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2013年 上半期まとめ

今年もこの時期がやってきましたので恒例のまとめを。この独りよがりめいた企画も遂に5回目。だからといって特別何かがあるというわけでもありませんが、例によってそこそこの長文に仕上がっておりますので、時間があり余っているという方のみお付き合いください。





・ゲーム。今期やったコンシューマはスパロボUXとサモナイ5のみ。相変わらず少ないうえに、どちらもジャンルはシミュレーションRPG。これらの前にやったコンシューマといえばFE覚醒と第二次スパロボZなので、思えばしばらく普通のRPGは全くやってません。ひょっとすると、ざくざくアクターズに触れたっきりかもしれない。昔はどちらかといえばRPGメインのプレイヤーだったので、なんとなくもの悲しい気分になりました。下半期は何か面白そうなRPGでも探してやってみようかと思います。そうならなかったら、いい加減この項は削ってしまおう。


・エロゲ。
・『GEARS of DRAGOON』。去年購入予定だった作品①。べた褒めしていたVenus Blood-FRONTIER-を製作したメーカーの別製作ラインによるダンジョン探索型RPGです。プレイ時間は20時間強。1ルートしかクリアしていなくてもこれだけかかりましたので、なかなかのボリューム感でしたが、ゲームの内容自体は、システムの完成度云々の前に爽快感・中毒性が足りず、没頭して楽しめるレベルのものではなかったかと。ゲームの流れは、ダンジョン探索を繰り返して落ちてるアイテムを回収しつつレベル上げし、レベルアップで入手できるSPをキャラに割り振って自分好みにカスタマイズし、ミッションごとに用意されたボスを倒していく、というもの。見も蓋もないことを言えば、スキルシステムは月夜に響くノクターン Rebirthとかなり似ています。その仕組み自体には別段不満はないのですが、そもそものところで、戦闘行為に対するプレイヤーへの報酬というか、見返りが少なかったのが物足りませんでした。例えばモンスターを繰り返し倒すことでリターンが得られるとか(図鑑なり何なり)、低レベルクリアへの御褒美とか、スキルを複数回使用することで熟練度が溜まっていくとか、特定の装備を使い続けることで性能がよくなるとか、そういう思わず何回も戦闘を繰り返したくなる要素があまりなかった。戦闘システムはMP使用タイプのオーソドックスなコマンド選択式ですが、行動順序に運の要素が絡むため、普通は勝てる相手でも運次第では負けたりするので、そこそこやり応えはありましたし、ゲームバランスも取れていましたが、システムの操作性という観点から見るとマイナス部分が多く、戦闘コマンドの一番上に逃走があったり(何故……?)、パッド操作がしにくかったり(これはPCゲーム全般に言えることですが)、異様にアイテム・装備品の管理がしづらかったり、見所であるはずの3D-MAPが見づらかったり(ダンジョン探索の時、ほとんど右上の小MAPだけ見て操作してました)、細かいところでフラストレーションが溜まりました。といっても、この辺のことは体験版をやっていればわかっていたはずのことなので、体験版をやらずに無条件購入してしまった私が悪いですね。VenusBloodがあんまりにも面白かったので、こちらも面白いはずだと信じ込んでしまった。今期買ったエロゲ群のほとんどは、HPの情報と直感だけで購入しましたが、結果的にあまり好みではなかった作品が多かったので、やっぱり事前調査は欠かせないなと再認識しました。

・『魔導巧殻』。去年購入予定だった作品②。エウシュリー初のRTSで、軍隊を鍛えたり建造物を増やしたり素材を集めたりして戦力を高めて他地域へと侵攻・侵略していく作品。こちらも1周しかしていませんが、プレイ時間は約37時間とかなりのボリューム。感想は……毎回新しいことに手を出そうとするその意欲は買いたいのですが、素直にターン性のS・RPGでよかったのでは、といったところで、こちらも好意的な評価ができる内容ではありませんでした。前作に続き新しいことに手を出してきましたが、今回も裏目に出ています。こちらもネックとなるのは操作性の悪さ。ゲームシステムには、やればやるほど理解度が深まってきて、より楽しめるようになる仕組みのものがありますが、今作はそれの真逆を行くものであり、時間を重ねるごとに、ここが物足りない、あれがダメ、そこはこうするべき、とイライラが募っていきました。20時間もやれば不便さにもある程度耐性がつき、操作性の悪さにも慣れてきましたが、当然それを楽しんでいたということではありません。不満点をまとめると、①一括で陣形変更が出来ない。思考ルーチンのレベルが低いこともあり、あまり戦略的な運用が出来ない以上、移動時にはほぼ確実に移動陣形を使うわけで、一括管理出来ないのは面倒臭すぎました。個別にちまちま変更しないといけないので、陣形変更する時は一時停止必須です。ついでにいうと、移動中は接敵してもプレイヤーが管理しなければ敵を通り越してしまってそのままになる、というシステムは駄目すぎです。②クイックボタンによる兵員補充、もしくは自動兵員補充機能がない。小隊がいないと戦闘に勝てないシステムなのに、いちいち部隊編成画面を開いて補充しなければならないのは煩わしい。もしこれが補充数に制限があるシステムで、その辺の調整も取れていたのなら感想も違ったのですが……。③スペースボタン以外でも戦闘を停止できて欲しかった。というよりも、戦闘速度を変更できる仕組みが欲しかった。サイドメニュー等で、常時戦闘スピードを変更できるようなステータスバーがあればよかったのですが。④移動しようとした時に、方向転換するだけで移動しなかったりしてイライラします。敵軍をマークして自動追尾する機能、もしくは索敵範囲内であれば自動戦闘する機能くらい、あってもよかったのでは。⑤前回使った出撃ユニットが記憶されない。主人公たちはレベルMAXになっててもう使わないのに、デフォルトで出撃になってるもんだから、毎回配置するキャラを選択するのが一苦労でした。⑥建物の建設数を確認できるようにしてほしかった。建設数を目標にしているミッションがあるのに、一覧で見れないのは不便すぎます。⑦内政の作戦はまとめてやれるようにしてほしかった。ほぼ毎ターン使うのに、1回1回選択するのが面倒臭かった。⑧戦闘中にマニュアル操作とオート操作を変更させてください。AIの思考ルーチンがしょぼすぎてお話になりません。⑨周回前提ならシーンスキップを入れてください。一周目はほぼノーマルエンドで、二周目から本番だ!って言われても、やる気が出ません……、……まとまりませんね、こりゃ。最後に、これはRTS自体がそういうものなのかもしれませんが、途中である程度ゲームの底が見えてしまうと、街づくりや素材集めが虚しくなってきたのはかなりマイナス点でした。ゲームとして用意された負荷レベルはそこそこでしたが、それを継続的に楽める構造にはなっていなかったのが残念です。

・『翠の海』。結構前から気になっていたものの、諸事情(もしかして:時間とお金)でスルーしていた作品。後述のキミソラ購入にあたり、せっかく同シナリオライターの作品をプレイするのならこの機会に過去作品もやっておこう、と一念発起して購入しました。内容は、深い翠の森に記憶喪失の状態で迷い込んだ主人公が、楽園と呼ばれる森の中で「幸せとは何か」を考え続ける極めて普遍的なテーマを持つ作品。ジャンル的にはサスペンスなのですが、それはあくまでも舞台装置としての役割を果たしているだけで、作品の本質はあくまでも幸福への考察にあります。

・『キミへ贈る、ソラの花』。翠の海のライターによる、幽霊が集う学園を舞台にしたファンタジー風味の作品。こちらに関してもシナリオライターの価値観が色濃く反映されており、テーマは同じく「幸せ」なのですが、少し異なるのが、こちらは幸せとは何かという考察ではなく、幸せな人生そのものを描いた作品であるというところですね。翠の海より後発なだけあって、一歩踏み込んだ内容になっています。残念ながら、今作で描かれたものは、全同意できるものではなかったのですが、今後もこのライターの作品は追っていきたい、と思わされるに足る内容ではありました。
 翠の海とキミソラは、どちらも多量に引用しつつ長文を書き下ろしたくなる作品で、実際半分くらいまでは書いたのですが、御厨みくりの過去作品である『はるかぜどりに、とまりぎを。2nd』をまだクリアしていないこともあり、自分で読み返してみても未完成感が拭えなかったので(実際未完ですけど)、はるかぜどりをプレイ後に改めて御厨みくり論的なものを書きたい……書けたらいいなあ……と思っています。
 ちなみに、個人的にではありますが、このライターが描こうとしているものは、SCA-自の描こうとしているものとかなり似通っているのではないか、と思っています。サクラの詩でやろうとしていることは、幸福な日常を描くことだとほぼ確信していますが(だからこそ納得がいくものを書き上げるまで時間がかかっているのだろう、とも)、この御厨みくりというライターもまた幸せとは何かを追求しているライターのようなので。

・『夏の終わりのニルヴァーナ』。去年購入予定だった作品③。ぱじゃまソフトの最後の花火になるのではないかと思われる作品。死後の世界が舞台の話で、主人公は閻魔大王の息子、ヒロインは彼岸に留まる魂、と結構暗い設定になっていますが、基本がギャグテイストに満ちているので、そこまで重苦しい空気はありません。むしろ序盤は気の抜けるようなコメディシーンが多く、これがいい感じに空回りしていてあまり面白くないのですが、終盤の畳み掛けるような展開は素晴らしいので、差し引きではプラス。四キャラ分のシナリオをクリアすることで始まる久遠シナリオの構成は、まさにエロゲならではの構造となっています。それまで散々重視されてきた人との繋がり、人との縁を、最後の最後で全て断ち切るという、完成されているが故に閉鎖的なシナリオ。最後の「悠久なる刻の中で永遠の愛を……」というメッセージにはぞくっとさせられました。これで日常パートがもう少し面白かったら、文句なしの作品でした。

・『向日葵の教会と長い夏休み』。去年購入予定だった作品④。幼少期に過ごしていた教会が取り壊れてしまうという知らせを受けた大学生の主人公が、しばらく離れていた故郷に帰省して不思議なひと夏を過ごす、という話。複数ライターということもあり、内容にはあまり期待していませんでしたし、単なるモラトリアムゲーだろうと踏んでいたのですが……、予想していたよりもずっとシナリオがよかったですね。最初に詠シナリオをやったときは、取ってつけたような伝奇風味のシナリオに眉をひそめましたが、本格的に怪異現象が発生するようになってからは雰囲気が変わり、唐突に愛を語り出す場面から急激に濃くなります。あの飛躍っぷりを見るに、恐らく前半部分はJ・さいろーあたりが書いて、後半部分をSCA-自が書いたのでしょう。三点リーダの使い方からして、ほぼ間違いないのでは。参考までに「ここ書いたの絶対SCA-自だ」と思った部分を抜粋。

「愛は素晴らしい……」

「愛があるから、人は人として生きていける……」
「そして、もっと深い愛……。だれかを一番好きになるという事……」
「特別な、たった一つの大好き……」
「それは、死に向かう魂すら幸福にさせてくれる」
「愛は強くて、暖かくて、そして優しくて……人を幸せにしてくれる」
「だけど……でもそれだけじゃないんだよ……」
「人を愛するって事は、そんな綺麗な事ばかりじゃない……」
「もしかしたら、愛は素晴らしさよりも、その禍々しさの方が強いのかもしれない……」
「人を愛する事は、無自覚にその人を傷つける。その人を困らせる。そして不幸にしてしまう……」
「牡丹灯篭って……もともと中国にあった話が、いろいろな人の手をへて、いろいろな話を生んだんだって……」
「いろいろな牡丹灯篭があるけど……でもその本質は全部同じ」
「愛が人を不幸にしてしまうという事……」
「だから、だから私――たぶん、もう逃げてられないんだと思う……」
「見てみないふりは出来ないんだと思う……」
「私は、私に起きてしまったすべての事の意味を確かめないといけない……」
「それが愛の形だとしても……その事で、私が大好きな人を不幸なんかにしたくないから……」

 染み込むようなテキストはさすがといったところですが、その代わりシナリオ的には物足りない終わり方。このお話、確かにハッピーエンドではありますが、詠の母と分かり合うまでの困難を描写しないのは、少し説得力にかけるかと。恐らく、一つのシナリオを複数人で書いているためにこうなったのだと思われます。
 グランドルート扱いの雛桜シナリオは、高評価を集めるだけあり、全体的に高水準です。がおーがおー言ってるヒナには超癒されました。シナリオ的には、父娘関係から恋愛関係へとシフトしていくというものであり、遥かに仰ぎ、麗しのを彷彿とさせる展開でしたが、よく考えるとあれは数ヶ月足らずでの出来事なので、10年かけているこれとは比べ物にならないか。それに、あちらはかなりロジカルに処理されたのに対し、こちらはかなり感覚的に解決してしまっているから、十分差別化は図られており、これはこれで楽しめました。なので、このシナリオが面白かったかどうかで言われればイエスなのですが、全てのシナリオを包括するエンディングとしてはちょっと物足りません。意外なことに、この作品も幸せについて描かれた作品でしたが、このエンディングが作品の全てをまとめられているかというと、ノーと言わざるを得ないかと。複数で書かれた作品である以上、テーマのすり合わせは難しいでしょうし、仕方ないといえば仕方ないのですが、雛桜のシナリオが面白かっただけに惜しいですね。

