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俺がお嬢様学校に「庶民サンプル」として拉致られた件 1巻~7.5巻 感想

七月隆文著『俺がお嬢様学校に「庶民サンプル」として拉致られた件』の感想です。ある時期を境に特にラノベ界隈で爆発的に増加した「タイトルがストーリー概要を説明しきっちゃってる」系の作品。この手の作品は何となく内容が薄っぺらそうな印象があって、仮に評判がよかったとしてもタイトルで作品避けしがちだったのですが、「面白いからタイトル避けしないで一度読んでみてほしい」という趣旨の感想をみかけ、それだったら一度読んでみるかと挑戦してみました。手をつけてみるまでは地雷である可能性を捨てきれず、8割方楽しめないことを覚悟していましたが、いざ読んでみればそんな懸念を吹き飛ばせるくらい面白い作品であり、予想以上の面白さについコミカライズ版も全巻そろえてしまうくらい、お気に入りの作品になってしまいました。

1巻のストーリーはまさにタイトルそのまま、若干ボケの入っている太ももフェチの鈍感主人公がごく普通の学園生活を送っていたところ、ある日いきなり襲来してきた黒服に拉致られて地図に載っていないお嬢様学校に連行されてしまい、学園唯一の庶民として箱入りお嬢様達に現実社会の空気を伝える役目を与えられる、というような内容。常識で捉えると設定だけで頭が痛くなってきますので、そこはさらっと流してしまうのが吉。「それって犯罪じゃね?」とか深く真面目に考えてはいけません。

一般庶民が上流階級の社会に足を踏み込んでいくという展開はハヤテのごとく!と多少似ていますが、庶民サンプルもあれのように主人公の意思をシカトしてなし崩し的に物語がスタートしていきます。客観的に見るとあまり気分のいい展開とは言えませんが、この主人公がまたいい感じにふてぶてしいというか、物語の主人公らしく細かいことを気にしない鈍感属性であることに加えて、学園のお嬢様たちは現実社会ではありえないくらいの善人ばかりであることもあり、すぐに学園生活に馴染んでいってしまうので、あまり嫌な気分にならずに済みます。

今作は現在7.5巻まで発売されていますが、シリーズ全体のコンセプトは「鈍感主人公が世間から隔離されているお嬢様達と庶民文化を通じて交流を重ねて仲を深めていく」という王道のハーレム展開であり、1巻から最新刊までその方向性にブレはありません。主人公鈍感系のテンプレ作品といったらそれまでかもしれませんが、物語の空気と流れに逆らわず身を任せることが出来れば脳みそを空っぽにして楽しむことができます(褒めてます)。はがないや俺修羅といった作品と同様に、主に掛け合いを楽しむタイプの作品ですが、かなりストーリーのテンポもよく、設定を出し惜しみせず投下し、サクサク進んでいくのもよきところの一つ。また過激なエロ方向には流れてはいかず、微エロで留まっているのは実際奥ゆかしくて◎。UFOキャッチャーのくだりとか、社交ダンスのくだりとか、くだらなすぎて最高によい。このテキストでニヤニヤさせられる感じは、学生時代によく読んでいた二次創作のハーレム系SS(「」の前にキャラ名が書いてあったり、キャラの台詞ごとにフォントが違ったりする)と雰囲気がよく似ています。どのキャラにも均等に会話イベントが設けられていたり、主人公にベタぼれだったり、そういうところが非常にそっくり。私はいま、あれのオリジナルキャラ版を楽しんでいるのだなと気付いたら、なんだかとても腑に落ちました。

メインヒロインは、①嘘や隠し事の出来ないぼっち系ツンピュアお嬢様、②クラスでの人望豊かなおっとり系ですわ口調のお嬢様、③学園一の天才で何かにひらめくと服を抜き出す無口系ロリお嬢様、④男が苦手でいつも帯刀している格ゲーキャラっぽい可愛いもの好きのお嬢様、⑤主人公に何かと絡んでくる声優の幼馴染、⑥学園での主人公の世話役であるクーデレ系メイドの計6人。どのキャラも可愛いですが、頭一つ飛びぬけているのは③の白亜ですかね。私ロリコンじゃないですけど、ぬいぐるみに主人公の名前をつけたり、なぞなぞに答えられずちょっと拗ねたりする姿などは大変いじらしく、上手くツボを押さえています。あとはラボ訪問のエピソードとピクニックに行こうとするエピソードが印象的。



