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2013年 下半期まとめ

年始恒例の昨年半年を振り返る企画です。例によって以下長文となりますので、お時間のある方のみお付き合いいただければと思います。


・ゲーム全般。エロゲ・コンシューマ含め不作の年でした。面白いと思えた作品が片手で数えられる本数しかありませんでしたし、新作にもほとんど手を出しませんでした。今もっともオタ界隈で盛り上がっていると思われる艦これにハマれなかったのが残念で仕方ありません。

・『グローランサー4オーバーリローデッド』。アトラスから発売中のドラマチックRPG。WikiのジャンルはシミュレーションRPGになっています。確かにマップ上のユニットに命令を出して行動させるというシステムだけをみればS・RPGと言えなくもないのですが、ユニットをマス目運用する形式ではないし、戦闘ロールはターン性ではなくタイム性だし、一般にイメージされるものとは結構違うので、スパロボ・サモンナイト系のSRPGを求めて食いつくと肩透かしを食らってしまうような。ストーリーのコンセプトは「戦争」ですね。四国間(メインになるのは三国)の対立の中で、主人公は所属していた軍から脱走して小国へと亡命、あちらこちらを流浪しながら戦争に関わり続け、結果として終戦への立役者になっていく、という王道な展開です。最初は戦乱を巻き散らす天使の排除、次は世界を崩壊に導く魔法(厳密には召喚術)の封印、と流れるように目的が変わっていきますが、最終目標は最初から世界の平和のため、ぶれはありません。プレイ時間は総計40時間超のボリュームを誇り、一周でコンプするのは不可能なんじゃないかってくらいの数の膨大な個別イベントが用意されています。EDに関してもサモンナイトのようにキャラ別に用意されているため、まともに全コンプしようとするとどれくらいかかるのか想像がつきません。ストーリー面で気になったのは「過去の描写」が少なすぎるところ。フレーネと主人公の過去とか、ブリュンティールと主人公の過去とか、レムスと主人公の過去とか、レジーナと主人公の過去とか、ヴァレリーが単独行動していた時の話とか、折に触れて話題になってもよかったと思うのですが……。戦闘システムは前述のとおりS・RPGちっくな独自システムとなっています。加えてキャラの行動には待ち時間や準備時間が発生するため、攻撃するにせよ回復するにせよ退避するにせよ、全体の行動にある程度予測をつけながら命令を出す必要があります。戦闘システムの他に、キャラメイクにもかなり気合が入っています。装備品にはそれぞれスキルがついていて、繰り返し戦闘すること(敵を倒したキャラだけが)APを取得してアビリティを覚えることができます。やったことがある方はFF9のクリスタルシステムを思い浮かべていただければよろしいかと。当然装備品のスキルは、APを溜めて習得することで外しても使用できるようになります。こんなシステムだと控えは一生控えのままになってしまいそうなものですが、控えキャラにはちゃんと専用の成長システムが用意されており、装備品を預けておくことで全控えメンバーの熟練度が自動成長するようになります。このように、ゲームボリュームを膨らませるべく、たくさんの要素が盛り込まれていますが、ある程度スキル習得が進んで安定感が出てくると、途端に作業感が強くなってきてしまうのがネックでした。特にMAPが広大で、戦闘に時間がかかる点がマンネリ化に拍車をかけていました。

・『魔法少女』。今期一番ハマった作品です。最終的に3周しました。その度に戦闘死亡0縛り・ステ吟味禁止縛り(無自覚)・ショップ縛り・初期装備品縛りなどをやってみましたが、概ね問題なくクリアできました。1周目は全く気付きませんでしたが、レベルアップ時にステータス上昇は固定成長ではなくランダム成長で、かつ直前の乱数が保存されないため、レベルアップ直前でQS/QLを繰り返せば、お望みどおりの方向で能力値を伸ばしていくことが出来ます。作品の感想は書いたので省略するとして、それとは別に同作者の『昴の騎士』もプレイしました。平和な世界の小さな騎士団の団長だった主人公が、世界の滅亡を企むラスボスを倒すというお話で、魔法少女に比べると欝要素が控えめな王道ファンタジーとなっています。魔法少女の続編FDにあたる『闇鍋企画』をプレイするためにやってみたのですが、こちらも予想以上に楽しむことが出来ました。

・『一本道迷宮』。一度通った道は通れなくなってしまうフロアをどんどん降りていくローグライクなフリーゲーム。戦闘システムはRPG形式ですが、基本的にボタン押しっぱなしでもOKで難易度もぬるめ。盛り込み方次第ではトンデモないやりこみゲームになりそうだったので、案外やりこみ要素が少なかったのがもったいなかったですね。

・『東方輝針城』。ご存じ弾幕シューティングシリーズの最新作。2年ぶりの新作となりましたが、私の観測している界隈では不思議なくらい盛り上がらなかったですね。特に二次創作が。ゲーム内容については事前の予想どおりエクストラとハードをクリアするだけでいっぱいいっぱいになってしまい、早々にギブアップしてしまいました。

・『Way'' 剣の巫女』。 以前感想を書いた葉露の続編にあたる作品。葉露同様ゲーム性のあるノベルゲームであり、葉露の二角取りに対しこちらは花札ゲーとなっております。相変わらず豊富なやりこみ要素が用意されており、そのうえ「これ本当にバージョンアップって言うんですかね……?」って量の追加要素がガンガンアップデートされていっている、誠に同人らしい採算度外視の作品です。

・『VenusBlood -GAIA-』。待望のシリーズ新作。正確なプレイ時間が出ないのですが、恐らく1周40時間程度だと思われます。謳い文句に違わず、前作FRONTIERよりも更にボリューミーになり、ゲームシステムの完成度は格段にまし、拠点防衛ゲームとしてはかなりのクオリティを誇っていました。相変わらず最初に何をすればいいのか、直感的にわかりづらいデザインをしていますが、プレイ時間を重ねていくうちに操作に慣れていくので大丈夫です。本編とは別にシステム説明が作られているので、まずは大人しくチュートリアっておいたほうが無難でしょう。システムはABYSSのものをベースにして改良・発展させられており、特にアタック・建築の機能は確実に改善されています。それでもなお要望をあげるとすれば、「画面のルーム間移動ができればよかった」、「ルーム配置済みの師団を編成画面で回収出来ればよかった」とこんな感じ。産卵についても前作より洗練され、どのキャラでユニットを生成するかどうかにも気を配る必要も出てきて、益々計画性を要するようになり、戦略性が上がりました。比例して難易度も格段に高まっており、今までヌルゲーだったイージーでも容赦なくムズかったです。ラストステージはイージーじゃなかったら危うく詰んでるところでした。そんなわけで、ゲーム性に関しては十分すぎるほどに満足しましたが、残念なのは、シナリオがいつにも増して薄っぺらくなってしまったことに加え、エロいと思えるエロシーンが格段に少なかったところです。前作に比べてネームドキャラの数が増えた反面、それぞれの個性が薄まり均一化されてしまったように思います。エロシーンはどこかギャグテイストのため、シリアス度というか、絶望度というか、真剣度が足りず、いまいち興奮できません。特に後半戦になればなるほどその傾向は強まっていきました。シチュ自体はマニアックなものが多かったんですが、前作のロキと違い、今作の主人公は行為を肯定されてしまう立場にあるため、物足りなかったのかなと思います。

・『夜のひつじ』作品。唯一パッケージ版が手に入らなかった『孤独に効く百合』以外、一通りプレイしました。こちらに関してもそのうちDL版をプレイする予定。『親友が美少女になって帰ってきた』はタイトルどおりのTSモノ。主人公にとっては親友が、親友にとっては自分が男から女になったことへの戸惑いを、わかりやすく丁寧に描いています。このジャンルとしては珍しくヒロインが即オチしません。痴漢にあっても冷静に「ぼくだけにしてくださいね?」とか言われたら興奮するに決まってるだろ……。これが新堂エル作品の世界だったら即ハボですよ。これで彼が男だった頃の立ち絵があったり、男だった頃の彼との交友描写があったりすればもっと背徳感が出たのではないかと思います。ボリュームは小粒で、プレイ時間は2時間ほどと短めです。『若妻くずし』は貞淑な奥さんが快楽に目覚めて淫乱になっていくお話。最後のシーン、残っていた理性を押し出して悦楽に咽び叫ぶみなとがエロすぎてエロすぎて。そこで流れる祝福するかのようなBGMが美しいなんの。今までの私がいなくなって新しい自分が生まれた、という描写には、見ていて滑稽なくらい「可哀相な私」に対するナルシズムで溢れていました。

