スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

満願 感想





本作の魅力はどちらかといえば物語そのものというよりも、物語の裏に潜む意図にある。この作品の登場人物たちは、誰もが暗に思惑を抱えていて、誰もがその全てを見せてくれるわけではない。もっとも読み応えがあったのは、会社のパワハラが原因で失踪した恋人が辺鄙なところで宿をやっていると知り、再会するためにかけつけるという死人宿、そして表題作である、弁護士の主人公が昔世話になった民宿のオーナーの奥さんの殺人事件を弁護した過去を振り返る、という形式の満願。どちらも話の主役となっている人物の思惑が伏せられたままで、真実が明らかにされない。その部分を想像するとかなり読み応えがある。

後者については、なぜ彼女が殺人事件を犯したのか、あれは本当に衝動的なものだったのか、それとも計画的なものだったのか、主人公なりの解釈がつけられていて、一応の結論を得ているので、読者としては答え合わせをすればいいと思うが、前者については、なぜ彼女は遺書を主人公に見せたのか、その意図はなんだったのか、全く説明をしていない。果たして、彼女の行為は、主人公に自分が日頃味わっている無力感、虚無感、失望感を味合わせるがためのものだったのか、過去のことを未だに恨んでいての復讐だったのか、それとも全く意図せぬ結末だったのか。例えば、彼女は死装束のことに気付いていて主人公に黙っていたのではないか、と想像するとなかなかにクるものがある。なぜそう思うのかといえば、彼女はこれまで自殺しやってくるお客を何度も見ていて、その中には同じようなことを考えた先人がいてもおかしくないと思うからだ。特に、衝動的にではなく、わざわざ自殺の名所までやってきて、最後に穏やかな気分を味わってから死のう、と計画的な死を迎えようという人であれば。私の勘繰りすぎなのかもしれないが、誰が自殺を試みようとしているのか、自らの所感を一切述べなかった点が、非常に気にかかった。
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

SAIN455

Author:SAIN455

最新記事
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
検索フォーム
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。