・『運命予報をお知らせします』。痛々しいかまってちゃんの主人公が、少しずつ更正していって、最終的に彼女を作る話。キャラごとの視点でストーリーと登場人物を紹介してくれるというHPの作りがImitation Loverっぽく、つい懐かしくなって購入しました。購入動機がこんな感じなので、目新しさを期待していたわけではないのですが、それにしてもここまで手垢のついたテーマを掘り下げてくるとは思いませんでした。テーマは、「恋愛」と「好き」という感情について、です。あんまりにもド直球でピュアすぎます。妙に主人公が自意識の強いキャラクターで、二択を強いる選択肢が多いなと思っていたら……。夏帆の台詞がギャルゲープレイヤーには突き刺さるものなので、最近エロゲに手を出したばかりの人ならやってもいいかも、と仄めかしてみます。どちらかといえば読んでて面白い作品ではなく、キャラ同士の掛け合いも空虚さを感じてあまり楽しめなかったのですが、テーマに対して真剣だったのは間違いありません。試しに長文感想も書いてみましたが、全ッ然面白くない上に妙に批判調になってしまったので全没。

・その他、購入予定だったプリズム◇リコレクション、ラヴレッシブ、ハピメア、ひとつ飛ばし恋愛はきちんと購入してコンプリート済みですが、感想についてはここに挙げていないことでお察しください。


・同人も幾つか。
・『純情セックスフレンド』。タイトルに心惹かれて衝動買い。彼女持ちのはずの主人公が、清純そうに見える保健委員・透に誘われて、彼女とのセフレ関係に溺れていくストーリー……と書けばいかにもありきたりですが。セールスポイントは、重厚で息苦しくなるようなBGMと、透の囁くようなCVですかね。透の発言は結構Sっぽく、かなり屈辱的な描写もありますので、被虐的な嗜好を少しでも持つ人ならたまらないと思います。
 ゲームのプレイ時間は3時間程度。エンディングは彼女エンドとセフレエンドの2つに分岐し、クリア後には後日談と前日談が読めます。私は先に未弥エンドに入ったのですが、そこでの透の台詞がなかなかに意味深で引っかかりました。

「最初の一撃を与える人が存在するなら、最後の火消し役が存在するのも当然よね」

 あまりに唐突に出てくるので、私も???と首を傾げていましたが、これについては透ルートで意味がわかります。

「…でも、嫉妬は愛を証明しない」

 じゃあ、透にとって愛を証明するものとはいったい何なのか。その答えはこちら。

「ずっと考えてたの」
「私がどうやったら生きた証を残せるか」
「子供を虐待する親もまた、虐待された子どもだった、なんて言うでしょう?受け継がれたものだって。でも、そういう血筋をどんどん遡っていけば――」
「きっと最初に虐待した、最初の一撃を与えた最低な人間に行き当たるはず」
「些細でつまらない一撃だったのかもしれない。でも、そのせいで変わってしまった人が確かにいる。多分人からされたことを他の人にせずにはいられない善良な人」
「そして――最初の一撃を与えた人は、それがどんなに最低なことだとしても生きた証を遺したのよ。ずっとずっと、何代も囚われるような――」
「そんな一撃を遺すことがつまらない私の些細なねがいなの。かなえてくれる人が見つかって本当に良かった」
「好き。大好き。多分これからずっと、私に囚われ続ける人」
「いつでも私のことを思い出してね」

 好きな人に好きだと言うことのできない少女が取った手段は、その人に一つの呪いをかけること。ただエゴイスティックに、永遠に自分のことを考えてもらうためだけに一撃を与えた。未弥のある意味狂ってる献身も見所ですが(気になる人は後日談の結実をチェック!)、何としても主人公を繋ぎとめようとした透の意志には目を見張るものがあります。いくら素直に気持ちを告げる勇気が持てないからって、取った手段があんまりにも捻くれすぎです。
 ただ、透が主人公に与えた一撃は、プレイヤー(私)への一撃とすると、ちょっと物足りない感じがありました。確かにショッキングな展開ではありましたし、印象的ではありましたが、この先永遠に透のことが頭に残り続けるかというと……どうでしょう。そこまでの衝撃が与えられたとまでは言えなかった。しかし、それは逆に考えると、私はもっとショッキングなものを知っているから、そうは感じなかった。つまり、数々のエロゲの波に揉まれた私は、既に「一撃を加えられた側」であり、主人公のような「善人」ではなかった、と言えます。逆に、ショッキングだと捉えた人は、つまり製作者から一撃を与えられた存在であり、作者にとっての「生きた証」になるでしょう。そこまで意図した作品なのだとすれば、なかなかの野心作であります。

・『強盗、娼婦のヒモになる』。プレイ時間2時間程度の短編ノベル。えらく軽快なノリでテンポよく始まる、強盗犯とデリヘル嬢の共同生活を描いた作品。随所にインテリ臭いはったりが溢れており、それっぽい伏線もばらかまかれてますが、あまり難しいことは考えず、ありのままのいちゃラブっぷりをニヤニヤして楽しめばよいかと。お互いに遠慮の無い二人の生活はとても楽しそうで、休日に二人で出かけたと思ったら、ネカフェに引きこもってホラー映画を見たり、オンラインゲームを梯子したり、自由に生きている感じがとても微笑ましい。トラ子とのエッチシーンとかも超可愛くてお気に入りです。見てるこっちが恥ずかしくなります。これからもどうか二人で末永くお幸せに、と祝福したくなるシナリオでした。

・『もんむす・くえすと!終章』。そして伝説になったこの作品もついに完結です。本当にありがとうございました!お話は嗜虐的嗜好を持つもんすたー娘たちにひたすら搾られるだけの単純明快なストーリー。やろうと思えば終章からでもやれますが、前章と中章にもたくさんの魅力的なもんむすが登場しますので、興味を持った人には前章からのプレイをオススメしたい。私も終章を開始するにあたって前章からやり直したのですが、よくここまでのボリュームの作品をまとめられたなとしみじみ思います。ストーリーは最後まで王道を外さず綺麗に終わりましたね。ルカさんの指輪が砕けて隠された能力に覚醒するシーンは実に王道で燃えましたし、ラスボス戦で今までの仲間が応援に来る演出もかなり盛り上がりました。強敵(笑)インプとのまさかの再戦や、性転換したドッペルゲンガーとの対決など、ニッチ層へのアピールも欠かされておらず、エロにしか興味がない人も満足の内容。もちろんエロシーンは従来どおりきっちりとしたNO逆転主義が貫かれていますが、これまでと少し変わったところは、ちょくちょく第三者視点のシーンが追加されるようになったところでしょうか。ルカさんの戦力が上がりすぎたためのやむをえない処置だとは思いますが、心のどこかではルカさんのシーンだけでやってほしかったな……と思わなくもない。あとは終章で頻繁に出てくる天使達が結構グロく、キメラってるイラストが多かったので、個人的にはあまりエロく感じるイラストが少なかったのが残念。デザイン自体は秀逸なのですが……まあ、単なる我侭です。そんなわけで、物語の最後には人類最強の域にまで達してしまったルカさんですが、ラストは嫁に頭が上がらずあえなく搾られる、という安心の情けないオチだったので、逆レイプシチュが好きな諸氏であれば大変満足できる締め方だったかと。どうやら続編?のようなものも出るようなので、今後の展開を楽しみに待ちたいと思います。

・『ヴァージンロード』。燃えゲーサークル雨傘日傘事務所の新作ですが、今回は燃え要素は抑え目で、紅湖の皇子や隷妃双奏同様に抜き要素重点の内容となっております。昔と比べるとイラストのクセが少しずつ抜けてきたのですが、それでも相変わらずぐっちょぐちょで肉々しいCGは人を選びそうですな。アナル方面のシチュに力を入れまくっていて、冷静に考えるとかなり過激なシーンが多いのですが、主人公役であるキメラ候のノリが軽すぎるので、あんまりシリアス調にはならずお気楽に楽しめます。確かにエロい、エロいんだけど、あまりエロくないというか……。HPでは既にヴァージンロード2のページが公開されていますが、そちらもエロ展開重点でいくのか、それとも今回は控えめだった燃え描写満載になるのかが気にかかるところ。……あと、ヒロマギとか、キザクラの続きとか、名無しの召還士とか、その辺はどうなったんでしょうか……。

・『ファタモルガーナの館』。感想は長々と書いたので割愛するとして、平成24年度にやった作品では文句なしでトップクラスの作品。2013年の中でも1、2を争う作品になるでしょうし、間違いなく殿堂入りの内容でした。
・葉露についても長文感想を書いてますので、気になる方はそちらをどうぞ。未だにちょくちょくやってますが、一向にセリカが倒せません。ついでに言うと、ラスボスも全く倒せる気がしません。そして最近一番鍛えたアイテムが壊れてしまったので、やる気が削がれてしまいました。私の数十時間かけた努力の結晶が……。

・普段は薄い本の方には触れていないのですが、今回はちょっとだけ触れます。
・『あの娘は都市伝説』。成人漫画家・御免なさい作の同人誌です。数年間の沈黙を破り、ついに新作が出ました。長かった、ここまでが実に長かった。いったい何回失踪するのか、このまま発売されることなくお蔵入りするのではないかと心底不安でしたが、無事に発売されて本当によかった。内容は、御免なさいのHPの看板娘である残虐さんと青年が不思議空間でエロ行為に没頭するというもの。構想数年間は伊達じゃなく、商業の仕事を断り続けてまで描かれた代物だけあって、1ページ1ページ毎に込められた情熱は半端なものではありません。まさに作者の妄執と妄念を空想具現化したかのごとき内容であり、凄まじい描き込みっぷりです。書き下ろしの同人誌なのに128Pもある(しかもオリジナル)、というところからも色々お察しできるかと。真面目に解説するまでもなく作者の真性っぷりが全放射されている内容であり(褒めている)、生半可な覚悟で読むと引くこと必至の作品です。確実に人を選ぶ内容ですが、創作物は作者がマジであればあるほどにイイ、と考える人にはオススメしてみたい。逆にライトな作品を好む人は避けるのが吉。さすがに数年引きこもって描かれた作品は格が違った。ちなみに、私がこの作者のことを知ることになったきっかけは、HPに載せていたlainの漫画だったりするのですが、これ今はもう載せてないんですね。もう二次創作はやるつもりがない、ってことなのかもしれません。まあそりゃ、これだけ確固とした脳内ヒロイン像があるのであれば、二次創作なんて必要ないか……。

・『ファイヤーガール』。若干孤立気味の女子高生・ほむらが、探検部という部活に入部して、仲間達と一緒に異世界探検をする学園ファンタジー。星空めてお待望の新作は、真っ当な若者向けジュブナイルであり、子供の成長物語でした。まず何よりも特筆すべきはとてつもなく読みやすい文章でしょう。作者のこだわりを感じさせるレイアウトであり、読み手を意識した文章の配列が読みやすさを底上げさせています。余白が多いので、ともすればスカスカという印象を受けますが、テンポのよい会話のやりとりを見ているとそんな気分にもなりません。ストーリーについては、主人公のほむらの子供の部分が目に付く内容でした。ほむらはまだまだ傷つく恐れを知らない子供であり、かつ自身が子供であるという自覚がないので、無駄に有り余っている反骨心を糧にしてただ前へと突き進みます。彼女には若さゆえの行動力とエネルギーがありますが、その姿は傍から見てると危なっかしくて仕方ないもので、このまま行けばまず間違いなくどこかで痛い目を見ると思われます。そしてほむらは他人からの忠告に大人しく耳を傾けるような性格ではないので、恐らくそれは避けられないでしょう。ですので、私としてはこの先思いっきり大失敗するであろうほむらが、そこから這い上がることができるかどうかが肝なのではないか、と思っています。以下、最後のシーンの抜粋。ほむらの象徴的な部分を描いています。

「この際だから、言っておくけど」
「よーし聞こうじゃないか」
「あたしなんかといたってつまらないし、あなたを楽しませる気もさらさら無いから」
「でしょうね」
「……っ」
ずば。
ほむらも、すこしだけ斬り返します。
「何にでも気があう親友ってね、すごく退屈。家族みたいで、ほっとするけど。でもそれだけ。安全度マックス。冒険ゼロ。相手の考えや感じることが、自分のことのようにわかるのが親友なら、私、親友はいらない。友達が欲しい」
「…………」
「九条さんは、自分にも他人にも厳しいんだね。だからきっと、自分が認める友達の最初のハードルがすごく高いの。そのあともずっとずっと失敗がないようにね。でもそれって、究極の友達ごっこじゃないの?」
「打算って言いたいの?別に自分の性格を変えるつもりなんかない」
「それは私も。でも、変わるよ。一緒にいたらお互いが少しずつ変わってく」


「実はね、九条さん。私、自分のことしか考えてないの。自分が大好きなの。自分ファンクラブ会長?」
「知ってる」
「ですよねー。でもね、九条さんと友達でいる自分は、もっと好きになれそうな気がするんだ。ううん、きっとなるから」
不思議な確信をもって、また微笑んでみせるほむら。
「そうなったらそれはもう偶然なんかじゃないでしょ?私が自分で探しに出かけて、自分で見つけた気持ちだよ」

 あまり後先を考えずに自分の求める方向へと突っ走るほむら。今のほむらには、無限に広がる未来への希望が、失敗を恐れずに前へ進む強い心があります。しかしそれは、人生経験の少ない子供だからこそ吐ける言葉ではないか、とも思います。ほむらは、己では耐え難い困難を目の前にしても、このスタンスを貫き続けることができるのでしょうか。これから先のほむらの姿が、実に見物です。