・『Fate/Apocrypha』。シロウ=天草四郎の図式を見抜けずにすっかり騙されてしまった管理人のブログはこちらです!人類の救済が願いとかコトミネというそれらしい苗字とかそれらしく煽られたせいで、完全に悪落ちしたエミヤシロウだと思い込んでしまいました。Fate既読者を巧みに陥れる誘導に見事引っかかってしまいました、クソッ。そして前回の感想でテーマ性はなさそうと失礼なことを書きましたが、2巻ではマスター/サーヴァントの渇望がしっかりと掘り下げられており、「なぜ聖杯を求めるのか」という点にも十分に重きがおかれていました。ストーリーの方も詰め込まれ感が半端なくとても満足。順当に消化されていくのかと思いきやの大番狂わせに興奮させられっぱなしでした。



・漫画関係。山のように読みました。小説と漫画で600冊程度、エロ本や薄い本も合わせれば700冊程度といったところ。特に今期は普段にも増して幅広くエロ本を読んでいたような。せっかくなので、このエロ本がエロイ!と銘打った『このエロ漫画はここがエロくてこういうシチュエーションがあってこんな属性を持つ人にオススメです!』と宣伝する誰得企画でもやろうかと思っていたのですが、自重しました。

・『甘々と稲妻』。妻を亡くして半年の主人公(教師)と無邪気な娘のほのぼのとした日常を描いた男やもめの子育てモノです。赤ちゃんと僕然り、よつばと然り、父とヒゲゴリラと私然り、このジャンルとは基本的に相性がよくて、楽しめることが多いです。料理下手な主人公が、小さい娘を育てていくために、偶然出会った少女から料理を習い始めて料理の腕とお互いの仲が深まっていく……という展開なのかと思ってたら、料理が出来ないその子と一緒に料理が上手になっていく、という展開でした。食卓での笑顔が家族の幸せ、という普遍的なテーマを掘り下げています。幸腹グラフィティも同じテーマを取り扱っていますが、誰かのためにおいしいご飯を作って、その誰かが笑って一緒に食べてくれることは、それだけで幸せなことなのだと思います。

・『一番星のそばで』。著者の仙石寛子は短編をメインに描いている作家さんですが、今回は一本の長編作品となっています。双子の姉弟の前に現れた幽霊が、自分でも意識していなかった生前の心残りを晴らすお話……とあらすじだけ書いてしまうと、なんだかチープに感じられますが、柔らかく繊細なイラストが安っぽさを感じさせません。幽霊の最期も、双子の関係の結末も、明確には描かれないあたりとても叙情的。個人的には直視するのがきついほどに綺麗すぎるお話でした。あまりにも眩しくて、目が潰れます。

・『ヴィンランド・サガ』。ガルザルの反乱、アルネイズの死亡、そしてクヌートの侵略遠征を契機にし、トルフィンの奴隷生活にもついに終止符が打たれました。いよいよ次巻からは新大陸編が始まるものと思われます。果たしてトルフィンは「死を超えた救いと安らぎ」を敷くことが出来るのか。そして、自らの理想を見据えて歩き始めるトルフィンは、クヌートと同じ轍を踏まずに済むのでしょうか。

・『オクターヴ』。アイドルデビューとしたはいいものの、結局売れないままグループが解散してしまい、アイドルマネージャーをしながら無防備に暮らしていたところをバイ娘に付け込まれ、流されるように性的関係に陥ってしまった主人公の揺らぎ続ける生活を描いたお話(長すぎ)。女性同士の恋愛と友情を描いたお話なのですが、きらら系列のガールズ四コマとは比ぶべくもないほどに生々しい物語であり、生きていれば当然に起こり得る反発もきっちりと描かれるため、読んでて明るい気分になれるような代物ではありませんが、それゆえに作者の真剣を感じられた作品でした。

・『おじょじょじょ』。ピーチボーイリバーサイドと乳エロ絵でおなじみ、クール教信者による日常四コマ。自分の気持ちを素直に表現できないツンデレ気質のお嬢様と、古風なキャラ作りをしているせいで孤立気味の少年が、拙いコミュニケーションを重ねて仲を深めていくお話です。昔の絵柄しか知らなかったので、作画レベルが格段に向上していて驚きました。二人とも悪い意味で個性が強く、学校の集団からは孤立しているため、弾かれもの同士の二人は必然的に交流の機会を持つことになります。お嬢様は高飛車な物言いをしてしまう自分の事を嫌に思っていて、少年は誰かと一緒にいたいと思っているが他人を楽しませることができないから距離を置いている。どちらも他人と上手に付き合えない性質を抱えながら生きており、そんな二人がお互いの長所に惹かれ合っていく展開は実に王道的です。

・『オレンジぐんだん』。札幌在住の女子校生4人組(たまに+1人)の日常四コマです。やたらとサッカーネタをプッシュしてくるところが実にらしい。とりあえずベア子が先生の嫁だということはよくわかりました!

・『GIRL FRIENDS』。オクターヴ同様、女性同士の恋愛と友情を描いたお話。ただ、かなり可愛い系のイラストであるのと、登場人物が社会人ではなく学生であること、序盤のノリがコメディ調であることがあって、オクターブほどには重苦しくなく、また刹那的な感じもしません。手軽く読めるかなと思える反面、同性愛への踏み込み方は浅く感じられてしまい、その分ちょっと物足りなくもあります。

・『かくりよものがたり』。偉人の怨霊を成仏させていくお話。和製封神演義という評価がしっくりきます。巫女の寿命をすり減らしながら怨霊を成仏させていくという独特の設定が容易されており、物語の始まりの段階からハッピーエンドにならなさそうな気配をひしひしと感じます。

・『今日のユイコさん』。言いたいことを思うようにいえず、自分に正直になれないユイコさんと、そんなユイコさんに頭の上がらない多田野くんによる恋愛青春漫画です。素直になれないユイコさんが、ほんのちょっとずつ素直になっていく、というビックリするほど普通のお話。変化球に頼らないところに好感が持てます。

・『海月と私』。小さな民宿を経営している元板前のおっさんのところにやってきたミステリアスな美人さんが、彼の淑やかな生活を掻き回していくお話。やっぱり枯れたおっさんが好きなんですねえ。「それは介護だ」って台詞が現実感に溢れすぎていて刺さりました。

・『くらまちゃんにグイってしたらピシャってされた!』。帯に書いてあるとおり、コミュ障女子と元気系馬鹿娘の戦争(日常)を描いた日常四コマです。登場人物のほとんどが初めから友好関係にあったスターマインとふぃっとねすとは違い、くらまからの感情はマイナス方向に振られていることに加え、ネガの要素も組み込まれています。この先シリアスになるのかならないのか、題材をどのように昇華させるのか見物です。

・『極黒のブリュンヒルデ』。ラブコメ・ダークファンタジーとして絶好調の真っ只中にある作品。ところどころでラブコメしつつ、合間合間ではきっちりと残酷なシーンが描かれるため、物語のメリハリが利いています。7巻での小鳥の能力についての描写ですが、転移することで運動エネルギーがリセットされるということは、一度発生してしまったエネルギーの総量を零にできる能力であるということ?何に使われるかまではわかりませんが、何となく今後の伏線のような。

・『こはるの日々』。主人公に執着するちょっと精神的におかしいヒロインが、暴力なしで主人公に付き纏い続けた結果、紆余曲折を経て最終的には両思いになって結ばれるお話。際限なく主人公を求め続けた想いが受け入れてもらえたからいいものの、主人公と同じくらいの器量(というか鈍感さ)を持つ人でなければまず拒否るであろうレベルの執着でした。これが女⇒男の構図ではなく、男⇒女の構図になったら軽い事件ですわ。

・『こたつやみかん』。落語というコアな分野を描いた作品です。友達いない、勉強できない、運動できないの三拍子が揃ったダメダメな女の子と、才色兼備だけど落語趣味があるちょっと変わった女の子と、秀才美形少年の三人が落語研究会を立ち上げて落語の世界にのめり込んでいく、というお話。幼少期には割と頻繁に笑点を観ていたのですが、かといって深い知識があるわけでもないので、至って新鮮な気持ちで拝読しました。たとえ才能はなくとも、異常に強い細部への拘りを持ち、簡単に他者へと迎合しないその性格は、まさに創作者の姿そのものだと思います。

人間の了見と了見のぶつかり合い――それをひとりでやるのが落語なの。嬉しかったり楽しかったり悲しかったり悔しかったり憎らしかったり。ちっこい座布団の上で全部ひとりでやるの。舌先三寸で万事思うがまま。ひとりだからこそ――なんだってできる!