テキストが1センテンスごとに改行されているため、正直なところ読み応えという点では物足りない部分があります。ぱらぱらとめくってみても紙面がスカスカで、1冊あたり1時間弱で読み終わってしまうことを思うとコスパは悪め。ですが、エンタメ性については十分に備わっており、特に気分転換をするには最適な作品でした。ストーリーの独創性はあまりなく、キャラクターの記号性も強めなので、受け付けない人は受け付けないと思いますが、オタク文化に理解があってそれなりに寛容であれば楽しめるかと。私はこの作品を読んで疲れた心が癒されたので、十分元が取れたと思いましたが、適度に満たされている人にとっては地雷になる危険性も高いです。そこは否定しきれないので、自分の環境と精神状態を考慮して読まれることをオススメします。あとはコミカライズ版もたいへん素晴らしい出来ですので、合うかどうか不安な方は試しにそちらから手を出してみるのもありかと。
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電気サーカス 感想

 唐辺葉介著『電気サーカス』の感想です。、以下の文章には本編のネタバレを多分に含みますので、作品未読の方は十分にご注意ください。

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ゴールデンタイム 7巻 感想

 現在テレビアニメが絶賛放送中の『ゴールデンタイム』の感想です。著者は竹宮ゆゆこ。

 アニメはようやく3巻前半くらいまで消化されたところですが、この感想ではまだ未放送の内容についてに全力でネタバレしています。これは既読者向けの感想ですので、原作未読の方はご注意ください。
(あと、この内容はかなりの憶測が混じっており、今後補填される情報次第では同じ文章を違う風に読むことになるかもしれませんので、現時点ではあまり鵜呑みにしないでいただけると幸いです。展開当てを目的としているわけではありませんので、その点もご理解ください)

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総合タワーリシチ 感想

 あらた伊里著『総合タワーリシチ』の感想です。雑誌の廃刊と合わせて、不本意な形での完結となった不遇の名作。著者については、この作品を偶然手に取るまで名前を知りませんでしたが、今では同人誌まで追いかけるようになってしまったくらいお気に入りです。この作品の続きを同人誌で描いてくれたらなァ……と願っていますが、どうやらそのつもりはないようなので心底残念。タイトルにはなんでか酒の名前がついてますが、単に酒好きだからっぽいですね、これは。それが原因なのかわかりませんが、つい最近まで入院していたようなので、お体は大事にしていただきたいものです。

 ストーリー。究極の負けず嫌いである主人公が、個性溢れる天才たちと一緒に馬鹿騒ぎしたりするハイテンション学園漫画。大雑把にまとめてしまえば、自分以外の天才と出会った主人公が、他者との関わり合いを経て少しずつ変わっていき、最後には得難い繋がりを手に入れる、というもの。一応百合漫画なので、メインキャラは女の子だけ。組み合わせも女×女オンリー。そのおかげもあるのか、どこを読んでもあんまり説教臭くならないのが好印象です。お話の設定的にはそこまで際立つところがありませんが、作品の柱となっているキャラクターと人間関係の描かれ方はかなり魅力的に仕上がっています。詳細は後述。イラストに関してはやたらと変顔が多く、特に変顔になる頻度が高いのが主人公の神奈。ほとんどのコマで顔が崩れていますが……それとは裏腹に、彼女は数ある女性主人公の中でも頭一つ抜けて魅力的なキャラでしたよ。あとは背景が見事なくらいスカスカなのですが、この漫画の見所はそこではないこともあり、私はそこまで気になりませんでしたね。それこそ丹念に描いている漫画家の方には申し訳なくなるくらい、そこを重要視していないので……。「多分アシスタントとかいなかったんだろうなあ」くらいの感想で済ませてしまいましたが、ここまで背景が真っ白だと気になる人もいそうです。

 メインキャラについて、それぞれ紹介と感想。
 霧上神奈。主人公です。とりあえず、個性溢れるキャラが多数登場する今作の中でもダントツで可愛いです。3巻ではついに表紙を飾りましたが、この表情が可愛いのなんのって。なにかやっかいなことが起こった時、ちょっと困った顔をしつつも、なんだかんだで「しょうがないなー」って言ってくれそうな表情が溜まりません。彼女は自分で自分を「究極の負けず嫌い」と評するくらいなので、天上天下唯我独尊キャラなんだろうなーと思っていたら、思ってた以上に包容力があり、困っている人間から助けを求められたら、ぶつくさ言いつつも最終的には手を差し伸べてしまう、意外と面倒見のいい性格だったりします。周囲はそのことに気づいているのに、自分はそのことに自覚的ではなく、自分の短気なところは治さないと、と認識しているのが面白い。いっつも自己分析しているのに、他人が自分をどう見ているか、ということに気づけないんですね、彼女は。自分はこれこれこういうやつだ!と思っているほどには、彼女は嫌な奴ではありません。このギャップがとてもいい。また、かなり血の気が多く、すぐに手が出てしまう喧嘩っぱやい性格であるのとは裏腹に、周囲と自分の違いに悩む女の子らしい一面も持ち合わせているのが歳相応で可愛らしい。