・『Fate/Apocrypha』。東出祐一郎の新作。Fateのifストーリーであり、「もしも聖杯戦争の規模がもっと大きなものになったとしたら?」という妄想の下に描かれた作品。登場するサーヴァントは全15騎もいますので、それだけでも十分ワクワクさせられます。東出祐一郎の過去作品である吸血大殲を彷彿とさせる乱痴気騒ぎであり、メッセージ性とかテーマ性とかは全く含まれていないようですが、その分ストーリーとキャラクターに熱中できます。ストーリーは、サーヴァントがそれぞれ黒と赤の陣営に分かれ、7対7での大戦を繰り広げる、という内容(1騎だけは中立として外側に配置されています)。サーヴァントは誰もが知っている有名どころから、あまり知名度が高くない英雄まで、より取り見取り。とりあえず今回はどのクラスにも平等に見せ場がありそうなので一安心です。……ありますよね?全四巻構成らしく、次回は夏発売らしいので、次のコミケが待ち遠しい。


・漫画関係。
・『Aチャンネル』。登場する女の子を愛でればそれだけでオールOKな漫画。ストーリーと言えるストーリーがなく、女子高生が華やかな学園生活を送る様をただ見届けるだけの話であります。どの子もきちんとキャラが立っていて、仄かに百合風味なのが今時ですかね。

・『エバーグリーン』。竹宮ゆゆこ原作の青春ラブコメ漫画。胸にある手術痕がコンプレックスの主人公と、彼が書いた部誌のコラムに惹かれた水泳部のエースが、お互いにすれ違いを繰り返しながらも、少しずつ相手の奥底にあるものを理解していく話(になるといいな)。二人の大きな差異は、相手から避けられていることを知ったとき、仁希は自分から直接会いに行って誤解を解いたのに対し、穂高は自分の中に閉じこもって諦めてしまおうとするところ。もっと言うと、穂高にちゃんと自分を知ってほしくて行動した仁希と、仁希のことを知るためだけでは行動できない穂高、という違いがあります。もちろん、仁希はなぜ避けられたのか知っていて行動し、穂高はなぜ避けられているのか知らないという違いもありますが、しかし教室に行っても会えなかったからただメールを待ち続ける、という姿勢は如何にも情けない。相手に踏み込むことを恐れる気持ちはわかりますが、水泳部に行けば会えるはずなわけで。是非自分から仁希の元へと向かってほしいところ。

・『俺物語』。強面で筋骨隆々とした不器用男が、「思わず守ってやりたくなる」ような女の子と相思相愛になる話。なんでこんなに売れてるんだろう?と思ってましたが、いざ読んでみれば売れているのもよくわかりました。読まなければわかりませんが、こゆい表紙からは想像できないほど初々しく甘々で乙女ちっくな内容であり、直球なくらい王道少女漫画してます。表紙をこういう風にしているのは、パッケージに騙されるような奴は買うな!という作者からの挑戦なのではないかと思うほど。猛男は男から見てもかなり魅力的な人物ですが、「女性からはモテなさそう」というのが実際のところであり、通常であれば現実は非情である、となって終わりですが、今作はそんな男に一人の女の子が惚れこんでしまったわけで、そういった希望を感じさせる展開が男性読者の心を掴んだのだと思います。……あれ、全然そんなつもりはなかったのに、書いてたらなんだか凄い惨めになってきた……。

・『capeta』。ついに完結してしまったレーシング漫画。この終わり方については賛否両論、どちらにでも取ることができるかと。私は底意地が悪い性格なので、最終的に否定的に捉えましたが、その他諸々の部分を飲み込めば、皇帝的に受け取れないこともない。後書きに書かれていた、この先カペタがF1に乗るのはもはやスタンダードであり、ミラクルではないという実感が、作者の奥底から出された本音なのであれば、確かにこの漫画はここで終わってよかったのでしょう。己の車を運転する能力、ただそれだけでF3チャンピオンまでのし上がったカペタが、この先も己の能力の研鑽を続けていれば、ただその速ささえあればF1に乗れる、と本当に信じているのであれば、それはそれで一つの結末だと言えたかもしれません。
 ただし、一読者としては、その言葉にいまいち真実味を感じ取れなかった、というのが実情です。結局のところ、後書きに書いていることって、ギブアップ宣言に他ならないのではないか、と。燃え尽きた、俺が書くのはここまでだ、と書いてますが、それってつまり、もうこれ以上は書けなかった、というだけなのでは。
 10年近く付き合ってきた作品ですが、レーシング漫画としての全てを描ききって終わった、とは残念ながら思えませんでした。もちろん、それでこれまでの面白さが損なわれることはありませんが、ノブの存在はほとんどなかったものとなりましたし、F1では少なからず存在するであろう人種や言語の壁を感じる場面はほとんど描かれませんでしたし、贔屓目に見て、作品として全て未消化されて完結したとは言えず。
 昴――MOONを読んでいた時にも感じましたが、作者は作品の描き始めのころから随分と変わったのだと思います。10年近く連載が続いたのだから、当然といえば当然です。その間に一切変化がなかったら、それはそれでおかしな話。でも、capetaという作品に込められたものは、作家として、人間として成長した結果の産物なんでしょうか。私はどうしても、そうは感じられませんでした。

・『月刊少女野崎くん』。勘違いネタと思い込みネタ重点で攻めているギャグ漫画です。ギャグ漫画に一番必要なのがセンスなのだとすれば、この作品は文句なしで合格点かと。ストーリーは合って無いようなものですが、キャラクターはしっかり立っていて、どいつもこいつもみんなユニーク。真面目なのか抜けているのかすっ呆けキャラなんだかよくわからない少女漫画家の野崎くんと、そんな彼に惚れてうっかり告白しちゃったところなぜかアシスタント役になってしまった不遇なヒロイン佐倉、野崎くんに観察されているうちに漫画のヒロインのモデルにされてしまったみこりんこと御子芝等々、魅力的なキャラクターで目白押し。個人的には(・▽・)(・_・)(・〇・)みたいな顔をしている佐倉が殺せんせーみたいで可愛くてお気に入り(褒めてんのか、これ?)。

・『げんしけん二代目』。1巻発売から既に10年以上経っていたということに驚きが隠せません、という前置きはさておいて。予感はしていましたが、やはり斑目は強制的に失恋させられてしまいました。81話もきついですが、「その後」の高坂がきついですね。これを斑目が直接聞いてしまったら、しばらくは立ち直れなさそうです。これは作者の裁量次第なので、ないならないで全く構わないんですが、出来れば今後斑目には「いいこと」があってほしいところ。そしてその時には、ぜひ彼にそれを受け入れてほしいなあ、と思います。

・『極黒のブリュンヒルデ』。人造超能力者である少女たちの悲劇的な人生を描いたファンタジー漫画。まだ完結してませんが、ダークファンタジーの傑作と言ってしまっても構わないでしょう。奇跡的なくらい面白さを損ないません。あざとい読者サービスを設けつつ、主軸となるストーリーにはこれでもかというほど悲劇的な展開が詰め込まれています。絶対的な予知能力に対して村上たちはどう対抗するのか、続きが気になって仕方ありません。

・『サーバント×サービス』。アニメ化も決まった公務員恋愛漫画。ルーシーの名前を受理したのが長谷部の父だと分かったり、二人がはっきりとお互いの恋心を意識したり、だらだらと回り道をしながら、牛歩並のスピードでゆっくり進んでいたWORKINGと比べると、一気に話が進んでいる印象があります。がはこ先生の漫画のよさは、どうでもいいような日常シーンを積み上げていくことで、少しずつキャラ同士の関係性が進展していき、且つ物語の核心にも踏み込んでいく、という作風にあると思うので、些か駆け足気味なところが気になったり。もしかしたら、この作品はあまり長期的にやらず、短めにまとめるつもりなんでしょうか。この作品はWORKINGと違って、登場人物のほとんどが社会人(20代前半ばっかりですけどね……)だということもあって、恋愛事を長引かせるのはリアリティに欠けると思ったのかもしれません。

・『シドニアの騎士』。こちらもアニメ化が決まったSFロボット漫画。相変わらずつむぎちゃんは人外かわいいです!イザナの見舞いにきて「だってだってだって!」と駄々をこねているところあたりがかわいすぎます。イザナも無事に復活してほっとしました。この作品は主要キャラでも容赦なく消えていくので、作者の匙加減次第ではこのままフェードアウトする可能性もありました。ラブコメモノでよかった。

・『少女惑星』。宙のまにまに作者による百合漫画短編集。どの話も丁寧に、かつ刹那的な儚さ満点で描かれていますが、特にインパクトが強かったのは『白線』。陸上でいくら速く走れても、置いていかれる恐怖からは逃げ切れず、千春の心が自分から離れていくことに怯え続け、言葉上では千春の恋に祝福を捧げながらも、心のどこかでは失敗を願っている金谷の弱さは、まるで自分のことのように焼き付いて残りました。白線の内側にしゃがみこみ、一人蹲る姿はあまりにも痛々しい。他のエピソードも完全なハッピーエンドとは言えないながらも、おおむね救いと希望が残されている展開であったことから、特別に印象に残るお話でした。

・『空が灰色だから』。突然ですが、創作物における『だから』という接続詞が好きです。そこから導き出される結論は、論理的でもいいし、非論理的な超理論でも構わないのですが、できれば力強い肯定論である方が望ましい。今作のタイトル、「空が灰色だから」に続く言葉は「手を伸ばす」ですが、だからといってこの作品のエピソードは明るく前向きなお話ばかりではなく、同じくらいの比率で救いようのない暗い話が混在しています。「空が灰色だから」暗く憂鬱に生きるのか、「空が灰色だから」明るく元気に生きるのか、捉え方は人それぞれで、だからこそ人生は十人十色で面白い、なんてことを思ったりしました。

・『となりの関くん』。やたらと売れているようなので、時流に乗っかってみました。授業時間中にありとあらゆる方法で遊び尽くす関くんと、それを隣の席で毎度ハラハラ見守ることになる横井さんの日常コメディ。机の上で将棋をしたり(一人で)、机の上でジェンガをやったり(一人で)、机の上でラジコンを使って自動車教習をやったり(ひとry)、机の上でクレーンゲームをやったり(ry)とやりたい放題であり、何が何でも遊ぼうとする関くんの執念も凄いですが、本当に凄いのはその遊びをただ傍観しているのにも関わらず、関くんが意図する遊びの内容を想像力だけで補完できてしまう横井さんではないでしょうか。既に以心伝心の領域に達している二人ですが、恋仲には進展する展開になったりは……しないか。

・『ドリフターズ』。1年半ぶりの新刊。中世~近代に実在した英傑たちが異世界に呼び出され、二つの勢力に分かれて大暴れする異世界召喚ファンタジーです。欧米日から節操なしに引き抜かれてますが、その中で中核となるのは戦国時代の武士であるあたり日本作品ライクで親しみやすい。技術力のギャップに圧倒されながらもすぐさま価値観をシフトさせる信長様がマジカッコイイです。次が読めるのはまた1年以上経ってからか……遠いな。

・『ナンバーガール』。「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!(以下、私モテ)」の作者谷川ニコによる新シリーズ(初連載は3年前らしいですが)。クローン少女たちの少しずれた学園生活を描いた話で、ストーリー的にはあまり悲壮感がなく、私モテに比べればまだホワイトな内容ですが、設定そのものが重たいこともあり、要所要所で毒が含まれています。クローン少女たちは外見だけだと見分けがつきませんが、右目に刻まれたナンバーと一部のキャラの髪型に違いがあり、発言や行動に多少の偏りがあるので、読み進めているうちに少しずつ個性が見えてくる……はず。多分。

・『のりりん』。すごく面白い作品だと思うのですが、あまり読んでいる人を見かけないし、もしかしてあんまり人気がないのでは……と不安になってきたので、いい感じに巻数がたまってきたこともありますし、今回はこの作品がいかに面白いかということを書いてみます。私が読んだことがある自転車漫画にはシャカリキ・弱虫ペダルがありますが、これらはどちらかといえば自転車を題材にしたスポーツ漫画であり、少年たちがレースで競い合う様を描くことで熱さを魅せるのが主軸となっています。もちろん登場するキャラクター達は自転車そのものに魅せられた奴らばっかりで、自転車ありきの作品ではありますが、じゃあその自転車が持つ魅力ってなんなの?という疑問にきっちり答えられているかといえば、少し疑問が残ります。シャカリキは猛烈に熱い漫画で、毎度死ぬような思いをしながら山に挑み続けるテルの姿は大いに私を奮い立てましたし、弱虫ペダルの青春漫画っぷりには童心を思いだせるものがありましたが、作品としてこれらの漫画が読者に突きつけているのは、どちらかといえばキャラクターの生き様であり、自転車に乗ることそのもの面白さについては、そこまで深く掘り下げられていなかった。それが悪いという話ではありませんが、少なくとも自分もロードバイクを買って乗り回してやろう!とは思わなかった。対してこののりりんはどうかというと、ロードバイクを使って大規模なレースをするわけでもなく、「コイツはすげえ」と思うようなキャラクターが出てくるわけでもなく、漫画としての要素はかなり地味です。自転車に乗ってるシーンもありますし、競い合うシーンがないわけでもありませんが、その時もどちらかといえば自転車の薀蓄を語っているシーンがほとんどで、手に汗握るような熱い展開、というのはあまりない。こう書いてしまうとなんだか悪いところばかりのように見えますが、じゃあこの作品のどこが優れているのかと言えば、非現実的な要素を排除しているからこそ実感できる、地に足のついたリアリティです。この作品に出てくるキャラクターは誰もが手に職を持った社会人であり、同じように人間としての限界を持っているため(割と心のゆとりがない奴が多いところとか)、私にとってはとても親近感が持ちやすかったし、自転車乗りを馬鹿にしていた車乗りが、免停をきっかけに自転車のよさに目覚めていくというストーリーは、単に自転車最高!という主張をされるよりも説得力があります。彼らは、何度も自転車に乗ることで、少しずつ自転車に乗る面白さ・楽しさを実感していきます。最初から自転車が大好きなのではなく、何が良いのかを手探りで知っていく展開だからこそ、読者にも自転車のどこがよいのか客観的に伝わってくる。一歩間違えれば、作者の知識披露を目的とした薀蓄漫画になりかねませんが、ところどころで挿入される人間ドラマのおかげで上手くバランスが取られています。実際に、私はこの漫画を読んだことでロードを買うに至りましたので、そういった意味でも自転車の持つ魅力そのものを訴えかける漫画としては最高峰の作品だと考えています。