この物語を読んで落語を聴いてみたいと感じさせられたかと言えば、今のところは「否」。噺の面白さそのものを表現出来ているかと言われれば、まだ少し「弱い」と感じます。この作品が名作になるためには、この二つの課題をクリアしなければならないのではないかと考えますが、さて今後どうなるのでしょうか。

・『父とヒゲゴリラと私』。男やもめの父とその弟、そして妻の忘れ形見である娘の平凡な3人暮らしを描いた心温まるホームドラマストーリー……かと思っていましたが、今作の主題は亡くなった妻への追想にあります。ほのぼのとした雰囲気よりも、喪失感の方がより強く感じられます。ふとした時に浮かび上がる大切な人を喪ったという感覚を描いた作品。

・『ちょっと!そこの男子!』。箱入りドロップスの作者によるギャグ風味の何か。共学になった女子校に入学した男たちが、肩身を狭くしながら学校生活を送る日常を描いた作品です。あんな箱庭みたいに優しい世界の物語を描く作者が、これほど毒の込もった下品な物語を描くことに驚かされる。何か恨みでも晴らすかのように陰湿な女性像が描かれていて「うわっ」となりました。

・『つくねちゃん+30』。三十路独女と言葉を解すひよこ・つくねちゃん(直球過ぎて言葉もない)の面白おかしい日常生活を描いたちょっぴり毒のこもったハートフルストーリーです。主人公は言動のところどころにリアルが滲み出ていて痛々しいのですが、少し小生意気ながらも愛嬌があって憎めないつくねちゃんによって中和されています。社会人生活を数年以上経験している独身の方(重要)は是非どうぞ!

・『となりの魔法少女』。魔法で何でも生み出せる少女が、魔法の力に頼らずに友達を作っていくお話。「魔法で作られたものは決して本物にはなれない」。では、「魔法で作られたものから生まれるもの」もまたニセモノなのか?というテーマに真っ向から向き合った作品です。これは創作物からの影響とも読み替えることのできる物語になるのではないか、と踏んでいますが、深読みしすぎかもしれません。

・『七つの大罪』。王国に追われる賞金首と、王国を支配する聖騎士との戦いを描くバトルファンタジーです。ひたすらドンパチやっていて、やることなすことがいちいちド派手です。コマ割が独特であり、見開き演出は見応えがあります。ただ、主人公が最初から強キャラとして描かれているため、どの戦いでもどこか余裕を残しており、全力でのぶつかり合いとは感じられないのが惜しい。西尾維新作品におけるハッタリ合戦みたいな様相を呈してしまっています。

・『ハイスコアガール』。ハルオと大野さん、日高の3人の恋愛関係もそろそろ大詰め。吹っ切れたハルオと会えないことを耐えて勉学に勤しむ大野さん、ハルオと付き合うチャンスに全力をかける日高のそれぞれが、三者三様に青春しています。無口系黒髪少女の大野さんも勿論可愛いですが、なんといってもハルオがイイ奴すぎます。彼の存在が、この作品の魅力を底上げしています。

・『まじめな時間』。作者は秒速5センチメートルのコミカライズを担当した清家雪子。気づかぬうちに交通事故に巻き込まれて幽霊になってしまった主人公が、完全に成仏するまで幽霊としての生活を送る、という幽遊白書の序盤みたいなお話です。人は死んだ後どうなるのか、という手垢にまみれたテーマと真剣に向かい合った作品。どちらかといえば青臭いお話であり、またとりわけ目新しい価値観や設定が詰め込まれているわけではありませんが、たまにはまじめに死生観に想いを馳せてみようかな、と関心を持たれた方は一読されてみてはいかがでしょうか。

・『やさしいセカイのつくりかた』。冬子の過去話も十分重たいのですが、それにも増して一番胸を抉ったのは「こんなのよくある話じゃないですか」と言って笑う葵の姿でした。確かに全ての人が「この程度の不幸は世界中に溢れているのだから、これくらいでは悲しんでいられない」と笑って生きれば、やさしいセカイは出来上がるのかもしれません。そして、実際にそうやって自分の不幸を押し殺しながら生きている人は、このセカイに少なからず存在することでしょう。しかしながら、そんな人生が幸福であるとは到底思えません。むしろそんなセカイで生きていることこそが、本当の不幸なのではないかと思います。

・『ゆゆ式』。女子校生仲良し三人組の日常をひたすら描いただけの四コマ漫画。アニメも素晴らしかったのですが、漫画版も抜群に秀でています。話のオチがなかったり、何で彼女達が笑っているのかわからない時もありますが、それはその楽しさが彼女達の世界のためのものだからでしょう。彼女達がなんでツボっているのかを理解しようとするよりも、その世界を覗き見るような気持ちで接したほうがより楽しめるのではないかと思います

・『WORKING!!』。おかしな店員が集まるレストラン「ワグナリア」を舞台にした奇妙な恋愛四コマです。8年近くかけて、ようやくここまで来たのだなあ……と感動もひとしおの一冊でした。あとはすっかり可愛くなった伊波さんと、どうしても素直になりきれない小鳥遊君がくっつけばハッピーエンドなのですが、男嫌いの暴力女と女嫌いの小動物好き男の奇妙な恋愛の行方はどうなることやら。

・『ワカコ酒』。たまたま本屋見かけたのを衝動買い。手抜き臭がするのに妙に味があってクセを感じさせるイラストに惹かれました。独身女がひたすら一人酒するだけのお話なのですが、意図的にそうしているのか無意識なのか、居酒屋で騒いでいる人を否定したりしないところに好感を持ちました。酔っ払って大声で叫ぶ人を蔑んだりしないし、むしろその話し声に耳を傾けて内容に同意したり、自分の中で話題を膨らませたりするところに和まされます。同作者による『yeah! おひとりさま』もおすすめ。作者がひたすらソロプレイにチャレンジしていくエッセイ漫画です。

・最後に『羅川真里茂作品』。唐突に『しゃにむにGO』が読みたくなり、全巻揃えるついでに『赤ちゃんと僕』と『ましろのおと』も全巻揃えました。『赤ちゃんと僕』はアニメ版の方が記憶に残っていたのですが、こうやって読み返すと漫画版もいいモノですね。この歳になって読み直すと、パパ寄りの読み方になってきて、当時とは違う読み方が出来るのが美味しいところ。当時は全く考えなかったことですが、今となっては彼の弱さがよく理解できます。『ましろのおと』は三味線の天才が自分の音を手に入れるまでの過程を描いた(多分)お話。作品感想はちょっと長文になりすぎたので一旦隔離しました。後日アップする予定。
・『しゃにむにGO』は一度挫折したジュニアテニスプレイヤー・留宇衣が、頂点まで這い上がっていく過程を描いたテニス漫画です。今作には、陸上競技のトッププレイヤー・伊出が、テニスプレイヤーとして頂点を目指していくという側面もありますが、個人的に作品の主人公は留宇衣の方であると考えています。

「完璧じゃないプレイヤーが壁を乗り越える瞬間。それを見たい。それが俺のような人間の…勇気になるんです」

当初この作品が描こうとしていたのは、この一点だったのはないかと思います。完璧じゃない人間が、勝利に執着できなかった人間が、不完全な状態で苦しみ足掻いた果てに、答えを手に入れる姿を描こうと目論んでいたのではないでしょうか。しかし、連載の長期化により作者の心境は変わっていき、そしてもう一人の主人公である伊出の存在が物語自体の方向性を変えていってしまった。一つの天才の象徴として描かれた伊出の存在は、物語を描き回し、展開に広がりを与えてくれましたが、その代わり作品のテーマを散漫にするというデメリットも与えてしまいました。伊出自体は、そのガキっぽくて我侭だけどどこか憎めない性格を含めて好きなキャラクターですし、伊出がいなければここまで留宇衣が立ち上がることが出来たかどうかもわからないため、必要不可欠な存在なのですが、メインのシナリオ軸から見ると余計なラブコメ展開を持ち込んだとも言えるため、功罪あるキャラクターであると言えます。何か否定しているように見えますが、もちろん読んでる最中の楽しさや没入感はまた別のお話です。漫画的な面白さはピカイチであり、一晩で全32冊を読み終えてしまうほど熱中して読みました。

・今期は完結作品も多く、『黄昏乙女×アムネジア』、『こえでおしごと』、『総合タワーリシチ』、『百舌谷さん逆上する』、『恋愛しませんか?』、『紫色のクオリア』、『“文学少女"と飢え渇く幽霊』、『絶園のテンペスト』、『純潔のマリア』といった作品が終幕を迎えました。完結しそうな作品は他にも多数あるため、2014年も多数の作品がエンディングを迎えそうな予感。




・ラノベ。

・『騙王』。続編の謀王と合わせて読みました。典型的な成り上がりもので、有能な第2王子が無能な第1王子を王位から引き摺り下ろして自ら王になろうとするお話。主人公は王族らしく尊大ではあるものの、いささか直情的すぎて、立ち居振る舞い全てに余裕があるわけではないので、完璧超人とは言い難いのですが、そこが人間臭くて結構新鮮でした。ファンタジーだとお金のことは無視されがちなのですが、物語の始まりが高利貸しとの化かしあいから始まるという点も面白い。戦争をするには何をするにもまずは金、と綺麗事を言わない現実路線のストーリー仕立てなのがよい感じ。魔法や魔物は出てこないため、派手さには欠けますが、落ち着きのある作品です。

