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ノベルゲームの枠組みを変えるノベルゲーム。 感想

 自転車創業から発売中の『ノベルゲームの枠組みを変えるノベルゲーム。』の感想です。ギャグのようなタイトルですが、これが正式名称です。別にプレイヤーをおちょくってるというわけではなく、ゲーム内容は事実タイトルそのものであり、タイトルとしてはこれ以上ないくらいわかりやすい代物となっています。率直過ぎてキャッチーさがないとは思いますが。

 公式からはネタバレに対する配慮が求められており、実際可能な限りまっさらな気持ちでプレイしたいと思う方もたくさんいると思いますので、今回の感想では作品紹介以上の情報を可能な限り伏せたつもりです。が、どんなところからネタバレに繋がってしまうかはわかりませんので、そういうのが嫌な人はHPで情報を取得されるようにお願いします。


 多少は事前情報を仕入れてしまっても構わないという方は、続きを読むからどうぞ。









 まずこのゲームを製作している自転車創業ですが、残念ながらあまり知名度の高い会社ではありませんので、軽く説明をします。人を食ったようなネーミングセンスからも察せられるように、一癖も二癖もあるゲーム性を持った作品を開発・販売しているメーカーです。過去作品には『あの、素晴らしい  をもう一度』『空の浮動産』『ロストカラーズ』『そう、あたしたちはこんなにも理不尽な世界に生きているのだらよ』『そう、あたしたちはこんなにも理不尽な世界に生きているのだらよ3 ※この世界で2の発売予定はありません。』といった作品があります。やたらと異彩を放つタイトルが混じっていますが、正式タイトルです。どの作品にも共通しているのが、全てにANOSという特徴的なシステムが導入されている点ですね。ノベルゲームといえばいわゆる紙芝居形式、たたクリックしているだけでゴールに辿りつけるタイプのゲームがポピュラーであり、能動的なゲーム性をもった作品は珍しい部類に属しますが、この会社は一貫してただクリックしているだけではクリアできないゲームを製作しています。今回で多少ゲームシステムが変更されたものの、根っこにあるゲームコンセプトは変わっていません。それは『自分で考えて、答えを導きだすこと』です。マニュアルを読めば理解してもらえるんじゃないかと思いますが、ここは選択肢を総あたりして場当たり的にクリアを目指すプレイは推奨していません。そしてまた、きちんと作品を読んで障害を乗り越えていかないと、どこかで詰まってしまうような仕様になっています(それでも過去作品は総当りでもある程度攻略出来てしまえたのですが)。今回は加えて(設定上の理由もあり)バックログが実装されていないので、きちんと自分で記憶を管理する必要があります。たぶんプレイヤーに自分で情報を整理させるためにこういうシステムにしたのではないかと。こんな感じで多分に回りくどさが存在しますので、単純明快な爽快感を求める方とはあまり相性がよくないかもしれません。

 だらよ以降特に顕著になったのではないかと思いますが、シナリオとストーリーはそこまで重要視されていないというか、設定とゲームシステムとは綿密に結びついてはいるものの、物語性はそこまで強くありません。キャラクター性も弱め。ノベルゲームにはストーリー性やキャラクター性を楽しむことを求める、というプレイヤーには物足りないと言わざる得ません。そこに期待すると肩透かしを食らいます。そう前置きしたうえでさらっと説明。ゲームの目的は、ゲーム世界内の解像度が低下していく現象を解消することです。ゲーム世界のキャラクターは自分たちの世界が狭くなってきていることを認識しており、それをなんとかしないといけないと考えていますが、自分たちではその問題全てを解決することができず、外部の協力なしにはどうすることもできない。なので、主人公はプレイヤーの助力を仰ぎつつ、世界の解像度を上げるべく行動することになります。それは単純にクリックのことであったり、ANOSシステムを利用した補助であったりします。つまるところはメタゲーです。ゲームシステムと世界観設定は綿密に繋がりあっていて、おそらくゲームシステムありきのシナリオと思われます。なかなかよくできた設定だと思いますが、このタイトルから少なからず期待されるであろう、ノベルゲーム『というジャンルの』枠組みを変える、というところまでは踏み込んでいないので、そこは少し物足りない感があります。せっかくのメタゲーですし、もっと壮大にゲーム論を語ったり、ゲーム内のEXEが他ノベルゲームプログラムへ影響を与えたり(自分で言っててさすがに凄すぎるし、もはやウィルスかという感じですが)してもよかったと思うんですけど、そこは続編でやるつもりなんでしょうか。