・『箱入りドロップス』。タイトルどおり、高校生になるまで家から出ることが許されなかった純粋培養の女の子が、少しずつ学生社会に溶け込んでいく話。作者の性格によるものなのか、不快に感じられる要素が完全にシャットアウトされています。気の置けない友人たちだけで築かれる閉鎖的な楽園が心地よく、雫のぽわぽわした世間知らずっぷりに癒されるのはもちろん、そんな彼女を見守る春日井君の不器用さが実にいい。純粋無垢で無防備すぎる雫にあーんされても、「それは…一番大事な時にとっておけ…」と返してしまう不器用な春日井君がとても初々しい。読んでるこっちが恥ずかしくなります。2巻ラストで、春日井君は雫からチョコを渡され、「わかってない…あいつ絶対わかってない…!」とノックダウンされてしまいますが、雫は自身の言葉どおり「わかっている」のだと思いますので、もう諦めて付き合っちゃえばいいと思います。イラストについては、素朴であまり書き込みのない作風で、最初は個性が足りないな……と思っていましたが、読んでいるうちに段々好きになっていきました。雫の表情は、1巻と2巻では段違いと言えるほどバリエーションがあり、「ああ、意識して描き分けているんだな」と感じられて好印象。

・『ハイスコアガール』。ゲーセンを舞台にした青春恋愛ストーリー。ミステリアスな無口系黒髪少女が好きな方はこちらへどうぞ。一切喋られないというのにも関わらず、この圧倒的ヒロイン力。小春も可愛いのですが、悲しいほどに漂う当て馬臭にはもう合唱する他ありません。せめて一矢報いてくれればよいのですが。
・『ぱわーおぶすまいる』。笑顔が素敵な女の子と、若干へたれている眼鏡っ子(男)が主人公のほのぼの四コマ漫画です。家族のような関係の付き合いを続けてきた少年と少女が、少しずつお互いの関係を進めていく話。リアルで自分を名前+さん付けで呼ぶような女がいたらイラっとすること間違いありませんが、創作物なら大丈夫。ということで、まゆさんかわいい。

・『Pumpkin Scissors』。戦災復興を主軸に様々なテーマを肉付けした戦争ドラマ。戦車を単独でぶちのめす男が活躍するストーリーだったはずのこの作品も、長い時間をかけて違う方向性へと流れてきました。誰もが英雄であるという言葉に違わず、たくさんの人達に見せ場が用意されています。現に今回伍長が登場したのは最後の一ページのみ。アベルが儀典局と0番街のパイプを作り、ロンダリオがその流れに乗って商談を行い、一度は絶望に負けたハーケンマイヤーが再び立ち上がり、そしてアリスが正義を名乗る決意をする。誰もが自分にできる最善を尽くしていました。何より印象的なのは、ナースのロゼッタの力強い啖呵。「自分の人生の感想を言っていいのは自分だけ」という言葉の力強さといったら。今までちょい役でしかなかったキャラクターとは到底思えないほど、血の通った意思を感じさせました。

・『ヒャッコ』。久しぶりの新刊となった学園ラブコメ……ですが、残念なことにこれがカトウハルアキ先生の最終巻となったようです。いやー、驚くほど全然まとまってませんよこれ。潔いくらいのスローイン。恐らくキャラクターを出しすぎて収拾がつかなくなってしまったのだと思われますが、それならせめて形だけでもストーリーをまとめて欲しかった……。

・『危ノーマル系女子』。超新鋭の作家・真田ジューイチ先生の初単行本です!(白目)カトウハルアキの新名義だそうです。今後はこっちの名義でやっていく様子。今作はブラコン、ストーカー、吸血癖、前世の記憶持ち(中二病)、ドM等々、変態的なフェチを持ったキャラクターがドバドバ出てくる話。ヒャッコ同様、キャラクターそのものは個性的です。今回はサスペンス調のストーリーが根幹にあるっぽいので、編集が上手いこと誘導すれば、ヒャッコみたいなことにはならず完結できるかも……できないかも。

・『ブラパ』。成人漫画では大変お世話になっている緑のルーペの一般向け漫画。ストーリーそのものに含まれた毒もさることながら、一番印象的なのはあとがき。あとがきに「仮に皆様が僕を褒め称えてくれても、それだけで心から幸せにはなれない」なんてことを書いちゃう作者にはなかなか出会えません。そして、それをそのまま載せちゃうスクウェアもなんというか……。

・『もやしもん』。菌が見える少年が主人公の農業漫画。今回はゼミ内での揉め事発生、そして和解、という青春イベントをこなしましたが、感情移入しそうだったのは円の父や、樹教授や、立花助教授といった社会人の面々だったり。作者自身、今回の大学生サイドのキャラクターに関しては、距離感を置いて描いていたのではないでしょうか。作画面で印象的だったは、あとは気の合うものだけ集まりたいならサークルに入ればいい、と教授から説教されてる遥が、そんなにショックを受けているようではなく、またやっちまったか……みたいな表情をしているところ。この作品は、こういう細かいところで表情が書き分けられているのがイイ。

・『よつばと』。よつば(5歳)と彼女を取り巻く人々によるほのぼの日常漫画。今回はキャンプ回でしたが、このままおしまい、で〆られていてもおかしくないほど完成した面白さでした。次巻が小学生辺から始まっても不満がないほど綺麗にオチています。

・『Landreaall』。王位継承権を持つ飄々とした金髪公子(忍者スキル持ち)が主人公の異世界ファンタジー。王位継承が済むまで一気に駆け抜けるつもりなのか、一息つける間もなく矢継ぎ早にイベントが発生しています。リゲインとファレルが行方不明となり、唯一安否が確認できている六甲もボロボロになってしまっている状態であり、大きな波乱が起きそうな予感。今回の遠征で、DXとメイアンディアの関係は進展したりするんでしょうか。ファラオン卿は、ディアの心を見抜いているような気がしますが……。

・『恋愛しませんか?』。秋葉原を舞台にしたちょっとナイーブでオタクな主人公と巨乳メイドさんによるほろ苦恋愛漫画。こう書くとメイド諸君!を彷彿とさせるあらすじですが、あちらほど屈折した内容ではありませんのでご安心を。ストーリー。主人公は、過去に嘘の告白(本当は告白した子が傷つかないように冗談にしただけ)を受けてクラスメイト達にからかわれたことで、女性に対して少なからぬトラウマを持っています。大学生になっても女性に対する不信感は拭いきれないままでしたが、メイドさんに1ヶ月間だけ恋人関係になってみませんか?と持ちかけられたことで、過去のトラウマを克服するべく少しずつ女性と向き合っていく、というお話。ただし、これはあくまで主人公視点の話なので、メイドさん視点で眺めると全く違うストーリーになります。ひとまず2巻で一区切りになっており、3巻からはキャラを追加して新しいエピソードが始まるようなので、気になる方はこのタイミングでぜひ。

・『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』。目つきの悪い残念女子校生による孤独な学園ストーリー。今期からアニメ化もされます。いくら漫画が売れてるとはいえ、さすがにアニメ化はどうなのよ、と思ってますが、意外と売れたりするんでしょうか。漫画ならまだしも、この話を映像で見るのはかなり精神的にクるものがあると思うのですが……。さておき、この漫画のバランスが取れているところは、もこっちが何かの被害者だというわけではなく、客観的に見れば見るほど人間的の屑であり、もこっちがモテないのは彼女の残念すぎる行動の結果でしかない、というところ。このタイトルからも感じられますが、もこっちは基本的に自分の欠点を理解できず、他人に責任をなすりつけようとする痛々しさを持っています。作者もそれをわかってて自虐的に描いているのでしょうから、大きなお世話だと思いますけど……。後書きに書いてある、アニメの打ち合わせに参加しなくなったって話はどこまでが本当なのやら。


・ラノベ。
・『甘城ブリリアントパーク』。フルメタで有名な賀東招二の新シリーズ。長いこと出る出る詐欺が続いていましたが、ようやく発売しました。零落した遊園地を復興させるべくナルシー系男子高校生とやさぐれ系マスコットが奮闘する話。現状は恋愛要素が皆無に等しく、妙に所帯じみた世界観で繰り広げられるコメディライクなラノベといったところであり、あまり特徴的な部分がないのですが、言うてもまだ1巻しか出ていないので、8月に出るらしい2巻を読んでから判断することとしたい。ファンタジー設定ありきの作品のようですので、そのうちシリアス展開へとシフトする可能性もなくはないでしょうし。

・『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』。2008年からお付き合いしてきたこのシリーズもついに完結となりましたが……物足りない終わり方でした。別に誰エンドになってもよかったんですけど、5年間かけてたどり着いた結論がこれなのか、という感じが拭えません。今作のオチは、京介は一度壊れてしまった桐乃との関係を築き直す過程にあって、そのことに手一杯だったから他のこと(サブヒロイン達)にまで手を出すことができなかった、というものです。サブヒロインたちが振られたのは、単に京介と出会ったタイミングが悪かっただけ。京介にとっても桐乃にとっても、物語の終わりがようやく人生の再スタートになったわけで、そりゃあ物足りなくもなります。途中から「京介は誰と付き合うことになるのか」という展開で読者の期待を煽った段階で、こういう結末を迎えるのはやむをえなかったのかもしれませんが、もう少し違った結末が読みたかった。

・『ゴールデンタイム』。アニメ化も決まったリア充大学生たちによる青春恋愛ストーリー。以下は今回のハイライト。

「……でも、そもそも俺、自分の丸ごとを見失っていることがつらいんだけど」
自分の口から出たそんな言葉にびっくりした。言い終わって、「え?」などと言い足してしまった。
つらい?
そんな、つらいなんて――いや、つらいにはつらかったか。ずっと苦しんでいた。でも、こんなにするっと自分の今生きている状況を「つらい」と表現し、香子に伝えられたことに驚いた。つらいと自分で思ったことはあったけれど、人にそれを言えたのは、もしかして初めてじゃないだろうか。そしてそんなことに驚いた自分にまた驚く。つらいとは思ってない、と、取り繕おうとしていたのか。生まれてから十八年分の記憶を丸ごと失ってしまったことを、つらいと思っていることを悟られること、それをも恐れていたんだ、自分は。
考えてみるまでもなく、つらい。本当はとても、とってもつらい。このつらさをどうすればいいのかわからない。伝えられたところで、誰にも助けてはもらえない。つらさは減らない。なくならない。この現実がつらい。直視するのがつらい。急に暗闇に落下したような気分になって、香子の背中に回していた手を放した。その手で無闇に前髪をかきあげようとして、
「……っ」
掬うように、握られた。

 前半部分は、前回の自動車事故以降、実家に引きこもってしまった香子を引きずり出すべく万里が奮闘する話。これまでの失敗を全てなかったことにしたい香子と、それに対して恥を受け入れて生きるべきだ、なんてしたり顔で説教している(ように見える)万里。香子からすれば、過去の自分を受け入れることを放棄している万里こそが過去から逃げているわけで、これ以上はないほどの『お前が言うな』であり、当然香子は「だいたい『お前』とかっ!」「言ってんじゃ、ねぇぇぇ!」とリミットブレイクしてしまう。「夢に見たんだよ!」は間の抜けさ加減が絶妙であり、いい感じに緊張感をぶち壊してくれるのですが、香子にとっては本当に真剣で大事なことだったのだと思われます。夢というのは他人と共有できない、自分自身だけの問題で、そこから生まれる不安は、自分ではどうにも出来ないのですから。
 そこからは作者入魂のギャグシーンが続き、シリアスなのにどこか馬鹿らしい、奇跡的なバランス感覚で話がまとまっていく。特にラーメンのくだりはアホすぎて何がなんだかわかりません。「気が……動転してるんすか……!」「……食うんすか……!食えるんすか!この状況で!」 ここのやり取りのおかげで、これまでのやり取りがどこか馬鹿馬鹿しくなり、沈鬱な雰囲気がどこかに勢いよく吹き飛んでいく。決して茶化ない程度にコミカルとシリアスを混在させるバランス感覚は実に素晴らしい。 
 あとの問題は、最後に残ったリンダという地雷の存在をどうするか、でしょうね。後半部分からの万里は、失った過去と向き合うべく積極的に行動し始めて、昔の仲間達にも受け入れられるのですが、しかしながらリンダと万里の間には、未だに深い溝が存在しているのではないかと思います。確かに二人は、表面上うまくやっています。万里はリンダに感謝していますし、リンダはそんな万里を優しく見守っている、ように見える。でも、どこかで何かがかみ合っていないように感じられてなりません。彼女もかなり重たいものを抱えていて、これからはそこが焦点になるのではないかと踏んでいるのですが、もしかしたらただの邪推かもしれません。