・『ゴールデンタイム列伝 AFRICA』。本編新刊の感想は書いたので短編集のほうだけ。千波視点、光央視点、香子視点の短編が三つ入っている短編集です。読んでて面白かったのは香子の話ですが、暗く重たいところを掘り下げていった千波と光央のお話も捨て難い。それぞれのお話では他のキャラクターから見た万里像が描かれており、そういった意味でもなかなかに興味深い内容になっています。

・『スーサイドクラッチ』。江波光則の魔術師スカンクシリーズ最終作。イジメ、バイオレンスときて、最後はドラッグがテーマになっています。スピットファイア同様、リーダビリティは非常に高く、一度も読み止ることなく読み終えましたが、楽しい内容だったとは言い難いですね……。破滅的ながらもどこか清清しいラストを飾ったストーンコールド、どこまで享楽的で突き抜けていたスピットファイアと比べると、スーサイドクラッチはより陰鬱でグロテスクな展開となっており、爽快感は大幅に減退しています。主人公はドラッグ漬けになって頭をかち割り廃人一歩手前だった少年で、ヒロインはドラッグを手に入れるためには誰とでも寝るメンヘラリストカッターと、物語のスタート時点で詰んでいますが、彼らは詰んだ人生なりに藻掻きながら生きています。一度手を出してしまえば抜け出せなくなってしまう、毒沼のような物語でした。

・『シュヴァルツェスマーケン』。短編と本編の二冊を読みました。短編については下手なエロゲよりも退廃的でエロエロでした……。メインはリィズの過去話だと思いますが、健全な青少年にはあまり読ませたくないような内容。本編は益々熾烈な展開が続き、ようやく一つの山場を越えました。東ベルリンの内戦の始まり、シュタージへの反乱、BETA強襲による前線の崩壊、666中隊の崩壊、ファムの死亡、そしてテオドールによるリィズの銃殺。仲間を救おうとして死んだファムと、自分の救いを求めた結果、死んでしまったリィズ。自分の意思と力で幸せを掴もうとしたリィズと、大切な人と一緒に幸せになろうとするカティア。それぞれの生き様が対比的に描かれており、強く印象付けられました。

・『聖剣の姫と神盟騎士団』。作者が後書きで書いているように、徐々に「あったまって」きています。キャラクターの描写が積み上げられてきたことで、物語に余裕が出てきました。それにしても小悪党ダークの憎めなさといったら。「彼は生粋のロマンチストだった」という一文に、彼の魅力が凝縮されています。

・『ソードアート・オンライン』。年末水着特番スペシャルが放送されたり、GGO編の放送が決まったり、二作目のゲームが発売されたりと、今年も色々と動きがありそうで嬉しい限り。本編については、未だ塔を登りきれなかったことに驚きましたが、塔を登り続けてるだけで十分面白いので不満はありません。アリスが右目の封印を破って仲間になったり、ユージオが洗脳されて(?)敵対してしまったり、この先どうなるのか知らない身としては本当にワクワクさせれます。このままアドミニさんを倒して、世界の謎が明かされる、って展開になりそうなものですが、さてさて。SAOP、アインクラッドを改めて1層から攻略し直していくという挑戦的な作品の方も読みました。本巻でようやく3層が攻略されたのですが、今のペースで刊行が続くと完結するまで数十年はかかりそうです。本編とアクセルが終わればどうなるかわかりませんが、この先も1冊で1層攻略のつもりでやっていくのなら、文字通りのライフワークになりそうな予感。

・『終物語』。いよいよ化物語シリーズのラストシーズンがスタート。「人間強度が下がる頃から」という名台詞を残した頃の阿良々木君について語られる過去話です。今まで断片的に、冗談混じりにしか語られなかった、阿良々木君の暗黒時代について書かれています。猫物語や傷物語も過去話なのですが、異なるのは視点と時間軸は現在のままで、過去を回想する形で語られる思い出話であるというところですね。テーマは記憶と忘却、幸せと不幸せ、でしょうか。「どうして私は幸せになれないの」という問いかけに対し、「あなたが幸せになれないのはあなたが幸せになろうとしていないからだ」とばっさり切り捨てるシーンが印象的です。怪異がほとんど出てきていない、珍しく現実に準拠した物語だったことが効いています。

・『翼の帰る処』。前回の感想で「そろそろ佳境なのかな」とか書いてたら、やはり次でラストになってしまう模様。いつまでも引き伸ばしても仕方ないとはいえ、あと1冊か2冊しか読めないのか……と思うとショック。本編は前回の引きからそのまま続いており、預言者との再会と別れをメインに描かれています。中盤までは雰囲気が堅苦しいことに加え、抽象的な表現が非常に多いので、読むのに時間がかかりました。その中でもヤエトと預言者のやり取りは非常にロマンチックで印象的。後半からはいよいよ王族巻での紛争が始まり、物語ラストへ向けてスパートがかけられ始めました。ところどころで不吉な暗示もされていますし、やっぱりラストはヤエトの死で〆られてしまうのでしょうか。

・『はたらく魔王さま』。9巻と10巻を読みました。二冊合わせてエンテイスラ帰還編となっており、地球に帰ってこない勇者エミリアを迎えにいって連れ戻すお話。少しずつネタ晴らしが始まり、クライマックス感が漂っていますが、ついにエミリアがデレてしまったので、ここは一旦休憩を挟む意味で、今回活躍の少なかったちーちゃんをメインに据えたラブコメ展開になってもいいと思います。

・『ヒカルが地球にいたころ』。花散里と六条を読みました。どうやら次回でラストになる様子。散里は今まで地味っ子だったみちるのメイン回で、六条はヒカルの変態女装兄貴回となっています。どちらも適度にラブコメしつつ修羅場っています。ヒロイン同士で七つ巴の主人公の奪い合い(というか、振り向かせ合い?)をしながらも、基本的に暴力なしでの取り合いをしているため、もしかしたら修羅場スキーな方にもオススメできるのかもしれない。おかげでずっとニヤニヤしながら読んでましたが、六条=みちるという!?な事実のおかげでそんな気持ちもぶっ飛びました。確かにそのようにして読み返してみると、彼女が帆夏と是光を煽っているように見え……なくもありませんが、真相はいかに。あと是光は最終的に誰を選ぶのかにも注目したい。

・『ベン・トー』。半額弁当の争奪戦に全てを賭けるという馬鹿臭い設定を、最後の最後まで貫き通したラノベ屈指の奇妙な作品。『サバの味噌煮弁当』というサブタイトル的に、これはクライマックスも間近だな……と思って読んでいたら、本巻で本編が終了してしまいました。マジか。マジでした。まさかここまで潔く終わらせるとは思わなんだ……。てっきりもうちょっと引き伸ばすものだとばかり。物語としては、ウィザードとの直接対決、ヨー・サトーの恋模様まできっちり描ききっており、綺麗に終わっています。ところどころ、無理やり終わらせようとしている感がありましたが、基本的にシリアスに締められていました。色々なものを詰め込みすぎでしっちゃかめっちゃかになっているせいか、たった400Pしかないのに4時間くらいかかりました。著莪推しだったので、仙と付き合う展開はちょっと……だったのですが、恐らく作者はこの作品をハッピーエンドにしたかったのだと思えば納得できます。誰かと付き合い、誰かを切り捨てることを誤魔化さなかったことは肯定したい。

・『ホーンテッド!』。平坂読のデビュー作です。なんというか……よくぞまあ、『僕は友達が少ない』みたいな作風に落ち着いたもんだなあ、としみじみ思う作品でした。処女作にして常識破りの感があり、表面上はコメディテイストで書かれてはいるものの、根っこにあるのは暗くて重い思想であり、決して明るい内容とは言えません。ストーリーもまともじゃないのですが(特に3巻はなぜか牧場で馬の出産を手伝うことになったあげく、高齢出産+未熟児だったことが原因で母子ともに死んでしまう、というハードな展開が繰り広げられます)、ヒロインが主人公の目の前で脳漿ぶちまけて死んだ幼馴染のゴースト、という設定が暗すぎます。作品単体で見るとかなり荒削りですが、「今はがないを書いている人が昔こんな作品を書いていた」という事実にはそれなりの価値があると思いますので、興味がある方はぜひどうぞ。

・『僕は友達が少ない』。本編の新刊としては1年ぶりの発売となりました。やっぱり読みやすいし、面白いです。今回の見所は小鷹の「一緒に我慢してくれ」発言ですかね。図々しいにもほどがある解決方法に思わず唖然としましたが、星奈が受け入れてしまったのにもなんとなく納得出来ます。この状況下でこんなお願いをしてくる奴は、確かに大変ユニークではあります。