 ここからの情報はネタバレ情報があっても構わない方、もしくは既にゲームをプレイした人向けの情報になりますので、念のため伏せます(といっても、直接的なネタバレはないと思いますが)。まずゲームをプレイしていくにあたって、念頭においておきたいことは、①ANOSには蓄電性があること、②ANOSは放っておくと放電すること、③ANOSはノベルゲームの枠組み内部を移動できないこと、④枠組みを変える能力は両ベクトルへは使えないこと、⑤必ず攻略する方法はあるということ、そして⑥詰まっても泣かないこと。個人的には最後が一番大事ですね。あんまり人のことが言えるほど気が長いわけではありませんけど、解決方法は必ず存在しているので、詰まったら頭を休めたほうがいいです。特に初ANOSの人はなぜかゲームが始まらなくてイライラするかもしれませんが、それはバグではなく仕様ですので、マウスを投げたりキーボードに当たったりするのはやめましょう。ゲームを開始する方法はきちんと存在しています。このゲームはインストールできるファイル内のデータと、それを動かす外部存在の2点だけで完結していますので、取れる選択肢はそこまで多くはないはずです(特に序盤は)。

 また憶えておきたいのが、この作品はプレイヤー≠主人公であり、典型的なRPGやノベルとは多少異なる部分があるということです。どのような場面でも、ゲーム内主人公(≒製作者)にはゲームプレイヤーにしてほしいこと/させたいことがあります。ゲームを進めていくためには、その意図を探り、把握していくことが重要です。そのことを認識しておくと、ゲームを進めていくのが楽になるのではないかと思います。

 そこで多少面倒くさいのが、<E>の問題を解決するためには、何個かの過程を経なければならないケースが非常に多いということですね。つまり、<E>に至るためにはまず<D>の問題を解決しなければならず、<D>をなんとかするために<C>をして、<C>をするために<B>の問題を解決して、……といった感じで、数珠繋ぎ的に遠い問題から順番に解決していく必要があります。どうすればいいのか結論はわかっているのに、そこへたどりつくことがなかなかできず、もどかしい思いをすることがしばしば。目の前にやりたいことがあっても、時には遠回りする必要があるケースも存在しますので、これは駄目だと思ったら一旦立ち止まって全体を俯瞰しなおしてみるのも手です。問題解決するための意識を養うこと、これが攻略への近道だと思います(書いてて何か仕事意識の指南っぽくて嫌ですが)。
 
 以上を踏まえて、ゲームシステムの説明。せっかくなので過去作品とあわせて自分なりの文章で説明しますが、体験版やったほうが早いので、時間があるならググってHPへGO。すなわち、やればわかります。

 今回のメインシステムは大別すると以下三点になります。①ゲーム外を移動するANOSを利用して磁力を調べるシステム、②枠組みを変えるシステム、③画像をレイヤーに保存するシステム(フリッカー)、です。これまでのANOSといえばゲーム内の記憶管理をするためのもので、作品内に出てくる特定のキーワードをフォローしておけばフラグが立ちゲームが進む、というシステムだったのですが、今回は③のレイヤー機能がその役割を担っています。このシステムにはほかの機能も備わっており(詳しいことはネタバレになるので伏せますが)、初めてフリッカーを使って謎を解いた時は非常に興奮しました。毎度のことながら、あの瞬間の爽快感と達成感は素晴らしいものがあります。革新的とまで言うといいすぎですが、ここのメーカーならではの、PCゲームならではの面白い発想だったと思います。

 これまでのANOSシリーズが好きな人は一風異なるゲームデザインに戸惑うかもしれませんが、鍵となる情報を収集しその中から必要な要素を取捨択一して状況を打開する、という基本的なコンセプトは変わっていないためご安心を。ただ、①は最初から使用できるし、②はイベントで能力が開放されるからいいものの、③は自分で能力を開放しなければならないため、どうすればいいか少し悩むかもしれません。どうすればいいのかよくわからない場合は、自分に出来ることを再度洗いなおしてみてください。逆に、これまでいろんなところで詰まってきて、やれることを大体やってきた人なら、はっとなるのではないかと思います。
 


 以下はプレイ後の雑感です。今回のプレイ時間はおおよそ5時間くらいでした。だらよ3のプレイメモを見る限り、クリアまでに1週間くらいかかったようなので、ANOSシリーズの中では最短クリアかもしれません。実際、買って1日でクリアできたことはなかったと思います。このシステムを使っての第一作目だったということもあってか、何をすればよいのかわからない、というようなハマりポイントはほぼなかったのが理由ではないかと。むしろ上記したとおり、何をすればいいのかわかっているのになかなか進めない、ということの方が多かった。具体的には地下室に入れず悩み、水が上手く流れ落ちず悩み、ストッパーの左側が抜けず悩み、エクスカリバーが抜けず悩み、電線が繋がらず悩みました。個人的には、階段が自動で動くことを使ったトリックとか、流れる雲を使ってた謎解きが絶対に来ると思っていたのですが、意外にもなかったため多少拍子抜け。わかんねー!と思わず投げたくなるストレッサーはなかったように思いますので、そういう意味ではシリーズの中でも易しめなのではないかと思います。

 多分これは実験作というか、今後の試金石になる作品だと思うので、もっと洗練されたシステムで製作された続きが出ることを心待ちしたいと思います。また4年待つことにならなければいいのですが……。ちなみに、物語の最後は(ベタですが)ドット絵がCGになって世界が広がる(=強制スクリーンになる)のではないかと踏んでいたため、あの終わり方は少し拍子抜けというか、相変わらず捻くれてるなあと思いました。
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