・『ココロコネクト』。まだ短編が出るようですが、もう完結したと言ってしまったもよいでしょう。これまで文研部メンバーの絆の在り方のみに注視し、彼らの関係の変遷を主に描いてきた今作は、最終巻で狭い世界を抜け出し、より広い世界に舞台を移しました。個々人の同士の繋がり合いを描き切ったからには、個と集団、集団と集団の対立と和解というテーマにシフトしていったのも必然の成り行きだとは思います。ずっと文研部の中でくっついたり離れたりを繰り返しても進歩がないですし、ストーリー展開的にもマンネリ化していってしまうでしょうから、そのこと自体は一向に構いませんし、とても好ましいことだと思うのですが、問題はその解決方法があまりにも理想論すぎて、もっとはっきりと言うといくらなんでも稚拙すぎで、見ていて痛々しいレベルの代物だったことです。確かに、彼らはまだまだ子供ですから、社会のことまで見据えていないのは「当たり前」と言ってしまえば当たり前。しかし、彼らはそれまで数々の困難や崩壊の危機を乗り越えてきたわけで、普通の学生とは一味も二味も違う存在だったはず。そんな彼らだからこそ、もっと現実的な将来を見据えた展開にしてほしかった。
 現象に戸惑う学生達に対し、文研部のメンバーは「みんなわかって!私たちを信じて!(従って!)」とただ感情に訴えかけ理解を得ようとしますが、その想いはなかなか伝わらず、やはり言葉だけを投げかけるだけではわかってはもらえない。それどころか学生たちにあらぬ疑いをかけられてしまい、文研部のメンバーは理解を得るどころか次第に孤立していき、周囲の攻撃的な視線に晒されて疲弊していく。それでも彼らはめげず、みんなを救うための手段を模索していきます。最終的に、文研部のメンバーは、学生みんなに対して言葉を投げかけるのではなく、集団の中にある一人一人の個に働きかけて対話を図っていく、というやり方を採ったのですが……いくらなんでも、この解決方法は理想論に過ぎます。作者は、読者に青臭いと言われることを承知の上で書いているようですし、きっと最後は明るく前向きなハッピーエンドにしたかったんでしょう。それはわかりますが、気になるのは、作者がこのやり方で全ての問題を解決できると確信しているのかどうか、ということ。私には、どちらかといえば「そうであればいいな」、という願望程度のものなのではと感じました。少なくとも私には、このやり方でやれば全ての問題を解決できるに違いない、という力強さを感じられなかった。作者には直接関係ないことですが、例えばアニメ化した際に起きたあの事件は、本当にこのやり方で解決できるのでしょうか。

・『暦物語』。阿良々木くんと一緒に物語シリーズの1年間を振り返る話。阿良々木家の面々は名前の元ネタがカレンダー絡みとなっているのですが、まさかこんな形で伏線を回収してくるとは!(たぶん違う)。ここ最近は変化球ばかりだった物語シリーズも完結が近づいているということで、一旦原点回帰を狙ったのか、化物語の頃と同じような雰囲気が随所に溢れていました。人間強度厨だった頃の名残がある阿良々木君や、まだ毒舌家だった頃のガハラさん、あまりメタ発言しない八九寺など、当時の記憶を喚起させるアトモスフィアに満ちている。物語の展開は、そういえばこういう流れだったよね、という感じにこれまでの時系列を振り返るストーリーが12本詰められた短編連作なのですが、まさか最後の最後で暦くんが死んで八九寺とあの世で再会する展開になろうとは思いませんでした、というか予想できるかそんなの。最初はファンサービス狙いの番外編なのかな、くらいに思っていたのに、ラストできっちりと次回に繋がる結末にしてきたのはさすがと言える。元々どういう構想だったのかはわかりませんけど、この調子ではひょっとすると阿良々木くんは終物語ではいきなり殺されていたのかもしれません。あと二冊で完結するはずだったのに、なぜここで新規書き下ろし……という疑問もすっかり解消。化物語も全く予定にないままポンと出され、あろうことか予定されていた刀物語よりも全く面白い内容だったわけで、相変わらずこの人は書きたい時に書いた時のほうが面白いものを書けるようです。りすかの続きと僕の世界はよ出せや!!!と言いつづけてもう数年経ってしまったので、よっぽど書きたくないのか、もしくは出させてもらえないかのどちらかなのでしょうから、いっそもう出ないほうがいいのかもしれないな、としめやかに諦めの境地に達してきました。

・『シュヴァルツェスマーケン』。マブラヴ オルタネイティヴ(以下、オルタ)のスピンオフである今作もついに5巻(+1)。ここから入ろうとする奇特な人はいないと思いますが、一応あらすじを説明しますと、オルタのストーリーはifの歴史を歩んだ地球を舞台に人類と地球外生命体・BETAとの絶望的な戦争を描いた架空戦記風味の物語で、シュヴァルツェスマーケンはそれの過去話にあたる物語。オルタは世界を救うために死地へと臨む人達の姿を描いた物語なのですが、シュヴァルツェスマーケンは戦争の中で起こる権力闘争を描くことを主においており、どちらかといえば極限状態の中で行われる人類同士の戦争を描いた話であるため、オルタに比べるとかなり政治的軍事的要素が強め。5巻のストーリーは正しく佳境にあり、作中に漂う緊迫感や絶望感も最高潮に達しています。ついに攻め込んできたBETAとの絶望的な戦力差を理解しながらも、衛士たちは崩壊寸前の祖国を守るため死地へと向かっていく。重光線級と要塞級の存在は悪夢のようであり、まるで勝てる気がしないのですが、それを理由に戦わないという選択肢を取れるはずもなく、テオドールたちは死力を尽くし、幾度と死線をくぐり抜けていく。この苦境さえ乗り越えれば、きっと救いはある――そう思わせておいての騙し討ちみたいなラスト。リィズはシュタージの呪縛から抜け出すことが出来ず、そしてテオドールは彼女を説得できなかった。結局リィズはテオドールたちを裏切り、クーデターに協力してしまいます。彼女がシュタージと軍、どちらに身を寄せたほうが自身とテオドールを守れる確率が高いのか、冷静に吟味した結果シュタージを選んだのか、それともただ単にアイリスディーナへの嫉妬心だけでこの選択を採ったのかはわかりませんが、私個人的としては最初から「誰の話にも耳を傾けない」と強く心に決めていたのではないか、と踏んでいます。アイリスディーナの存在が、リィズの神経を逆撫でし続け、より頑なにさせたのであろうことは想像に難くありません。そんなわけで、凄いいいところで区切られてしまった本編ですが、7月に出る短編の方も楽しみです。祈りの次は願いですか……。また異が痛くなる内容になりそうな予感がします。なお、同じくスピンオフ作品であるトータル・イクリプスの方は、ちょうどアニメが終わったところで終わるため、ほとんど新鮮味はなし。こちらに関しちゃ、続きはゲームで!ってことになるんでしょうか。ラノベ版はラノベ版で刊行を続けてほしいところですが。

・『ストレンジムーン』。渡瀬草一郎の新作はまさかのパラサイトムーン続編でした。情報出てからもしばらく発売を疑ってましたが、本当に出ました。なお、パラサイトムーンとは、別の世界からやってきた迷宮神群と呼ばれる異能生命体の特殊能力を宿した人々による現代ファンタジーです。何せ十年ぶりの続編ということもあり、どういうアプローチをしてくるのか不安で仕方なかったのですが、いざ読んでみれば意外なほど真っ当に続編してましたね。成長して教師になった心弥(どうも、パラサイトムーン1巻から10年程度が経過した世界観らしい)、ちゃっかり心弥と結婚していた弓、新しくなったイラストのおかげですっげえ若返っている夢路、相変わらず人を食った態度ばかり採っているエスハ、あとは圭・ファウナ・フローラ等々、きっちりと前作のキャラも登場します。フェルディナンが出なかったのは心残りですが、きっとそのうち出てくるでしょう。ストレンジムーンのムーンは、恐らく彼女にかかっていると思うので。ストーリー的には、主人公の能力覚醒⇒同級生の能力も覚醒、しかも敵対関係に⇒妹がヤンデレ化+ラスボス化、と物語が再始動したばかりなのにも関わらず一気に進行しました。あまりのテンポの速さに多少戸惑いましたが、スピード感があるとも言えるのでこれはこれで。ヤンデレ描写に関しては、輪環で培われたものが如何なく発揮されていた印象があります。妹ヤンデレ、イエス!

・『スピットファイア』。江波光則の魔術師スカンクシリーズ第二段。短期間での刊行となったため、クオリティ面でかなりの不安があったのですが、予想に反して凄まじく面白かったです。ストーンコールドの系譜としてしっかりとカラーが引き継がれており、あちら以上の弾けっぷりでした。おかげで読むのを止められなかった。後述する鳥葬が潜水する深海魚のように淡々としていたのに対し、こちらはアクセル全開フルスロットルで駆け抜ける暴走列車のようなもんです。ねじの外れた破滅的かつどこか投げやりな主人公による痛快爽快バイオレンスであり、著者はこんなものも書けるのか!と驚かされました。ナチュラルにトんでる主人公たちが、自分たちの欲望のために社会的屑へと暴力を与えていく話で、珍しいくらいにエンターテイメントしています。何が素晴らしいかって、主人公の弦の行動原理が「刺してもいいと思う相手だから刺す」というあまりにも空虚すぎる理由であるところです。

「……もう一度言っておくぞ。俺は同級生を刺して殺しかけた」
「いじめられでもしたのか。刺して殺せなかったなんてのは当たり前だ。ド素人がナイフなんか振り回しても突き刺しても殺せやしねえよ。大概は出血のショックで相手が勝手に死ぬんだ」
「キレちゃいなかったよ。むしろ冷静だったな。殺せなかったのは止められたからだし、ついでにいや、そいつはいじめてる方だったけど、相手は俺じゃない。全然違う奴で、そいつは俺の事なんか眼中になかったし俺もなかった」
「じゃあなんで刺したりした?」
「していい相手だと思ったからだな」
「何をどうしたらそういう育ち方をするのか俺にゃ理解できない」
「……ま、俺も自分の事なんてわかっちゃいねえよ。他人に決めて欲しいとさえ思ってるくらいだ」

 彼らはイジメをするような奴は殺したっていい、という極めてシンプルな理由で行動しており、そこには悪への義憤とか正義心の発露とか、勧善懲悪めいたわかりやすい善意は存在しません。実に身勝手かつ自分本位な奴らなのであり、間違っても正義の味方というわけではない。彼らは彼らで、自分たちのやりたいように行動しているだけです。

俺みたいにイカレた奴でも、自分の衝動を発散するのに理由は欲しい。
自分を正当化する理由だ。他人から見て正しいかどうかは知ったことじゃない。俺が納得できるだけの理由を持った誰かでさえあればいい。

 別に彼らは被害者に心を痛めているわけではなく、単に自分たちの衝動をぶつける相手を求めているだけ、というのがわかりやすく見てとれます。「なんで自分と関係ないやつを助けなきゃなんねーの?」という反応がとても今風で寒々しい。その割に、彼らの態度は妙にフラットで、冒頭では人一人を誘拐した直後にも関わらず、気の抜けるようなオタ談義をしたり、アニメをレンタルしにいったりと、どこか弛緩した空気が漂っているのが印象的です。人一人をなし崩し的に攫っておいて、暢気に仲良く会話しているところに空恐ろさを感じさせます。ストーンコールドでもそうでしたが、明らかに残酷で悲惨なことが起きているはずなのに、独白やト書きでさらっと書き流されてしまう無関心さが恐ろしい。
 ストーンコールドと比較するとなれば、ヒロインに触れないわけにもいきませんね。あれをヒロインと言ったら、他の作品に怒られるような気がしますけど……。スピットファイアのヒロイン・倫子ですが、どんなキャラかと一言で言いますと、屑の権化のようなビッチです。倫子は作品の三分の一くらいまで名前しか登場せず、彼女についてはただ悪評によるイメージ像を築かられていくのですが、果たしてようやく登場した時の実像は、読者の期待を裏切りません。乱交目的のドラッグパーティーに参加しているようなヒロインなんて、そうはいない。この倫子というキャラクターは言ってることもやってることもゲスとしか言いようがないのですが、それでもあまり嫌いにはなれないのは、倫理観がトんでるクセにどこかロマンチストで、反面妙にリアリストな側面を内包していたからでしょう。

「私はさ、私の事を好きで好きで堪らない奴が好きなの。ツラとか歳とか関係ないの。とにかく一番私を好きって奴がいいの」
「嫌いで仕方ねえとしたら?」
「そういう奴を追い込むの大好き。沙都とか、あいつ私みたいなの軽蔑してんの、伝わってきたからさ。やれって言われなくてもやってたね、きっと」

 彼女は、強烈にそして熱烈に、ただ自分だけを求める他者を求めています。それは、主人公の奥底で眠る他人の内臓を見たいという執着と親和性が高く、だからこそ二人は一時的にではあれど、互いに惹かれ合います。

「……昔さ、俺、腹切られてさ」
「は?何で?何ソレ?」
「まあ子供の喧嘩って感じでな。たまったま近くにハサミがあったんだ。裁縫に使うでっけえ奴。子供の手だからさ、四本指入れる大きな握りの方だけ握って斬りつけてきたワケだよ、そいつが。(中略)まあ、そうなるとハサミなんて開いちゃうからな、刃が。裁ち切りバサミなんて片刃で振り回したら立派なナイフになるし、キレ味はいいしよ。腹、ずっぱー裂けちゃって、腸とかでろんでろんに出ちゃってよ、俺」
「よく生きてたな、オメー」

 この告白シーンが、作中における肝だったのではないかと。恐らく弦は自分の中身を知ってしまってことで、他人の中身がどうなっているか、気になって仕方なくなったのでしょう。そこには、客観的に予想されるものよりも、遥かに普遍的な欲望があります。もちろん、彼らの行動が正当化されるという話ではありませんが、少なくとも、弦の他人の中身を知りたいという渇望は、誰しもが抱える根源的な欲求だと思います。