・『密葬』。鳥葬の後、旧交を温めて仲を深めるどころか、更にぎこちない関係になってしまった陵司と桜香のその後を描いたお話です。まず鳥葬に続編が出るとは思いませんでした(しかも来月には密葬の続きも出るという話)。あの話から続きが作れるの……?という驚きがあり、この物語がまたきちんと〆られていたことに更に驚きました。鳥葬もそうでしたが、一つの事件が終わった後の物語を描いた作品なのだと思います。そして、読み終わった直後よりも、少し時間が経った後にじわじわと滲み出してくるタイプの作品でもあります。「小説の話をしないか」と投げかける陵司の姿が、今も時折リフレインして浮かんできます。

・『八百万の神に問う』。夏と秋の巻を読みました。夏の巻は、ボロボロの状態で楽土にやってきたシン少年が、自分の名前が持つ信という意味に迷い、悩み、苦しみ、もがき、自分はいったいどうすればいいのか、答えを手に入れるまでを描いたお話。「何もかも忘れて温い夢の中に生きるよりも、涙を流し、傷つきながらも生きる者の方が、より豊かな人生を歩むことになる」という哲学を胸に、自分の弱さを受け止めながら生きることを決意したシン少年の姿が眩い。秋の巻は、ライアン・ハートとファルケ・ラーヴァという軍人二人の回りくどい友情を描いたお話。「今の君が自由でも幸せでもないのは、君がそれを拒絶しているからだ!」という台詞は終物語と少し被っていて、偶然に驚かされました。イーオンとミサキの音討議に関しては、結論ありきだったような気がして、どうにも消化不良感が残りました。忘れてもいいというミサキと、痛みや苦しみを抱えながら生きるべきだと主張したイーオン。最終巻になる冬の巻ではイーオンを掘り下げることになると思われますので、そこでしっかり説得力のある対話を果たしてほしいところ。

・『ロウきゅーぶ!』。小学生バスケットラノベが完結。1巻から読んでいたので、4年ちょっとの付き合いとなりましたが、この終わり方はずるいですね。ミニバスについては一区切りついたとはいえ、恋愛関係の話はお茶を濁したまま。キリもいいし、角の立たないこの辺でやめとくか!という思惑が感じられて芳しくありません。単なるキャラクター小説として終わってしまい、残念です。



・一般小説。

・『「黄金のバンタム」を破った男』。永遠の0の百田尚樹による昭和中期・戦後日本のボクシング史を綴ったノンフィクション作品です。途中までタイトルの破った男を被った男だと勘違いしていたのは秘密。事前情報で「昔はよかったでまとめられる内容」という評価を目にしていたので、実際どんなもんかいなと思って読み始めましたが、確かに「~に違いない」「~としか思えない」といった否定形の断定表現が多かったですね。昔のボクシングを肯定し、現在のボクシングを否定するような内容でした。かつての世界チャンピオンにはとてつもないバリューがあったが、現代の乱立された世界チャンピオンからは価値が遠ざかってしまった、という悲嘆論の主張が作中のほとんどを占めています。良く言えば作者の信条が大いに詰まっているのですが、悪く言えば作者の願望が詰まった主張とも言えます。残念なのは、現在のボクシングに対する考察や分析がほとんど見て取れないところ。極端なことを言えば、競技人口100万人の中のトップ10人と、1億人の中のトップ100人であれば、たとえチャンピオン数が多くともトップ割合は後者の方が少ないですし、また競技人口が増えれば増えるほどに技術向上への期待値も高まります。現在と過去の競技人口の違いも比較してみないと、単純に世界チャンピオンの数が増えたからバリューが弱まった、とは言い切れません。もちろん、そういった分析なしでも、作者の主張(思い出語りといってもいい)に強い説得力があったのなら「昔のチャンピオンは凄かったんだな」と思えたのですが、そう実感させてもらうことが出来なかった。彼らが当代最強のボクサーだったという事実がいまいちピンときません。ボクシングという競技がいかに過酷であるかということは伝わってきますが、自分の次順位との戦いを避けたり、心理的なかけひきを行って優位に立とうとするチャンピオン達を見ていると、それって本当に最強なの?という疑念が付き纏って離れなかった。ボクシング界では天下無双のボクサーは存在しない、ということなのかもしれませんが、どうしても最後まで腑に落ちませんでした。

・『ガラスの街』。シティ・オヴ・グラス自体は一度読んでいたのですが、柴田元幸が訳し直したということだったので、あまり内容を覚えていなかったこともあり、せっかくなので読み直してみました。読んでいるうちにおぼろげながら記憶が蘇ってきましたが、思い出してきてもどんな作品なのか紹介するのが難しいという稀有な作品。一応作品のあらすじとしては、クインという作家がポール・オースターという探偵のふりをして、スティルマンという刑務所から出所してきた父から子を守ろうとする話、という感じ。

・『去年の冬、きみと別れ』。カメラに取りつかれ、被写体の焼死写真を取ろうとした死刑囚の深層心理を暴いていくお話です(表向きには)。中村文則待望の新刊となりましたが、悪意の手記・最後の命の焼き直しっぽい感じがして、個人的にはいまいちでした。

・『皇国の守護者』。新城直衛という性格と性癖が捻じ曲がっている下級将校が、武功をあげ続けて成り上がっていく架空戦記。1巻と2巻の途中までは漫画版を読んでいたので展開を知っていましたが、3巻からは完全なる未知の展開が続くことになります。3巻は、直衛が近衛に配属されて、皇国の内乱に巻き込まれつつ、帝国の上陸作戦を止めるべく四苦八苦するお話です。拘りを感じる世界観設計はその手の人にしてみればたまらない作りこみですし、とにもかくにも台詞回しが際立って秀でています。そして新キャラの両性具有者の冴香はイラストもないのに妙に色気があって、フェティシズムたっぷりの倒錯感に満ち溢れています。直衛の屈折した性格あってこそ映える存在ではありますが、多分単体で出ていてもおいしいキャラだったのではないかと。ああ、漫画版でもこの展開が読みたかった……。

・『氷と炎の歌』。剣嵐の大地と乱鴉の饗宴まで読了。竜との舞踏はもったいなくてまで読んでませんが、そのうち解禁してしまうと思います。さて、氷と炎の歌はゲームオブスローンズというタイトルでドラマ化もされているファンタジー戦記作品です。内容については数行程度では到底語りきれないので省略するとして、今回も堪能させてもらいました。最近は連続して本を読めなくなってきたので、集中力が落ちたんだなーと思っていましたが、いざ読み始めたら数時間ぶっ通しで読み続けてました。読み続けているうちに、スターク勢よりもラニスター勢の方が好ましく感じられるようになってきましたね。ティリオンは卑小で屈折した人格が人間らしくて元々好きでしたが、今回から視点が追加されたジェイミーのことも好ましく感じられたのは自分でも驚きました(サーセイはサーセイであまりにもその道化っぷりが愚かすぎて逆に面白くなってきました)。ジェイミーはブライエニーへの「お前の夢を見たんだよ」の一言で全て持っていったように思います。これまで前王を裏切ったキングスレイヤーとして、そしてブランに危害を加えた憎まれ役としてだけ見られてきたジェイミーが見せた意外性は見事に光っていました。

・『午前三時のルースター』。旅行代理店に勤める主人公が、お得意先の社長の孫をベトナム旅行に連れて行き、現地で消息不明となった父親を探すというお話。「満たされぬ者だけが、煌きを見る」という美意識が作品全体に根付いており、少年時代と決別するための過程を描いた感傷的な物語となっています。

・『小説フランス革命』。ハードカバーにして全12冊に至ったフランス革命の始まりから終焉までを描いた作品がついに完結しました。フランス国民から罵倒を投げかけながら、惨めに処刑される最期を迎えたロベスピエール。最期の瞬間まで理想を求め続けた姿は哀れで仕方なかった。作品を通して、一番幸せに生きたのはミラボーだったと感じられたのが皮肉でした。そのうち時間が出来たら全巻を通した長文感想でも書いてみたいですね。

・『雀蜂』。妻と冬の館に泊り込んでいた作家の主人公が、酔いから目覚めるとあたりには雀蜂が飛び交っていて……と唐突な始まりを見せるノンストップサスペンスホラー。雀蜂との遭遇は現実に起こり得る事態であり、少なくとも戦争等と比べれば遥かに実感しやすい恐怖のはずなのに、どこか非現実的で滑稽に感じられてしまい、主人公の感じる恐怖感を共有しづらいのが難点です。実は他にも「主人公は作家のふりをした思い込みの強い老人だった」というトリックが用意されているのですが、予想もつかないオチとはいいがたいですし、そのトリックを意識して全体を見直してみても、本当にその設定が必要だったのか、と感じられてしまうため、とってつけた感があることは否めません。主人公のものと思っていた引用が全て他人の言葉であり、主人公自身が生み出したものではない、という構造が社会批判に結びついているのかなと思いましたが、そこまで深く掘り下げられてるとは言えませんし……。

