて、そうなる理由ももちろんあったのですが、しかし実際に彼女がやっていたことは無差別殺人と同じです。しかも彼女はニーア達とは違い、マモノの言葉を理解できる、ゲシュタルトとレプリカントの架け橋となれる存在でした。彼女が仲間たちにマモノたちの言葉を伝えていれば、結末が変わっていた可能性もあります。2周目の字幕がゲーム演出で、本当はカイネにはマモノの声までは聞こえていなかったんだとすればまだわかるんですが、たぶんそういうことではないと思いますので、彼女は彼らの悲鳴や声を聞きながらも黙殺し続けたわけです。最後までマモノの声を聞くことがなかったニーア達とは立場が違いすぎます。そんな彼女を、自分のこれまでの記録と引き換えに救われても、な……というのが、プレイしていた時の正直な感想でした。
以上、ネタバレ終わり。


〇BGM
ついでのように書いてしまいますが、前評判にたがわずBGMのクオリティは文句なしでした。思わずサントラも買ってしまった。特にお気に入りは「イニシエノウタ/運命」で、流れるシーンともマッチしていて最高の出来。ボーカルは優しく甘いのに、曲調は激しいというギャップがよい。その他、「エミール/業苦」「カイネ/逃避」もお気に入りです。


〇終わり
異様なまでに作り込まれた世界観とゲームデザインが売りのRPGの意欲作。キャラクターについては、ちょっと好みに合わなかったところがありますが、もしかしたらそのほうが正常なのかもしれないと思う部分もあるので、それはそれでよかったのかもしません。あとはガチガチに世界観を作ったせいで、バッドエンドの方向に流れていくように、ご都合主義な悲劇を描きすぎている点も気になるといえば気になります。良くも悪くも対話を放棄している部分があって、その辺に作為性を感じて冷めてしまう人もいるかもしれません。個人的にマイナス点を挙げるとすればその2点となります。

続編のニーアオートマタについては既に購入済みなので、近いうちに着手して、書けるようななら感想記事も投稿するつもりです(たぶん1か月以上先になると思いますが)。「2Bちゃんかわゆ」くらいの事前情報しか持ってないので、果たしてどんな(バッド)エンドがあるのか、ゲームデザインになっているのか、やってみるのが楽しみです。


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