「……お前さ、俺にどこまで付き合う?」
「何の話だ、それ。……まあ、ここまで来たら最後までって気はしてるし、大体、今更帰れったって帰れねえよ、始発も動いてねえんだからよ」
そう言われれば、そうだったな、と思う。
馬鹿馬鹿しいことを尋ねた、という反省みたいな物が湧き上がってくる。
「……俺が、お前を殺すって気分じゃなくなったとしても付いてくるのか?」
「それは少し、魅力がない」
「じゃあ離れろよ。俺はもう春鷹を救い出すって事だけ考える」
「別の気持ちとか、ない?」
「別って何だよ?」
「殺すんじゃなくて、私を好きって気持ちとか。殺す以上に、私を好きになるとか」
「冗談じゃねえ、って気はする」
「真面目に考えてくれない?」
「何でだよ?」
「私にとってもアンタにとっても、何となく、そういうのが一番大事な気がするから」

 結局弦も倫子も、自分の欲望に対し、妥協しませんでした。その道がなかったわけではないのに、上手く昇華できなかった。それはいったい何故なのか考えてみることで、この作品の価値はより深まると思います
 彼らは今後も刹那的に破滅的に、好き勝手やって生きていくのでしょうし、最期が訪れる時までそう生きれればよいと思いますが、しかしストーリー的には伏線が投げっぱなしにもほどがある状況であり、読者としては将道と沙都のその後が気になって仕方ありません。弦が彼らに興味がなかったことはわかりますし、ここまで無視されると逆に清清しいのですが、私は彼らの顛末に興味津々ですので、最終巻で回収されると信じております。

・『聖剣の姫と神盟騎士団』。超王道ファンタジーという煽りも決して間違いではありませんが、正しく言うなら王道ファンタジー+邪道主人公による軟派なストーリーであります。王道的なファンタジーといえば、最初はか弱く世間知らずな主人公が少しずつ成長していき、世界の謎を解き明かしてラスボスを倒すストーリーですが、今作の主人公・ダークは既に能力面での伸び代があまりなく、これから先の劇的な成長は見込めない上に、現時点の能力も凡庸という、ファイアーエムブレムで言ったら中盤で出てくる上級職並に御通夜状態のステータスのため、到底そういうストーリーにはなりそうにありません。そんな中途半端な戦闘能力しか持っていないダークが、じゃあこれからどうやって目の前の苦難を乗り越えていくのかというと、持ち前の口八丁で乗り切っていくわけですね。いやいや、これのどこが王道?と首をかしげること然り。ちなみにストーリーは、小物でお調子者の楽天家・ダークが、ヒロイン?のフィーネ(相変わらずこの作者はストレートに可愛いキャラが描けないようで……)に「自分を裏切ればいつでも殺せる」呪いをかけられて(正確には身体に魔法の剣の切っ先が埋め込まれている状態)、やむなくフィーネに付き従い今まで属していた自軍を打倒していく、というもの。烙印の紋章同様、硬派なファンタジーを期待した人には多少肩透かしでしょうし、いまいちわかりやすいカタルシスが得られないものの、私はこのノリも嫌いではありません。

・『千の魔剣と盾の乙女』。魔王を倒すため、冒険を続けるロック(とそのハーレム)御一行の物語もついに10巻となりました。めでたいですね。当然特装版を購入させていただきました。本編については、これまでの旅によって強固に磨き上げられた意思を見せ付けた展開だったなと。かつて師匠に憧れる英雄志願だっただけの無謀な若者は、いまや本物の勇者になりつつあると確信させるに足る展開でした。ホルプ復活からアレンを倒すシーンは、王道ながらも盛り上がりました。ラスボス戦の後に隠しボス戦があることも発覚し、いよいよ最終決戦も間近というところですね。本当にRPGライクに作られたストーリーだと思います。

・『ソードアートオンライン』。アリシゼーション偏も、早くも4巻となりましたが……話、全然進まなかったですね。てっきり今回で塔を登り切るものと思っていたら、前半部分の大半が状況説明に当てられており、終盤でようやくアリスと再会できたものの、ストーリー的にはほとんど進まず。テキストはとても読みやすいですし、読んでいる最中はあっという間に時間が過ぎましたが、読み終わってみるとやはり状況説明が冗長でしたね……。

・『鳥葬』。江波光則のもう一つの新作。セックス&バイオレンスを地で行ったスピットファイアとは異なり、こちらはSNSの話で、終始平坦で淡々とした落ち着きのある展開でした。ネットで枯れ木のような作品という評価を見かけて深く納得。ストーリーは、幼少期に起こしたある事件が原因で疎遠になってしまった幼馴染(男)がラブホで首を吊って自殺し、彼から直前に送られた『過去に殺される』というメールを不審に思った主人公が、その死因の真相を調べるべく行動する、というもの。根幹部分をネタバレするとラストのオチがつまらなくなると思いますので伏せておきますが、その過程で幼馴染が主人公のフリをしてSNSで粋がっていたことがわかり、主人公は困惑する、という展開です。ペイルライダーの主人公もネットで感想サイトをやっていましたが、もしかしたら作者は、ネット上で色々と書きたてられることについて、思うところがあるのかもしれません。一度ネットにアップされた情報は、アーカイブ化され、永遠に残り続けるという考え方を見て、クンデラの不滅を思い出したりしました。

・『デスニードラウンド』。このタイトル、何度見てもデスニートと空目してしまう……という寝言はおいておいて。銃社会と化した架空の日本を舞台に、両親から多額の借金を押し付けられて傭兵業を営むことになった女子校生・ユリは、初ミッションでバーガーショップのマスコットキャラクターを暗殺することになる……という明らかに色物くさいあらすじであります。本当に大丈夫かこれ……と戦々恐々していましたが、いざ蓋を開けてみればどこからどう見ても真っ当な色物でした!女子校生の三人称、ベン・トーで磨き上げられた食欲を刺激する食事風景、ワックとロナルドという外角ギリギリを狙う際どい名称、ミリタリ臭溢れるサバゲーもどきの銃火器の描写等々、作者がフリーダムに書いたであろうことが伺えます。ネックなのは、銃で撃たれても死なない、いわゆるギャグコメディちっくな戦争ラノベなのかと思ったら、普通に人が死んで、思った以上に人を殺す描写をストレートに書いてきたところですね。倫理観が崩壊している世界観ならまだ納得できるのですが、ユリは傭兵家業に営む傍ら、普通に学校に通う学生でもあるため、かなりアンバランスさを感じさせました。シリアスかギャグのどちらかに偏っていたほうが、作品としての質は高まったのではないかと思います。

・『翼の帰る処』。病弱系真面目主人公が、なし崩し的に政治の中心に引き込まれ、否応なく王宮の権謀術数に関わることになる異世界ファンタジー。ハードカバーサイズになってからは初めての新刊で、シリーズとしては1年半ぶりの新刊となりました。随分待たされた甲斐あって鉄板の面白さですね。一気に話が進み、そろそろこの物語も佳境なのかなと思わされたり。これまで仄めかされてきた西王国との関係を清算するところまで書いてくれると嬉しいんですが、そこまではまだまだ遠そうだ。ヤエト没後、養子をメインに据えて第二部が始まる、くらい気長にやってくれても全然構わないんですけどね、個人的には。現状気になるのは、ヤエトと皇女が結びつくのかどうなのかですが、そう簡単に二人が結婚して子供が生まれてちゃんちゃん、という展開にはならないでしょうね……。

・『ヒカルが地球にいたころ……』。主人公に取り憑いたイケメン公子が生前清算し損ねた女絡みの後悔を解決していく話。今回は中でもターニングポイントとなる巻だったのではないでしょうか。たとえ大切な人から愛されなくとも、その人を愛さないことが正解というわけではないし、ましてや愛してはいけないということでもないだろう、という話。ヒカルの謎が明らかになるにつれて、少しずつではありますが、物語の中心が是光へとシフトしてきているのを感じます。

・『ベン・トー』。苛烈な半額弁当争奪戦を描いたシュールシリアスコメディ。今まで登場してきたキャラが再登場したり回想されていたりついにウィザードが出張ってきたりで総決算的な巻でしたが、まだまだ続くらしいので一安心。今回は弁当争奪戦よりも、平素にも増してゲスいヨー・サトウが目立ってました。白梅に対するセクハラまがいの妄想はいい加減自重されるべきですが、茉莉花へのセクハラは正直アリだと思います!こよりを使ったプレイはもう何の話なのかわからなくなりましたが、合法的にエロかったのでよし。

・『魔弾の王と戦姫』。人同士の争いを描いた、魔物が一切出てこないファンタジー戦記。前回で内乱が終息し、今回はそこから半年後、新天地を舞台に第二部スタートがします。ようやく戦姫が出揃いましたが、さてここからどうするつもりなんでしょう。ティグルが全ての戦姫を従えて王となる展開が一番王道だとは思いますが、今のところその道筋が見えてこない。かなり長期的なシリーズを見据えているのでしょうか……。ちなみに、あとがきで書いてある老衰って絶対サーシャのことですよね?さすがに冗談でしょうが(ですよね?)、キャラクター小説でいきなり老衰でキャラが死んだら炎上もいいところですよ。編集はいい仕事をしました。

・『八百万の神に問う』。楽土と呼ばれる天国のような世界が舞台の和風ファンタジー。夢の上を書いた多崎礼の新シリーズです。続きが出るまで寝かせておこうと思ってましたが、いざ手に取ったら最後まで読み進めてしまいました。やはり、多崎礼の作品は一度読み出すと止まらない。今回は、事前に予告されていたとおり、日本語の持つ力そのものを掘り下げていく話になる様子。音導師と呼ばれる揉め事の仲介役が主人公で、音討議と呼ばれる一対一裁判のような対話を通じて、人と人の裏に秘められた感情を汲み取って蟠りを解いていく、というのが大まかな流れになるのではないかと。今回はイーオンの独り舞台でしたが、作品は春夏秋冬の順番に出されるようなので、今後は恐らく成長したサヨの活躍が読めることでしょう。これから先訪れるのであろう動乱をどうやって乗り越えていくのか、今から楽しみです。

・『やましいゲームの作り方』。荒川工プレゼンツ・エロゲー業界裏話。少し古臭い話あり、やたらと生々しい話アリ、業界暴露本的な内容ですが、ストーリー自体は、親が子を庇って亡くなり、子は親のゴーストライターとして仕事をしてシナリオを完成させ、また違うシナリオを手がけようとするも、これまで頼りにしていた父の亡霊はいなくなってしまう、という重っ苦しい展開。コミカルなテキストで語られているから忘れがちになりますが、基本的には暗い話です。
 ストーリーに関してはそれで十分として、何が言いたいのかいまいち見えてこない巻でした。読者として一番聞きたいのは、ノベルゲーをまた作るつもりがあるのか、つまりはるはろを出すつもりがあるのか否か、ということであり、私はこの作品を通して、作者なりの意思や熱意が伝わってくることを期待していましたが、今のところその気配はありません。てっきり、父の亡霊を表意させた主人公が、お蔵入りした父の企画を蘇らせるゴーストライターとして活躍する展開になるのかと思っていましたが、予想以上にあっさりと父親の亡霊は消えてしまいました。あとに残ったのは「他人が書いたクソシナリオ」だけです。

「そうかもしれないよ。でもそうじゃないかもしれないだろ。(中略)だから、そんなのはきっと時間が解決してくれんだよ!!」

 これは、いなほが龍介のことを忘れられなかったらどうする、という問いに対しての返答ですが、ここが今作で一番引っかかりました。確かに、大体の問題は時間が経つことでなんとかなります。それは歳を重ねれば重ねるほど、実感できます。だから間違っているとは言いませんが……このタイミングで、いなくなる立場の龍介から「時間がなんとかしてくれる」という論調を持ち出されると、酷く引っかかるものがあります。
 作者には書きたいエピソードがあるそうで、どうやら次巻が出ることだけは間違いないようですが、そこで出される結論がどうなるのか、今から怖くて仕方ありません。新生エロゲライターとなった息子が、クソシナリオを書き直して普遍的名作を作り上げる展開以外、ないとは思うのですが……。

・『四百二十連敗ガール』。毒舌暴力少女・毒空木美也子に告白された主人公が、彼女と付き合うのを回避するため全校生徒に振られるまで告白し続けるという、これが自分だったら一生モノのトラウマになるのではないかと思われる物語。魅力的なキャラクターをたくさん登場させるためにこういうストーリーにしたのだと思いますが、一番かわいいのは毒空木だという事実。これで暴力的じゃなければ、文句なしで最高なんですが、ままならない。

・『ロウきゅーぶ!』。男子高校生と小学生の少女達がバスケットに戯れる様を描いたロリスポ魂作品。相変わらずあんまりバスケしねえなあ……と思いつつも、ストレスを感じさせずにさくさく読めるので、やっぱりよいラノベだと思います。ところで、バスケをやっていた身からすると、慧心が硯谷に勝つのは結構納得行かないのですが、そこのところどうするつもりなんでしょうね。昴の練習方針はもちろんわかりますが、なんだかんだでバスケをはじめとする多くのスポーツ競技は、真剣に打ち込んだ練習量の多寡が勝敗を決するのであり、才能とチームワークだけで勝ってしまうというのは些か不満ではあります。