・『聖なる怠け者の冒険』。怠け者の主人公が、ぽんぽこ仮面という狸の仮面をつけて困っている人を助けて回る怪人を巡る騒動に巻き込まれるお話。ビックリするほど楽しめませんでした。退屈すぎて、数ページ読むと眠くなります。読み終わるのに大変苦労しました。登美彦氏の才能は枯れてしまったのだろうか、と落胆せざる得ない内容です。むしろ、ここまで徹底して起伏のないストーリーだったことを思えば、むしろその毒にも薬にもならない感を目指して書き上げたのだろうか、と擁護してしまいたくなります。

・『隻眼の少女』。自殺するために寒村にやってきた主人公が、隻眼の探偵(女の子)に協力して殺人事件の全貌を解き明かしていくミステリー。前半部分、主人公が自殺を決意し実行した第一部終了まではいまいち悪意が足りないな、と思ってましたが、最後まで読んで溜飲が下がりました。麻耶雄嵩のトンデモ論理は健在であり、最後のオチはなかなか納得しがたいレベル。腹話術で欺かれました、というトリックが超展開過ぎて、さすがにこいつは読者舐めてんのかと思いました(褒めてる)。斬新すぎて怒りも湧いてきません。

・『停電の夜に』。在米インド人の生活を描いた短編集です。最初は地雷踏んだかなと思ってました。なんといってもどこが面白いのかがわからず、感情の揺れ動きについていけない。根底に根付いてる文化が抜本的に異なるからか、作中の人物がどうしてそういう気持ちになるのかが理解できず、どこに感じ入ればいいのかもわかりませんでしたが、何が目的なのか見えてくるとそういう構成だったことにも合点がいきます。私は「彼らの気持ちが理解できない」と思ってしまいましたが、それもそのはずで、そもそもこの作品が描いているのは違う価値観を持つ人たちの日常と世界です。思考の推移、行動の動機、なぜ彼らはこういう生活を送っているのか、日常に根付く文化を知らないから、源泉となる土台、起源を知らないからついていけなかったのですが、その違いこそを楽しむ作品なのだと思います。

・『芙蓉千里』。全四巻のうち、残り三冊を一挙に読了。かつて女郎に憧れるだけの少女だったフミが、「大陸一の舞姫」に至るまでの過程を描いた大河ドラマ――だと思っていたのですが……。あれよあれよと目まぐるしく色を変えていく怒涛の展開に目を丸くさせられてしまいました。旦那も舞も地位も全て捨て、昔の男に再会して女馬賊になってしまうフミさんの行動力マジぱない。確かに、どん底に落ちてもいくら泥に塗れても、何度でも立ち上がるフミの姿は眩しくて力強いのですが、しかしそんな生き方が彼女自身に幸福を感じさせるかどうかは別問題。彼女が自分の幸せを求めて旅に出た契機となったのはタエの水揚げでしょう。フミはタエを差し置いて幸福になることを恐れていた節があります。ですが、タエが自分の傍を離れていき、実際に幸福になってしまったことで、これまで自分を奮い立たせていた芯が折れてしまったのではないかと。「他人を幸福にさせる人間は幸福なのか」というテーマは昴とも重なっています。そしてこの作品は、フミが舞の道を究めて、誰かのための夢になることを選ばず、フミ自身の幸せを優先させました。当初の予想からは大きく外れたコースを歩み始めたこと自体はむしろ喜ばしいと思いましたが、フミの幸せがほんとうの家族を手に入れることだった、という結論はいささか平凡でした。これが一冊で終わるくらいの内容だったならこれでも十分だったのですが、四冊もかけて辿り着く結末としては物足りなさが残りました。



・音楽。

・ALHAMBRA『A Far Cry To You ~明日への約束~』より「Orion」。1stアルバムのリアレンジ版です。ALHAMBRAを買い始めたのはFadistaからだったので、これ幸いと購入。原盤からどれくらい改変されているのかはわかりませんが、最近のアルバムと比較しても遜色ないクオリティでした。Orionはキーボードとベースが絡みあううねるようなソロと、よく伸びて突き抜けるハイトーンが心地いい、ALHAMBRA特有のテクニカルかつパワフルな1曲です。このアルバム用に新録されたRadianceとArethaについては、どちらのソロパートもドラマティックで美しかったのですが、主旋律の方は結構素直だったので物足りなかったのと、歌メロにはもうちょっとだけ疾走感が欲しかったですね。

・Cross Wish『慟哭とプリズム/nostalgia』より「慟哭とプリズム」。約2年ぶりの新譜となりました。ギターリフがとにかくツボ。基本的に同じメロディがループしている曲ですが、全く聞き飽きません。ラストを畳み掛けるように〆るクラシカルな旋律も好き。線細めに歌っているウィスパーなボーカルもモダンな曲調と合っています。ボーカルといえば、今まで全く気付いていなかったのですが、Cross Wishとうたたねりんごのボーカルは一緒の方だったんですね。どちらも好きなサークルだったのに、微塵も気付かず申し訳ない限り。いざFirst Crossを聞き直してみたら同じ声質っぽい曲がちらほらと。現在と比較すれば格段に上手くなっているのがよくわかりました。

・Fleshgod Apocalypse『Labyrinth』より「Elegy」。Agonyからこれまた約2年ぶりの新譜です。キレッキレで暴走しまくりだったAgonyと比べるといささか大人になった印象もありますが、だからといって丸くなったわけではありません。今作でも激しすぎる暴虐性と悲嘆的な叙情が込められた音楽性は健在です。特にElegyは爆走ドラムと妖しげなリフの中に悲痛なスクリームが入り混じる名曲。

・GILDIA『GILDIA FRONTIER WORKS』より「Melancholyをもう一度」。ミドルテンポくらいでゆったりとながらもしっかりロックしている1曲。曲名どおりの憂鬱な歌詞が印象的で、珍しくファンタジックな内容ではなく、失恋がテーマとなっています。最後の終わり方が妙に明るいのですが、「いつまでも私は信じてる」という捉えようによってはヤンデレちっくな締め方になっているのがミソです。このアルバムはCrophiliaに続いて軒並み良曲ばかりだったので、選曲が悩ましいですね。日本英語でキラキラと疾走するメロスピチューンの「ANCELOT」も捨て難いですし、一昔のアニメやエロゲのEDばりに底抜けな明るさを誇る「明日は私の風が吹く」もなかなか。

・Gyze『Fascinating Violence』より「Day Of The Funeral」。今期の再生回数№1がこれです。一時期延々とヘビーローテしてました。血を吐くような鉄サビ臭いシャウトが溜まりません。これぞまさに慟哭。歌メロもギターもドラムもドラマティックすぎます。

・Marchen Station『World Of Maquillage』より「World Of Maquillage」。およそ3年ぶりの新譜です。途中から全然音沙汰がなくなっていたので、もう新作は出ないものかとばかり……。表題曲はイントロからしてすっさまじいほどの激臭を放っており、相変わらずやりすぎなくらいコッテコテのクサメタルに仕上げられています。他にも、笛・銅鑼・尺八といった和のテイストが存分に注ぎこまれたThe Emperor Rising、どこぞのサントラみたいな始まりからサビメロで一気に飛翔するZIONなどがお気に入り。唯一残念だったのはプロダクションで、音の重厚感がいまいちなのがただ惜しい。

・Symholic『Zahnrad -翠空と導きの歯車-』より「存在理由」。語りパートありのファンタジックシンフォニックメタルといえばわかりやすいでしょうか。これまでのアルバムも買っていましたが、このアルバムで一気に化けた感があります。これまでにも増してストリングスのメロディーが耳に残りました。一番疾走感のあった存在理由が特に気に入りましたが、わかりやすくファンタジーしている歌詞の煉獄の剣士もかなり好みです。

・Vermillion-D Alice Syndrome『狡猾なる混沌の仔と至極たる黎明に捧ぐ葬斂の劇詩』。待望の新譜です。相変わらず邪悪さバリバリの作風で安心感があります。たまに「あれ?これ1回聴いたことなかったっけ?」と感じる曲やフレーズがありましたが、それを補って余り得るユニークさだと思います。

・少女病『深閑セグレート』より「退廃を撃ち落として」。一向に第三の魔女の物語が発売せず、悶々とさせられている少女病の新譜です。歌詞のテーマが近親相姦なためか、普段よりもダークで妖しげな曲調となっています。

