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ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン 1~5巻 感想



特筆すべきは今時のラノベでは珍しいくらいの文章密度で、あまりテキストにくせがなく、(多少のくどさはあったが)そこまでくどくないのは好印象だった。

作品としては、中世をモチーフにしたおなじみのファンタジー架空戦記で、設定やキャラクター、作品構想には他作品からの下敷きを感じた。パクリとまでは言わないまでも、天才科学者が作った独自特許の設定にはパンプキンシザーズからの、キャラ造詣や台詞回しには皇国の守護者からの影響があるのではないか、と感じられた。

序盤のストーリーの骨子はよくある成り上がりもので、戦犯扱いを受けている将校の子として生を受け、孤児として生きてきた主人公が、母国の現況を憂うお姫様と協力して、帝制を終わらせる……という展開になりそうな雰囲気を醸し出している。共和制に至るまでの物語になるのかどうかはわからないし、そこに皇族の処刑という展開が入ってくるかどうかはわからないが、あまりハッピーエンドで終わりそうな気配はない。全体的にはシリアスな空気が保たれていて、恋愛要素もあるにはあるが、あくまで添え物程度。

序盤の大きな山場になっているのは、やはり3巻の撤退戦だろう。これは本当に読み応えがあった。絶望感と悲壮感に溢れた瀬戸際の消耗戦を、終始緊張感を切らさずに描かれていて息が詰まった。構成上、特によかったのは、敵方として最大レベルの知将(性格には将官ではなく佐官だが)が出てきて、主人公が相手の思考を読みきることができず、また敵方も主人公の思考を読みきれない、という盤上の攻防戦を、絶妙なバランス感覚できっちり描いたところである。相手側にも主人公側にも、決して余裕がなく、全力で戦いきっている様を魅せてくれる。今回は主人公の辛勝という形に終わったが、そこにご都合主義感を与えなかったのは架空戦記の描写として見事。恐らく、一瞬しか出てこない登場人物にも名前がついているところがそのリアリティに深みを与えている。読者はその名前をすぐ忘れてしまうが、彼らは確実にその戦争で戦っているのである。

現状、精霊の設定が浮いており、あまり物語の本筋には関わってきていないのが気にかかるところ。ファンタジー世界の物語の割に、描かれる戦いは人対人の戦争だけなので、そこも多少引っかかっている。今後、魔物もしくはそれに順ずる存在が出てきて、人類にとって共通の敵が出来ることで結束がなされていく、という展開になったら、ちょっと残念かもしれない。
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漫画、ラノベ、ゲームなどのネタバレ感想記事を書いています。ネタがあるときはコラムみたいなものも書きます。あとアマゾンアソシエイトに参加してます。以下定型文。「このブログはAmazon.co.jpを宣伝しリンクすることによってサイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイトプログラムである、Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です。」

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