・一般小説。
・『芙蓉千里』。帝国の娘で存在を知った須賀しのぶの別シリーズ。帝国の娘の続きは出ませんか、そうですか……。さて、ストーリーは一人の少女が芸技として有名を馳せるまでを描いた架空叙事伝になる様子。ロシアで大陸一の女郎になろうとしたフミと、借金の形に女郎部屋に売られながらも芸技になることを夢見たタエ。彼女達は互いに、自分の目指した分野の才能はなく、お互いの目指した夢にこそ才能があった。そこで彼女達は、お互いの夢を交換して、自分が相手の夢を叶えようとする、という展開です。お互いに望まぬ才能を持ったフミとタエですが、どちらかといえばタエのキャラ造詣に惹かれました。単純な友情だけでは語れない、フミへの複雑な感情が強く印象付けられました。
・『夢を売る男』。小説業界屈指の器用な作家、百田尚樹の新刊は、出発業界に纏わる黒い話的なストーリー。序盤はテンプレをなぞらえた「俺はまだ本気を出してないだけ」な承認欲求丸出しのキャラの姿を見せ付けれて「うっ…」となりました。よくもまあ、ここまで薄っぺらい人物像を描けるもんだと感心。


・音楽。今回はベスト15をチョイス。購入するCDの数は減ってきましたが、その分頭に残る曲が増えました。
・『The House In Fata Morgana Original Sound Track』より「Cicio」。ファタモルガーナの館で使用されているボーカル入りのBGMで、珍しく非メタル曲です。聞いていると、ささくれ立った心が穏やかになり、ゆったりと安らいだ気分になれる癒しソング。眠る時にしょっちゅう流してます。しーしーおー。

・同じく『The House In Fata Morgana Original Sound Track』より「Giselle」。こちらも非メタル曲。ピアノ+ボーカルありのBGMであるところは同じなのですが、こちらはファタモルガーナの館でも核となるシーンで流れる曲なので、更に印象強く記憶に残っております。ちなみにこの曲は歌詞が外国語でして、最近まで何語なのかも調べずにただ漠然と「イタリア語とかその辺だろう」と踏んでいましたが、せっかくなので調べてみたところどうやらこれはポルトガル語っぽいですね。サウンドモードに和訳された歌詞が載っているので、歌に込められた意味はちゃんと伝わっていましたし、「Eu so tenho o desejo que saber seu sofrimento interior avise me deste peso quanto」「Eu so tenho o amor」等々、実際凄くいい歌詞なんですが、でもなんでイタリア語とかフランス語とかじゃなかったんだろう……。もし誰でも気づくような意味があるようなら気づけなくて恥ずかしいですね。不勉強で申し訳ありません。

・LIGHT BRINGER『Scenes of Infinity』より、「Tales of Promise ~天国に寄せるポエトリー~」。1年と四ヶ月ぶりのらぶり~新譜。前作genesisは、率直に申し上げましてあまり好みではありませんでしたが、今回の新譜はどの曲もクリティカルにイイところを突いてきてます。一部首を傾げたくなる曲もありますが、概ねハードかつスピーディな曲が揃っていて、らぶり~に求めているものはこれだよ、こういうのなんだよ!と強く頷ける内容に仕上がっています。特に8曲目はシリアスなイントロから始まるキラーチューンで、そこまで疾走していませんが、雰囲気は明るいはずなのにどこか影の漂うメランコリックなメロディが心を鷲づかみにしてくれました。ラストのクワイアからの畳み掛けるようなラッシュがクサすぎる。Fukiのヴォーカルは相変わらず突き抜けるように気持ちいいハイトーンであり、声質が底抜けに明るいので聞いているだけで元気が出ます。ポジティヴに響くビブラートは聞き心地がよい。他にも6曲目のインストが印象に残りました。IN MY DREAMみたいなイントロだなと思ったら重厚でハードなメロディに切り替わり、ピアノメインでジャジーな音作りをしていたかと思えばヘヴィで刻み込むようなHRになったり、これぞプログレといわんばかりに目まぐるしく動き回る曲。なんだかチョロQのBGMっぽい曲調だな、と思ったり。あとはプレッシャー漂うイントロから開幕シャウトをかましてくる1曲目、バラード調ながらも哀愁ばら撒く歌メロと色気のあるベースが印象的な7曲目等、良曲尽くしのアルバムでした。

・GLIDIA『Crophilia』より、「ネクロフィリアの剣」。GILDIAの作品は全て購入しておりますが、この『Crophilia』はこれまでのアルバムの中でも最高傑作といってもよいのではないでしょうか。どの曲もよいのですが、何せネクロフィリアの剣がクサい!購入してからはひたすらヘビーローテしてました。英語のコーラスが加えられた緊迫感のあるメロディで始まり、のっけからチェンバロとドラムを入れて疾走する王道メロスピ。荒ぶるピアノソロからのツインリードがツボすぎます。歌詞もやたらとダークでいいですね。惜しむらくはプロダクションが軽いということでしょうか。

・Vermillion-D Alice Syndrome『Barrage Am Ring 2 Original/Side』より、「悲劇たるは華燭の日、斬罪は囹圉の露に睡る」。黒夜葬のHPを覗きに行ったらサイトがなくなっててかなり焦りましたが、サイト名義をVermillion-D Alice Syndromeに変更しただけだったようなのでほっと一安心。これまでどおり、安定感のあるシンフォニック・メロディックデスです。相変わらずサビが異様にキャッチー。残念ながら今期聴けた新曲はこれだけだったので、早く夏コミに出るっぽいニューアルバムが聴きたいですね。

・世の漆黒『デカダンス・ヴァニラ』より、「不夜城」。実質これ1曲しか入ってないようなシングルでしたが、不夜城のクオリティがビックリするぐらい激高だったので不満はありません。つーかイントロとラストのヴァイオリン+タッピングとギターソロがカッコよすぎます。最初は、気だるげな女性Voがもっとパワフルなハイトーンだったら更に強烈なメロスピに仕上がっていたのでは、と思っていましたが、聴いているうちに馴染んでしまったので、これはこれでアリです。

・岸田教団 & The 明星ロケッツ『ロックンロール ラボラトリー』より、「自由への賛歌」。溜め込まれた鬱屈が開放されて、吹っ切れたように爽やかになるサビの歌メロがお気に入り。ちらっとしか聞こえないピアノがお洒落です。かなりノリのいい曲なので、ライブで演奏されると盛り上がりそうですね。思わず一緒に歌いたくなります。あとはこれまでの岸田っぽさが強く出されているcause to decideもかなりお気に入り。こっちは青臭さと倦怠感が混在している曲で、憂鬱さの漂うメロディに心が惹かれます。

・Asriel『黄昏の月と漆黒の太陽』より、「JUPITER」。これぞAsrielと言えるような、叙情性と激しさを合わせ持つメロスピチューン。ギターソロから憂いを帯びたボーカルが流れ、再度激しいソロへと移り変わる展開はわかやすくグっときます。プロダクションレベルがかなり高品質なのも◎。おかげで耳音痴の私でもしっかりと音を聞き分けることができます。

・THOUSAND EYES『BLOODY EMPIRE』の全曲。これまで長いこと東方アレンジCDを送り出してきたThousand Leavesのオリジナル名義による新譜。全ての曲に咆哮と慟哭と哀愁が備わっており、激しく攻撃的なメロディと噛み付くように凶悪なデスヴォイスとは裏腹に、どの曲もどこかしら叙情的なメロディが含まれているというメロデスのお手本のようなアルバム。その代わり突出して印象に残る曲が少ないのですが、決して曲毎の個性がないという意味ではありませんのでご安心を。

・Resonecia『Schicksal』より、「Diva der Stolzes」。ファンタジック・シンフォニックメタルの決定盤。満を持してのアルバムとなりましたが、待った甲斐あってどれもこれもクサいのなんの。ツインボーカル(正確には片方はコーラス?)で疾走されちゃそれだけでもうノックダウンですよ。随所で聴けるクワイアとギターがまた熱い。ストリングスパートの多いVerbrechenもお気に入りです。

・UNDEAD CORPORATION『O.D.』より、「Gone With The Blast」。これまでは東方メロデスを送り出してきていたサークルのオリジナルアルバム。サビが女性のクリーンVo、それ以外が男性のデスVoといった振り分けの曲が多く、どちらかといえばスクリーモっぽい曲の方が多いですかね。サビが明るいおかげか、重厚でゴリゴリした音作りをしている割に、攻撃的な要素は控え目なので、メロデス入門にはいいかもしれません。

・Roman so Words『雪月華』より、「everlasting snowy Tree」。疾走⇒休憩⇒疾走⇒休憩⇒疾走...、というループを繰り返すクサメタル好きのツボを刺激しまくる展開がたまらない。ギターとアコーディオンが入り混じるパートがやったらとクサい雪奈もオススメ。

・CROSS VEIN『Birth Of Romance』より、「Noble Scar」。最初は偏見丸出しで身構えてましたが、Noble Scarを聴いてすぐに考えを改めました。展開が劇的すぎます。

・Unlucky Morpheus『Parallelism・β』より、「Change of Generation」。久しぶりにわかりやすくメロスピしてるアンキモが聞けました。途中から好みとは違う音楽性に向かっていってしまい、このままお別れすることになりそうでしたが、ついに原点回帰してくれたようです。まあ、アンキモと銘打ちつつもFukiが歌っているのは半分だけなんですが……。

・5150『四季楽典 最終章』より、「四季楽典」。イハイとどちらにするかで迷いましたが、やはりここはシリーズのトリを飾る曲で。語りがあったりシンフォニックになったりアニソンっぽくなったりプログレになったり疾走したり、おいしそうなところを可能な限り詰め込んだ大作として仕上がっております。8分以上ある曲だけあって聴き応え抜群でした。


・アニメ。
・『琴浦さん』。他人の心が読める琴浦さんが変態エロス真鍋くんの助力を得て社会復帰していく話(違います)。WEB版とは異なるキャラデザ・設定に若干の不安がありましたが、いざ始まってみればアニメはアニメとして楽しめました。重たい設定の作品だからこそ、可愛らしいキャラデザに変更したのは正解だったかも。

・『俺の彼女と幼なじみが修羅場すぎる』。中二病を患っていた過去を持つ主人公とフェイクの彼女と肉食系幼馴染と前世の恋人と暴走系婚約者たちが織り成す、ゆる修羅場系ラブコメ。ムシウタがアニメ化された時は、キャラデザがかなり変更されたので、今作もどうなることかと思ってましたが、不安に反してかなりの高レベルでろろお絵が再現されていました。それだけで満足です。ストーリーは……やっぱり映像映えはしなかったなあ、という印象。でも愛衣ちゃんは大勝利でした!

・『THE UNLIMITED 兵部京介』。サンデーで連載されている超能力ものの漫画、絶対可憐チルドレンのスピンオフ作品。タイトルがわかりづらかったので危うく見逃しそうでしたが、滑り込みセーフで視聴できました。本編である絶チルは数年前に一回読んだっきりなので着いていけるか不安したが、ストーリーがパンドラサイドを重点的に掘り下げていく展開で、かつ戦闘シーンがメインの作品だったこともあって、本編のことはあまり意識せずに楽しむことが出来ました。

・『直球表題ロボットアニメ』。MMDと呼ばれる3DCGソフトウェアで製作された、若手女性声優による漫才アニメ。gdgdフェアリーズ2期がなんとなく物足りなかった代わりに、こちらが暴走してくれてました。最初は出演者にも固さがあり、作中に漂う空気があまりにも微妙で「お、おう……」となっていましたが、声優さんがこなれてきた中盤あたりからははっちゃけ具合が増してきて、違和感なく楽しめるようになっていました。それも踏まえたうえで脚本を下ろしていたのだとすれば見事。ここまでフィクションとしてのストーリー性がないと、テレビでやっているバラエティ番組といったい何が違うのか、という疑問も湧いてきますが、面白かったからいいや。

・『ラブライブ』。廃校予定の母校をPRするため、女の子たちがトップアイドル目指して活動していく話。冷静に考えれば考えるほど、どうしてこうなった感溢れる世界観が気になりますが、そこはあれだ、気にしたら負けだ。少なくとも、登場人物はみんな真剣にアイドルを目指しているので、冷やかすような要素はありません。私はアイドルマスターにはほとんど興味を持つことがなかったのですが、今作には激ハマりしました。根底にあるのがスポ根要素だったところが親しみやすかったんでしょうか。まあ難しいことを言わずとも、2Dと3Dが入り混じるライブシーンはどれも秀逸であり、何度も見返したくなるものばかりでした。つーかライブDVDを購入する一歩手前でした。直前で思い留まりましたが、ラブライブで流れている曲はどれも歌詞がよく、元気が出る前向きな曲がとても多かったので、アルバムくらいは買ってもよかったかな、と今でも思っています。印象的だったフレーズは「きっと青春が聞こえる」「悲しみに閉ざされて泣くだけじゃつまらない」「答えなくていいんだ わかるから」「元気の温度は下がらない」等等。2期の放送が決定したことはめでたいですが、ミューズのメンバーはどうなるんでしょう。実際に3年生は卒業が近いわけで、1期の続きとなるとメンバーの変更は避けられなさそうな。新メンバー加入はとても王道展開ですが、そうなると従来のファンからは嘆きの声が溢れ出そうですね。

・『進撃の巨人』。大きな壁の中に閉じこもって慎ましく生きる人類と、それを捕食せんとする巨人たちの壮絶な戦いを描いたファンタジー作品。あまり期待せずに見ましたが、すみません、めっちゃ面白かったです。今では反省してます。あんまりにも面白かったので、途中までしか読んでなかった原作漫画を全巻買いました。作画も脚本も演出もBGMも全てが高レベル。7話は何回も見直しました。特に印象的なのは、立体起動装置のガスが切れ、「いい人生だった」と全てを諦めかけたミカサが、エレンとの過去を思い出して「死んでしまったらもう、あなたのことを思い出すことさえできない」と独白するシーン(もちろん、この後の巨人VS巨人のシーンもかなりお気に入り。興奮でワクワクさせられっぱなしでした)。戦闘シーンが動きまくっているので、どうしてもド派手な場面に目を奪われがちですが、こういう非戦闘シーンの細かい演出もすごい気が効いています。