・劇場版 魔法少女まどかマギカ[新編]叛逆の物語より、ClariSのカラフルとKalafinaの君の銀の庭。どちらも作品補正が強すぎるので、二作まとめての選曲としました。サビメロが強烈にキャッチーであることに加え、作品と密接に繋がりあっている歌詞はそれだけで十分に強力です。シリアスでバッドエンド性の強いエンディングだった本編に対し、どちらの曲もストリングスを基調にしたポップな曲調であるところも共通しています。



・アニメ。こんかいもすごいたくさんみました。ので、特に印象に残っている作品をピックアップ。

・『ガンダムビルドファイターズ』。黒田脚本と聞いて楽しみになったのに、またガンプラモノなのか……と意気消沈したのも今となってはいい思い出です。そりゃプラモ狂四郎やガンダム野郎やプラモウォーズは好きだったけど、この年でガンプラ弄ってドンパチやってるアニメを観ても……と思っていましたが、視聴し始めて認識を改めてました。これは子供向けと見せかけていい大人がやりたい放題好きに作ってるアニメだ、と。なにせ出てくるガンプラがどれもマニアックで濃い!生憎と全ての機体に見せ場が用意されているわけではありませんが、それでも幅広い作品の機体が登場しています。特にナイトガンダムが出てきた時は嬉しくてテンションが上りました。数あるガンプラの中でも、ナイトガンダム・スペリオルドラゴン・クラウンナイトガンダム、あとは七人の超将軍編あたりまでのガンプラにはかなりの思い入れがあるので、映像化されるだけでかなり嬉しい。どうにかしてガンレックスが出てくれないか……みたいな感じで自分のお気に入り機体の登場を願っている人は相当数いるのではないかと思われます。そして、当時の童心が蘇ってくるにつれて思わずガンプラを買ってしまう人も。バンダイの思う壺ですね。
・脚本で特に印象に残ったのは6話。ガンプラバトルに対して「たかが玩具の遊びに本気になって」と冷めた台詞を吐くレイジに対し、ガンプラ遊びが所詮遊びであることを肯定しながらも、好きだからこそ本気になれるのだと諭すラルの台詞はぐっとくるものがありました。

・『進撃の巨人』。最後まで面白さを保ったまま終わりました。こりゃあ2期も楽しみというものです。ただ、原作ではこの後、最新刊までノンストップの展開が続くので、作画が持つかどうか多少心配ではあります。今期においても、ラストが近づくにつれて冒頭の総集パートが長くなっていくのにはビクビクさせられましたので……。

・『キルラキル』。馬鹿馬鹿しい展開を全力でやっているギャグなのかシリアスなのかよくわからないカオスアニメ。特に第1話の詰め込み感と第3話のクライマックス感は素晴らしいです。そして、目まぐるしく緩急つけたストーリー展開もさることながら、不良娘っぽい口調なのに結構純情な流子が可愛らしい。

・『きんいろモザイク』。予想を遥かに上回るレベルでの映像化を果たし、日常系アニメの金字塔といっても過言ではないクオリティの作品として仕上がっていました。求めていたものはまさにこれ。ただひたすらに癒されました。BGMが何かと優美なのがまた◎。ゆゆ式と合わせての二強でした。2014年も、これらに匹敵する作品が出てくれば嬉しい。

・『WHITE ALBUM2』。予定通り、序章部分までを消化して終了。最終話は画面が真っ暗になっていて何がなにやら状態に。無理して性描写を挿し込む必要はなかったような……。セールス次第だとは思いますが、千晶の登場を匂わすような描写もなかったので、終章が映像化される可能性は低そうです。

・『てさぐれ!部活もの』。gdgd妖精s、直球表題ロボットアニメに続く声優無茶振りアニメの最新作。話の半分程度は一つのお題に沿った脚本があって、残り半分はそのお題に応じた大喜利をする、という声優泣かせの作品です。楽しめない人は楽しめないと思いますが、ハマる人はハマります。今回も途中からはっちゃけ具合が進んできて、声優さんが自ら火傷していってくれます。それをスタッフと一緒に楽しんでいくスタイル。10分くらいの短いアニメだったのが残念で仕方ない。それにしても、どれくらいが本当のことで脚本なのかはわかりませんが、本編にくっついてたラジオを聴いていると、声優業がどれほど過酷な職業なのか身にしみてくるようです。今時の声優は演技力のみならず、アドリブやらダンスやら歌やら顔やら、ありとあらゆるものを求められて大変ですねえ……。

・映画枠。『パシフィックリム』、『叛逆の物語』は長文感想を書いたので省略するとして、『ペルソナ3』。これがまた予想していたよりも遥かに丁寧に映画化されていて、大変満足いたしました。アレンジ部分で感心したのは、主人公の無個性を否定したところですね。ゲーム本編では主人公≒プレイヤーという構図もあってか、無気力で確固たる信念を持たない主人公が、直接否定されることはありませんでした(……と記憶しています)。「クールで冷静沈着、反応に乏しいため絡みづらいところはあるものの、いざという時には頼りになるリーダー」という立ち位置を崩しませんでした。ところが、映画では周囲の仲間が、主人公が人の生死に対して無関心な行動を取ることを否定していきます。風花を救いに行く過程で、「どうでもいい」なら参加しないで、と主人公だけを寮に引っ込ませた展開は特に良アレンジであったかと。おかげで本編よりも増して空気がギスギスしていていましたが、いい意味でペルソナ4との差別化が図れていました。また、主人公の作画はどれも美しく、横顔スキーにはたまらない美人っぷりでした。最初のペルソナ覚醒シーンの悪人面はたまらんかったです。ラストの微笑とのギャップを光らせてくれる名シーンでした。





・2014年の展望。まずはゲーム全般から。

・『ペルソナ5』。学園RPGのナンバリング作品最新作がついに発売。ペルソナ4が発売してから早5年、プラットフォームがPS3であるところに今更感がありますし、最低でもあと1年近く待たされてしまうことがもどかしくあるけれど、発売が楽しみであることに違いはなく、今から来冬が待ち遠しくて仕方ありません。てっきり次のイメージカラーは緑だと思っていたので、赤を前面に押し出してきたのは少し意外です。2と被っているのは、2と近しいカラーの作風になる、という予告だったりするのでしょうか。少なくともまた学生が舞台になりそうなのは間違いなさそうですが。まだまだ情報がないので、色々妄想してワクワクしながら待ちたいと思います。

・『第3次スーパーロボット大戦Z 時獄篇』。スーパー/リアルロボットの異種混合戦を描いたクロスオーバー作品の最新作。第2次に続き前後編になるようで、この第三次をもってZシリーズは完結する様子。こちらもようやくの続編となりましたが、参加作品にあまり新鮮味がなく、サプライズ感が少なかったので、ちょっとガッカリだったり……。トップとエヴァとフルメタはとにかく、劇場版00、EWの参戦は既定路線でしたし、完全新規がEVOLとユニコーンだけってのはいささかパンチが足りていないような。ボトムズも一応新規なんですが、イメージ的には継続枠っぽい感じ。そろそろゼオライマーが来るのでは、ひょっとしたらグレートゼオライマーが据え置きで動くのでは、という願望を抱いていたので、勝手に肩透かしを食らった気分になってしまったのが大きい。フルメタのボイス化は嬉しいですが、映像化されていないレーバテインを出すのはかなり難しいんじゃないかという気がしますし、PVのムービーがちょっともっさりしているのが気になりますし、希望する内容になってくれるかどうかは厳しいかもしれません。

・『コトバの消えた日』。ケロQのエロメインブランドからの新作です。サクラノ詩に繋ぐ最後の弾、って認識でいいんでしょうか。テレビの消えた日から6年振り……、自分で書いてて一瞬「マジかよ」と思いましたがそれはさておいて、テレビの消えた日は調教ゲーを謳いながらも、エロゲ界隈における一般的な調教スキームを使わず、主人公がヒロインを傷つけようとしてもヒロインがそれら全てを受け入れてしまうという調教ゲーとしては破綻的な構造をしており、ひとしきりの調教パートを終えると明るげな学園パートにシフトしていくという一風変わった作品でしたので、今作も抜きエロゲーの皮を被った何かになるのではないかと思われます。SCA-自がほとんど関わってなさそうなところは気にかかりますが、価格帯が安かったので購入することにしました。

・『相州戦神館學園 八命陣』。私は発売日に出ると信じていましたが、やっぱり延期してしまいました。情報開示の状況を見るに、現在もかなりギリギリのラインをたゆたっているのでは?という不安が拭いきれない。このまま無理に2月に発売されると、また未完の地雷となってしまいそうで怖い。今のところ、戦闘らしい戦闘はほとんどしていないところも不安要素の一つ。BGMは相変わらず素晴らしいし、PVは出るたびテンションを高めてくれていますが、どうなることやら。

