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泣き虫弱虫諸葛孔明 第参部 感想

 酒見賢一著『泣き虫弱虫諸葛孔明 第参部』の感想です。有名な物語である三国志を著者独特のユーモアでかぶいていく痛快エッセイであり、著者入魂のギャグ小説であります。タイトルどおりシリーズものであり、この作品は三作目にあたる。スタイルとしては、三国志の有名エピソードに逐一ツッコミを入れたり、懐疑的な視点で注釈したり、たまに学術的視点で見解を述べたり、あれこれ揚げ足取ったりしながら楽しんでいく、というような内容です。世間一般で持たれているであろう三国志イメージ像はガンガン壊れていくため、初めて三国志に触れてみようという人にはあまりオススメできない。コーエーから出ているゲームをやったことがあるくらいの知識でもいいので、多少なりとも事前知識があったほうがよいかと。これを読んだせいで(著者のように)純粋に三国志を楽しめなくなった!と言われても責任は負えないのであしからず。

 物語は長阪の戦いで大敗した(よね?と思わず疑問を感じてしまうくらい敗戦ムードを感じられない)劉備一向と孔明が、快進撃を続けようとする曹操軍を止めるべく呉との同盟を結ぶため行動し始めるところからスタート。今回は三国志のエピソードでもかなり有名(だと思う)な赤壁の戦いがメインとなっており、物語のフォーカスは呉軍の中心人物である周喩にあてられています。蜀漢軍が充電期間に入っていることもあり、今回の舞台はほとんどが呉軍メインになります。個人的に今作は劉備一向の破天荒っぷりを楽しむ作品だと思っており、やんちゃが控えられている参部ではハチャメチャ度低めだったため、少し物足りなく感じましたが(まあ張飛・超雲は何気に2対2万みたいな全く信じられない戦いを繰り広げてますが、なにせこの程度の活躍は地味で目立たないのが三国志であります)、周喩をはじめとする呉軍勢のキャラ造詣が面白かったからよしとします。呉と蜀の同盟話のやり取りは関西やくざと関東やくざの縄張り争いみたいな感じで面白かった。今回は周喩に花を持たせてやったのか、孔明の活躍は控えめですが、うさんくさい屁理屈で呉軍を煙にまいたり、あやしげな術で風を呼んだり、いつものように宇宙の話をしたり、変態っぽさは健在であったので十分満足しました。

 それにしても作者は孔明と同じくらい超雲が好きなんじゃなかろうか、と感じられるくらい超雲の活躍が多いですね。孔明に対する(少し歪んでる)愛は疑いようもないとして、超雲もちょっと優遇されすぎなんじゃないかと。他の主要人物には軒並み好感度減少イベントが用意されているのに、超雲はたくさん活躍の場が与えられてるわ、なんだかんだで(そこそこ)好青年だわ、向かうところ敵なしだわでいいとこ取りです。それに比べると周喩の小物臭といったら、見ていて悲しくなってきます。序盤こそまだ呉軍幹部としての威厳とカリスマに溢れているものの、孔明が絡み始めてから気運が急転直下、何かにつけては孔明への殺意に駆られる変態暴走野郎に早代わりしています。美男子で名高い美周郎も著者(と孔明)の手にかかればこんな風になってしまうのか……と何かしみじみしてしまいました。



 孔明への不滅の愛に溢れる妙にひねくれた歴史解釈が面白い三国志エッセイ。真面目でお堅い三国志に疲れている人はぜひ一読を。少し変わった三国志があなたを待っています。
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