・『はたらく魔王さま!』。異世界で勇者にこっぴどくやられた魔王様が、日本のマクドナルドでアルバイトをしながら魔王軍の再起を目指す姿を描いた、ファンタジー作品ながらもえらく庶民的な話。こちらも積極的に楽しみにしていた作品ではなかったのですが、終わってみれば春アニメの中でも1、2を争うほどに楽しめました。これに関しては1話での掴みが完璧だったのが大きいですね。原作の展開を再構成して、魔王がエンテイスラから脱出するところから開始するように時系列を変更したのは大成功だったのではないかと。魔王が日本に馴染んでいく過程が描写されたことで、物語の流れがスムーズに頭に入ってきました。影響されて原作を全巻買いましたが、2巻を1クールとかなり丁寧なアニメ化だったのも好印象。また、声優さんの名演(迷演?)の甲斐あって、どのキャラクターは魅力値が底上げされていました。あざといのはわかっていても、あれだけ可愛いとちーちゃんに転ばざるを得ません。

・『マジェスティックプリンス』。待ってましたのSFロボットアニメです。訓練生の残念5人集が、アッシュと呼ばれるロボットに乗せられて、宇宙空間を舞台に敵対勢力と戦っていく話。ロボットものとしては珍しいのが、主人公達は戦争に巻き込まれたわけではなく、最初から戦うことが運命付けられている、というところでしょう。彼らはあまり悲壮感を出さずに日々を明るく過ごしていますが、幼少期の記憶は消されていたり、過去を持たないために軍に従うしかない存在であり、バックボーンはかなり重たいです。ストーリーも、どちらかといえばキャラクター先行型の展開ではありますが、世界観はきっちりと練られています。世界観設定は若干ファフナー臭がする内容で、主人公達は全員戦争するために生み出されたデザイナーチャイルドで、用意された特殊ロボットは彼ら子供達にしか乗れない、搭載されている特殊システムは搭乗者の本能を変容させる、大人たちはそれを見守るだけで戦闘には参加しない、と重なる部分が結構あります。ナチュラルに兵士=消耗品という図式が提示されていて、なかなかにきついものがあります。主役の5人集が明るく御馬鹿に振舞ってくれているためまだ救いがありますが、今後はさらに戦闘が激しくなりそうですし、ドンドン重苦しくなりそうな予感。あとは主題歌がかなり印象的。「愚かに人並みになっていく」「規格外の誰かになってみせる」「遺伝子に背を向けて」「むしろウィルスを待っている」等々、今後の展開を仄めかすような歌詞が記憶に残ります。

・『翠星のガルガンティア』。ヒディアーズと呼ばれる宇宙生命体を殲滅するため戦い続けていた少年・レドが、ワープに失敗して水の星と化した地球に転移し、言葉の通じない人々と少しずつコミュニケーションを図って仲良くなっていく話。SFロボットアニメかと思ったら異世界異文化コミュニケーションアニメでした。でも純粋にストーリーが面白かったのでOKです。そんなわけなので、戦闘シーンはあまりありませんが、数少ない戦闘シーンは登場機体が無双してくれて大いに童心が擽られました。チェインバーのオーバースペックっぷりには中二心が沸き立ちます。文明レベルの違う武装によるオーバーキルはあまりにも無慈悲。世界観にも仕掛けが用意されています。人類VS異生命体の図式だと思ってたら、まさか旧人類VS宇宙に適応した人類という図式だったとは……。SFものの基本だとはいえ、すっかり騙されました。

・今期観たアニメーション映画は言の葉の庭のみ。実写系に至っては0本という体たらく。AURAは気づいたら放映が終わってました……。レンタルされたら見ます。




・上半期の展望。
・コンシューマ。デビサバ2の3DS版はちょっと気になってますが、追加要素がどうなるのか不透明なので、評判を見てから判断します。PS3では魔装機神Ⅲや閃の軌跡、ティアーズ・トゥ・ティアラの続編等が発売予定。魔装機神はⅡをやってないのでノーコメントとして、閃の軌跡はどれくらい出し惜しみしてきた設定を出すつもりなのか気になっています。HPの年表を見ると、零の軌跡と同じ時間軸でやるようなので、さすがに碧の軌跡の続きまでやるってことはないでしょうから、閃の軌跡の続編あたりがシリーズ集大成になるんでしょうか。今のところ、過去作品のキャラは登場人物に載ってませんが、どこまで関わってくるのやら。TOTは1のPC版をプレイ済み。どちらかいえば、ファンタジー作品として見るならうたわれるものの方が好みで、どちらかといえばうたわれるもの2の方が(あの結末からどんな続きになるのかという意味で)気になっていましたが、こちらが先にきましたか。あまり無印のストーリーを覚えていないのですが、どんな感じのお話になるのやら。


・エロゲ。今のところ、発売日が決まっているもので購入確定しているのはイロトリドリノセカイのみ。上半期、アホみたいに買ったのが嘘みたいですが、前回決めうちして購入した作品群がことごとく嗜好と合わなかったので、しばらく様子見をしたいと思います。一応、幾つかチェックしている作品はあるので、それらだけ備忘録代わりに載せておきます。
・『雨音スイッチ ~やまない雨と病んだ彼女そして俺~』。いわゆるヤンデレがコンセプトになっている作品。ヤンデレにフォーカスを当てた作品は今となっては珍しく、加えて独占欲が強いだけで殺傷沙汰のないヤンデレヒロインって滅多に出てこなくなったので、この作品はどうなるだろうかと見守っていましたが、やっぱり刃物は出てくる様子。ちょっと気にはなったものの、さすがに定価で買うのは厳しいので、そのうち安売りしていたら買うかもしれない。
 そういや似たタイトルで止マナイ雨ニ病ミナガラって作品があったな、あれって結局どうなったんだろう……と思ってググったらWIKIが復活していました。何か活動再開しているような雰囲気もありますが、数年越しで完成したりするんでしょうか。
・『カルマルカ*サークル』。御厨みくり参加ということでチェックはしていますが、共著だというところで二の足を踏んでいます。共著が嫌ってほどじゃないんですが、どちらかといえば単一ライターの方が好きなので……。天色*アイルノーツも鏡遊と紺野アスタが参加しているということでチェックしていますが、同じく共著なのが引っかかっています。
・あとは正田崇の新作が発表されました。タイトルは『相州戦神館學園 八命陣』。東京魔人學園 剣風帖的なネーミングセンスですね。いくらなんでも今年発売はないだろう、早くて来春くらいかな、と思っていたのに、まさかの年内発売予定に血潮が滾る。ツイッターで情報を小出しにされる度にテンションが高まります。正田崇はツイッターの使い方が上手いので、ついつい踊らされてしまう。まだまだ情報が少ないのでなんとも言えませんが、ツイッターでの様子を見る限りでは、パーツ自体は予想以上に完成しているのかもしれません。本当に今冬発売だとすれば(個人的には来春くらいまで待っても無問題なんですが)、もしかしたら今冬は戦神館、来春にはサクラノ詩が楽しめたりするのかもしれない。……まあ、サクラは出れば御の字、くらいに受け止めていますけども。。
・末期、少女病は、結局発売されなそうで悲しい限り……。これは昔からずっと感じていたことですが、この業界ってまともに音頭が取れる人が本当に少ないんですね……。合掌。


・同人関係。夏コミで発売されるらしいファタモルガーナの館の設定資料集は必ずゲットしたいところ。記念に2冊くらいは手元に置いておきたい。その次はFDになるらしいですが、こちらはまったりと待ちます。
・『東方輝針城』。しばらくぶりの東方新作ということで、体験版の映像がえらくもっさりしているのが結構気になってますが、せっかくの新作なので恐らく買うと思います。例年通りなら委託されるのは秋口くらいですかね。STGは神霊廟をクリアしてから全く触れておらず、さすがにもうルナはクリアできない気がするので、エクストラクリアくらいを目標にしておきます。
・『女装お嬢様への異常な愛情』。夜のひつじの新作。ラフの段階からワクワクが止まりませんでしたが、まさかの褐色メイド+女装ショタモノだったとは。どれくらい倒錯したシチュエーションが飛び出すのか、今から楽しみです。もう一本の新作、幼馴染のあいだに秘密はないっ!はタイトルだけだと馬鹿ゲーっぽさが出てますが、どんな内容になるんだろう。


・本関係。7月は欲しい漫画が目白押しで財布が寒いです。恋愛ラボ、軍靴のバルツァー、スピリットサークル、ヒストリエ、ヴィンランド・サガの新刊等が発売予定。加えて棺担ぎのクロまで新刊が出ると知った時は目を疑いました。こんな短いスパンできゆづきさとこの新刊が読めるとは……。おかげでこの1~2ヶ月だけで現在連載中で十指に入る作品はほぼ全て発売される形になりました。こんなに嬉しいことはない。
・その代わり、一つとても残念で残念で仕方ないのが、総合タワーリシチが完結してしまったことです。このサイトでは全く触れていませんでしたが、実はかなりのお気に入り作品だったのですよ、これ。あまりにも頻繁に読み返したもんで、1巻は擦り切れてボロボロになってきました。まだ2冊しか出ておらず、ストーリー的にもまだまだこれからだったはずなのに、出版社都合での完結。WEBつぼみも一瞬で消え去りましたし、悲しすぎます。非常に残念です。芳文社は芳文社でも、きらら系列出版されていればもっと長期化されたかもしれないのに……悔やんでも悔やみきれません。作者様には、これに挫けず、また新シリーズを描いていただきたいと思います。なお、作品個別の感想は、最終巻発売と合わせてまた別途書き上げる予定です。ああ、重ね重ね残念だ……。

・普通の小説に関しては、小説フランス革命の最終巻を買う予定があるくらいですかね。あとは氷と炎の歌の最新刊が出るはずなので、それを買って溜めていた分を一気読みするつもり。ラノベは目下今月発売のスーサイドクラッチが一番楽しみですかね。


・音楽関係はFleshgod Apocalypseの新譜が出るくらいで、ほかは購入予定なし。夏コミや冬コミで欲しいのが出たら随時買うくらい。というか、今のところ全くといっていいほど情報が出てこないのですが、少女病の新譜はまだなのでしょうか。1年新譜が出ないというのは初めてなのでは。それくらい練りこんでいる、ってことだといいのですが。


・映像関係。下半期もみたいアニメが目白押し。原作付きアニメだけでも、サーバント×サービス、ロウきゅーぶ!SS 、きんいろモザイク、ローゼンメイデン、物語シリーズのセカンドシーズン、恋愛ラボ、私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!、銀の匙、げんしけん二代目、ゴールデンタイム、WHITE ALBUM2等々、かなりの数があります。全部見ていると全く時間が足りなさそうですが、可能な限り追っていきたい。中でも気になっているのは、WA2、ゴールデンタイム、げんしけん二代目あたり。WA2はICのみということですが、ICだけで1クールってちょっと中だるみしすぎな気がするので、オリジナルエピソードが増えそうな予感がします。ある程度売り上げが出たらCCをやるつもりでしょうか。んで、それ合わせでFD発売とか。ゴールデンタイムについては、万里の演出をどうするのかということと、途中で区切るつもりなのかが気になっている。とらドラのアニメがそうだったので、もしかしたら原作も一緒に終わるのかもしれないですね。けんしけん二代目もどの辺りまでやるつもりでしょう。せめて最新刊のエピソードはやらないと、二代目をやる意味がなくなってしまいますので、せめてそこまではやってほしいのですが。オリジナル枠では、続投のマジェスティックプリンスや、ファンタジスタドールあたりを楽しみにしてます。マジェプリは徐々に主人公達がデザイナーチャイルドであることについて踏み込んできている気がするので、これから先はさらに重みが増してくるのではないかと期待しております。ジュリアシステムが各人の意識を侵食していそうなところも今後の波乱を呼びそうで今からドキドキが隠せない。ファンタジスタドールはパッと見子供向け(もしくは大きいお友達向け)みたいな作品に見えますが、そこは監督補正で深みのあるシナリオに仕上がっている……はずだと信じています。ギャップのあるアニメに仕上がっているといいな。


・必ず観に行くつもりのアニメ映画はPERSONA3とまどマギの二つ。空の境界は上映する映画館次第で判断。私の記憶が確かなら、未来福音はエピソード的にそこまで映像映えする内容じゃなかったと思うので、どのように映像化されるのかは気になってます。ヱヴァンゲリヲンと傷物語はやれば当然観に行きますが、下半期にやるかどうかはかなり疑わしいところ。来年やるならそれはそれで別にいいんですが、傷物語に関してはセカンドシーズンも始まってしまうわけで、そろそろどうにかしてほしいと思わなくもない。


・以上で終了となります。毎度お付き合いいただいている方はお疲れ様でした。ついに引用を入れるようになったせいで一部の感想が長文化し、書きながら「これセパレートしたほうがいいんじゃないの……?」と思うことしばしでしたが、せっかく(?)なのでそのままにしてみました。下半期もよろしくお願いします。
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漫画、ラノベ、ゲームなどのネタバレ感想記事を書いています。ネタがあるときはコラムみたいなものも書きます。あとアマゾンアソシエイトに参加してます。以下定型文。「このブログはAmazon.co.jpを宣伝しリンクすることによってサイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイトプログラムである、Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です。」

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