・『虐襲5』。ヒロインに対する異常な執着心を描くことに特化したシリーズ。来年発売なのに全然情報開示されないのがちと気がかりですが、虐襲シリーズが自分のツボを外したことはないので、ほぼ購入確定。今回も歪んだ愛情を徹底的に書いてくれていれば満足です。

・『天秤のLa DEA』。エウシュリーの本丸、戦女神シリーズ第一作のリメイク作品です。キービジュアルのセリカがとっても丸っこくなっていて、なんだか普通の萌えキャラみたいな感じになってます。セリカが弱ってる=女神化が進んでいると結びつけたようですね。基本システムは戦女神VERITAの発展系にしたようですが、この女神化をはじめ、追加機能は多数用意されているみたいです。それはもちろん楽しみなのですが、成長が固定式になってしまったのは縛りプレイがやりづらくなりそうでちょっと残念。戦女神1はノベル版しかやったことがないので、ストーリーに関しては本筋以外の詳細は知りませんが、どうやらそこにif展開を付け加えたり、他視点を用意することでボリュームアップを図った様子。ここまでリメイクが長くなってしまったのは2とセットでのリメイクを目論んでいるからなのでは、と思っていましたが、2の要素は組み込まれてなさそうです。1のストーリーは2のための前哨戦的なイメージがあるので、きっちり盛り上げられるかどうかはエウシュリー側の腕の見せ所と言えます。エウシュリーは神採り以降、あまりツボをついてくれない作品が続いているので、ここで一気に盛り返してほしい。

・『アストラエアの白き永遠』。いろとりどりのセカイシリーズで一躍有名になったフェイバリットの最新作。未だにいろとりどりのセカイを開封していないのですが、一応こちらも購入予定。あらすじを読んだ限りでは、主人公が特殊能力を持っているSF作品……でしょうか。主人公の性格については触れられていませんが、物語は主人公主導で進みそうなので、無個性系なのかやれやれ系なのかクール系なのかで感触が変わってきそうな感じ。

・『サキガケ⇒ジェネレーション!』。爆乳キャラメインのエロゲを世に送り出し続けるクロシェットの最新作。前作のプリズム◇リコレクションははっきりといまいちでしたが、今度はどうでしょう。ストーリーとしては、SAOで出てきたRMMORPGのような、超リアルな世界を体感できる最新ゲームを攻略していくお話になるようです。今回も超能力は存在しているようなので、きっちりとメリハリをつけて日常パートと非日常パートを書いてほしいところ。

・『ランス9』。アリスソフトの最終兵器、ランスシリーズの最新作。ようやくのヘルマン編となりましたが、体験版が出ないようなら様子見ですかね。一枚絵はかなり綺麗ですが、システム周りがちょっと怪しそうな予感がします。ポリゴンなのはもう仕方ないとはいえ、具体的にどういうシステムなのか全然書かれてませんし、またランスクエストみたいなことになるのも嫌ですし……。

・『サクラノ詩』。公式HPにComing Soonの文字が入り、ひょっとしたら発売するかもしれない……?という段階に入りました。末期、少女病のこともありますから、実際に発売予定日がアナウンスされるまでは全く油断は出来ませんが、少なくとも本当に実現に向けて進んでいるかもしれないな、と思うことは出来ました。今年1年の楽しみが増えました。

・『新世黙示録 ~Death March~』。潰れそうで潰れない(超失礼)Xuseの最新作であるゾンビもののRPG。メガテン製作者と永遠のアセリアの製作者がコラボするという異色の作品となっています。目下のところ一番のダークホースはこれですかね。百の剣の設定が趣味全開で笑えます。プロローグの「永遠に続く命の光より、一瞬でも瞬く限りある命のほうが輝いている」という一文が永遠のアセリアにおけるエターナルの設定を否定しかねないものであるところも面白い。
・永遠のアセリアといえば、今年の冬コミで原作者の高瀬奈緒文が永遠のアセリアの同人誌を出版しています。私は冬コミに行ってないし、委託するかどうかも未定ということだったので、ヤフオクで落札しようかどうか本気で検討していたのですが、いざ出品され始めると余裕の8,000~9,000円コースだったので、早々に諦めることにしました。いくら原作が好きだとは言っても、さすがにたかだか60Pの本に1万は出せません……。仕方ないので、そのうち再販される方にベットすることにしました。

・本全般。
・購読しているシリーズの新刊を除くと、特に楽しみなのは西尾維新の『りぽぐら!』、なぜか冲方丁が原作をしているらしい少女コミックの『地球生まれのあなたへ』、ポールオースターの新著『写字室の旅』、ついに出るらしい『マルドゥック・アノニマス』、といったところでしょうか。シリーズモノとしては、『鳥葬』『密葬』の続編にあたる『樹木葬』に注目しています。まさか続編を出す(出せる)とは思わなかった分、なおさらどんな内容なのかが気にかかっています。

・映像関係。視聴予定の作品が目白押し。2013年がそうだったように、2014年も映像作品に没頭することになりそうです。視聴予定なのは今のところ10本程度。『世界征服~謀略のズヴィズダー~』はForest・腐り姫の星空めておがシリーズ構成をして、サモンナイトの黒星紅白がキャラ原案をあげている俺得アニメ。全然情報を仕入れていないので、どんな作品になるのか今から楽しみです。オリジナル枠では『ラブライブ! 第2期』も楽しみ。3年生の卒業までを描くのかどうかが気になるところ。サザエさん時空になってひたすら時間がループするとか、同じ材料を使ってまた1から作品を作り上げるって線もなくはないと思いますが、きっちり2期と銘打っているところからすると、1期のラストから繋げてきそうです。『咲-Saki- 全国編』は原作がようやく準決勝の次鋒戦終わったところなんですが、どうするつもりなんでしょう。阿智賀編のように、とりあえず本放送では出来る限りのところまでやって、残りは原作が出来てから追加配信、というスタイル?『シドニアの騎士』は原作のエピソードをどこまで詰め込めるかが鍵ですかね。漫画本を1クールのアニメにするなら、ギチギチに詰め込んでも5冊分でいっぱいいっぱいだと思うのですが、そうなるとつむぎが出てこないで終わってしまうのが困りどころ。つむぎがうねうねしてるところを動画で見たいと思っている読者は山ほどいると思います!戦闘描写が全ての漫画というわけではないので、適度にそぎ落としても構わないのですが、だからといってあまり疎かにしてほしくもないですし……悩ましい。『極黒のブリュンヒルデ』はもうそろそろ原作が終わりそうなので、もしかしたら原作の完結と合わせて2クールになったり……?と淡い期待を抱いています。作画面は全く心配なさそうなので一安心。といっても、今時の原作付きアニメはどれを見ても作画がそこそこのレベルになっていて、思わず目を背けたくなるような代物は滅多に出てきませんが。『魔法科高校の劣等生』は原作のちょっと多すぎる世界観説明の描写を過不足なく剪定してくれれば、文句なしの学園ファンタジーに仕上がるはずなので、結構楽しみだったり。戦闘描写にせよ恋愛描写にせよ、どちらかといえば映像映えする作品だと思っています。ラスト、『蒼穹のファフナー エグゾダス-EXODUS-』については本当にやると思ってるの?という疑問の声が聞こえてきますが、冲方丁がこのミスで今年はアノニマスを書くとかファフナーのシナリオを書き上げるとかシュピーゲルを終わらせるとか、だいたいそんな感じの事を書いていたので、きっと大丈夫だと信じています。

・これらに加えた他に、これほどに10分枠がマッチしている作品というのも珍しい『となりの関くん』、同じく短時間アニメ枠では続きが楽しみな『ヤマノススメ 第2期』、ハルトモ絵が動くところを見れるだけで嬉しい『ディーふらぐ!』、かなり内容を忘れかけている『とある飛空士への恋歌』、どれくらいパロ・時事ネタを詰め込めるのかが見所の『のうりん』、恋愛ラボに引き続きアニメ化されるのは嬉しいけれど、原作ストックがあまりないのが不安材料の『僕らはみんな河合荘』、本当にアニメ化されるのか、そして本当に実写化するのか未だに信じられない『寄生獣』などを視聴予定。

・映画に関しては、もはや企画がぽしゃったのではないかと疑いたくなる『傷物語』、アイギスの登場が待ちきれない『ペルソナ3』、ようやく最終編が公開されそうな『ヱヴァ』の三本に加え、叛逆の物語が大ヒットした虚淵玄の新作『楽園追放』を鑑賞予定。





・以上です。今回もいつもどおり長くなりました。全文に目を通された方がおられましたらお疲れ様でした。これからも最低月1ペースの更新を継続していくつもりですので、今年もよろしくお願いします。
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