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ブラックオクトウバー

 ブラックオクトウバーは、一風変わったフリーのADVです。プレイ時間は2~3時間程度で、ジャンルとしては推理・サスペンスに入るかと。タイトルのゴロ的にセイントオクトーバーを思い出しますが、おそらく関係ありません。
 
 ストーリー。主人公は偏差値の高い全寮制高校に通う生徒です。その学校では一人の生徒の自殺があったばかりなのですが、最近どうやらその生徒はある教師から体罰を受けていたらしいという噂が出回っている。

 ある日、主人公はアングラサイトをみていると、『野猿生へ告ぐ。体罰教師を許すな!』という書き込みと匿名チャットへの誘いを発見する。主人公はあまり体罰には関心がなかったものの、そのチャットに興味本位で参加することになります。そうして、同じような経緯の下で、チャットに5人の生徒たちが集まってくる。

 最初5人は誰が誰なのかわからないという状況を楽しみながら、チャットに夢中になっていました。が、ある日、1人の「体罰が本当にあったのなら火をつける」という不穏な書き込みから、件の暴力教師の部屋から火の手があがる。このチャットがログに残っているということにあせった5人は、サーバーを盗むために、合言葉を決めて集まることにする。そこではじめての顔合わせとなったわけですが、しかしいざ集まってみると、なぜか5人ではなくなぜか6人いた。作中の文章表現を引用しますが、5人しかいない匿名コミュニティのオフに6人集まった、みたいなシチュエーション。なぜ5人ではなく6人なのか、誰が、なぜ火をつけたのか……話の内容としてはこんな感じです。

 作品全体の感想。まず、6人(5人)がサーバーを盗もうとする理由が少し弱いです。客観的にみると、このシチュエーションはそこまで危惧するものではないですし、冷静に考えれば、どちらかといえば火事場泥棒のほうが罪が重いかと思います。もちろん、ログを読まれたくないという気持ちはわかりますし、泥棒は犯人がばれなければ罪にはならないわけですが、主人公が行動するには少し説得力が足りない。

 いざ追い詰められれば人はどういう行動をとるか予想しづらいものですし、ここは学生ならではの経験の足りなさといいますか、若さゆえの勢いだったという風にみれば、なんとかフィクションとして容認できる範囲なんですが、もうちょっと理由(というか言い訳)は練ってもよかったのではないかと

 あと、この作品の惜しい点の一つは、導入部分の魅力が足りないところです。私の場合、ノベル系は5~10分くらい読んで面白くなかったら切ることが多いんですが(具体的な事前情報がある場合は別として)、今作はぎりぎりそのラインに入るか入らないかくらい。チャットが始まるまで、あまり面白いとは思いませんでした。

 逆によかった点は、火の手があがり、ブラックオクトウバー事件(一連の事件の名称)が起こってから、加速度的に面白くなっていたところです。誰が誰なのか探っているシーンには独特の緊迫感があり◎。また、ほかの視点が出てきてからさらに面白くなりました。最初、主人公の視点だけで進むと思っていたこともありますが、こういうやり方は王道ながらもぐいぐいと引き込まれます。ただ、みんないい性格をしたやつばかりのこともあってか、あっさり裏事情が見えてしまうのはとてももったいなかった。疑心暗鬼になって他人を疑ったりするシーンがないのも物足りなかったし、ここはもっと引っ張ってほしかったですね。

 あと、今作は会話シーンが少なめ、ほぼ主人公の独白メインで進んでいくんですが、その分回想シーンでの掛け合いがお馬鹿でなかなか楽しかったのがいいですね。みんな、何も考えていない感じがいい。もっとこういう場面は多くてもよかったと思います。

 以下は全キャラの感想・または印象です。作中で全てのHNが明言されているわけではないため、下記には消去法で代入するとこうなるのではないかという予想を含んでいます。ご了承ください。

 主人公。辻浦丈。HN「果実酒」。一人称があるキャラの中では特に思弁的で、他人と話すのが苦手。事件には直接的な関わりがないため、客観的な立場にあり、かなり冷静に物事を考えています。すぐそれぞれの正体や事件の真相がわかってしまうため、あまり意味のない描写だったと思っているのですが、主人公が事件直後に黙々と自問自答を繰り返し、ひたすら仮定による独白を繰り返す場面があります。主人公が理性的な人間であることを描写しようとしたのかもしれませんが、結構偏執的で少し引きました。果てしてこのシーンは必要だったのかどうか、少し疑問です。

 奈良こずえ。HN「あじさい」。事件の当事者。教師に弱みを握られて脅されています。それをなんとかしようと瑞稀・海江田と一緒にチャットを立ち上げます。その性格はなかなかの天然悪女っぷり。彼女を評するとしたら、いろいろな意味で「かわいそうな女」、ですかね。「被害者だから」という観点でぎりぎり許されている部分がたくさんあります。女性視点、男性視点によって、特に受け取り方が変わりそうなキャラ。ライターが意図的にやってるのかどうなのかわかりませんが、彼女の一人称視点での独白ではいろいろと語られていないところがあり、自分に都合の悪いことは忘れてしまう人物ではないかと。展開上、そのほうがよかったとはいえ、最初主人公に惹かれていたはずなのに、あっさり海江田と付き合ってしまうあたり、なかなかあざとい人物です。

 七田瑞稀。HN「アダム」。事件の当事者。こずえと一定以上の付き合いがあり、脅されている環境から助けようとしてチャットを立ち上げた人物。登場キャラの中でも、特にさっぱりした性格のキャラかと。こずえに思いを寄せていたにも関わらず、復讐に拘るこずえにさっさと見切りをつけて、途中から主人公に乗り換えてしまうあたり、なかなかに冷淡です。こういう人間は結構怖いですね。いちおう、掲示板内ではまとめ役ですが、思慮深さが足りず少し力不足感が否めない。

 武田耕作。HN「超紳士M」。お調子者のムードメーカー。一人称視点がない人物なので、かなりの部分が不透明で、何を考えていたのか最後までわからない人物です。ただ単にノリのいいキャラだったってことかもしれないですが、その辺はもう少し描写してほしかった。

 児島竜太。HN「Nimitz」。神経質かつナイーブなキャラ。本編で登場するキャラの中で、もっとも「イイやつ」じゃないですかね。ただ、あまり空気を読まないせいで、そのよさが伝わりにくい。現実世界にいたら一番損をするというか、友達ができないタイプ(実際、作中ではそのような描写があります)。そういえば、彼も一人称視点がありませんが、もし内面を想像するならば、彼もかなり思弁的な人間なのではないかと思われます。

 海江田昇。唯一HNなし。事件の当事者。チャットの管理人で、システムを構築した人物。描写が少なくてあまりどういうキャラかわかりませんでしたが、最後に良い目を見れたし、本人としても本望じゃないでしょうか。あの展開だと割とすぐに振られてしまう気がしますが、それはそれということで。

 以上。最後の終わり方がとてもそっけなく、あまりにも唐突に終了するところはかなり納得できません。個人的にはここからだろう!と思います。まだまだ2転3転できたでしょうし、正直かなり物足りない部分があります。奈良こずえというカードがある限り、話はいくらでも膨らませられたと思うのですが……。題材はかなりよかったので、面白かったと同時に、強くもったいないと思いました。
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SAIN455

Author:SAIN455
漫画、ラノベ、ゲームなどのネタバレ感想記事を書いています。ネタがあるときはコラムみたいなものも書きます。あとアマゾンアソシエイトに参加してます。以下定型文。「このブログはAmazon.co.jpを宣伝しリンクすることによってサイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイトプログラムである、Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です。」

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