おおっととと いけないいけない どうして私ってこう短気なのかしら 高校に上がるまではこんなにも怒りっぽくなかったと思うんだけど…
ああ そうか 私が今までまともに人と関わってこなかったからだわ
真正面から他人にぶつかるってのはこんなに苦労することなのね~


 ここでその苦労を決して「嫌だ」とは思っていないあたり、彼女の根っこのよさが見て取れますね。
 あとは変顔が可愛い、超カワイイ!悠に「…私とキス、とかそれ以上がしたい?って話よ…」と言い出す直前で照れ悶えている表情とか、めっちゃ可愛いかった。ああ……もっと神奈ちゃんの成長していく様を見ていたかったなあ……。



 羽座岡悠。ヒロイン枠です、多分。当初の描かれ方は、神奈ちゃんより勉強ができて、自分の成績に興味のないという典型的な無欲系天才キャラでしたが、それも時間の経過とともにボロが出てきます。無口で感情に乏しい無表情なキャラかと思わせておいて、実際のところは単に自己表現が苦手で言葉数が少ないだけの普通の女の子であり、意外とその内面は雄弁。しかも実はかなりのマイペースで我侭かつ甘えんぼ、という妹気質な性格をしています。や、実際に妹キャラなんですけども。

わたしブタが好き


 相手が既に終わったと思っている話題でも、まったく気にせず発言してしまうマイペース感がとても好き。



 日下部ちはや。第一印象からの変化が一番大きいキャラクターでした。彼女には美術の才能があるかわりに、気分屋なところが多分にあって、自分の望むまま求めるままに、好き勝手やって生きているように見えます。自由奔放、縦横無尽。一見した限りではそんな評価が相応しい、勝手気ままに生きている脳天気なアホなのかと思っていましたが、意外なことに内面はかなりナイーブであり、自分で相手を傷つけておいて、その言葉に苦しんでしまうという心の脆さを持っています。

いかん…ケンカしたのなんて久しぶりすぎてジワジワとダメージが…


 もちろん彼女が我侭なことに違いはないのですが、このアンバランスな描写があればこそ、彼女は光っていたと思います。



 時任都。スポーツ全般に才能があり、ちはやの傍で笑っていることが多いキャラクターです。ちはやを見守る保護者的な立ち位置にいるのかと思いきや、意外とものぐさなところがあり、ところどころでは悠とどっこいどっこいの不器用さを発揮します。すぐ物を壊したり、裁縫や料理といった家庭的なことが壊滅的に苦手だったり、大食いだったり、そして何よりよく眠る。比較するとむしろちはやの方がしっかりしてるところもある、という残念な子であり、彼女はそのことをしっかりと自覚しています。

わかんないならね わかるまできいたらいいんだよ


 そんな彼女だからこそ、直感的に大事なことがわかっているではないかと。



 小間物屋リカ。音楽の才能があり、繊細かつ儚げな雰囲気を持つ薄幸の美少女……ポジションっぽいです、見た目は。しかしながらその実体は正反対。おしとやかで落ち着きのありそうなお嬢様系の外面をしていますが、意外と感情的なところがあり、メインキャラクターの中でも一番毒舌で口が悪かったりします。

暁にとっては…
忘れちゃってもいいような そんなどうでもいいことだったのかもしれないけど
私にとってはそうじゃないの!!
そんな簡単に忘れられるわけないだろ!!


 しかし、だからこそ彼女は、言いたいことがあれば笑って誤魔化したりせず、たとえ相手を傷つけるかもしれなくても、きっちりと伝えることができたのだと思います。
 あと、感情が高ぶると語尾が「~だろ!!」と男言葉っぽくなるところが少し背伸びしてるようで可愛かったり。



 穂高暁。家庭科が得意なボーイッシュキャラで、みんなを見守るお母さん兼お父さんポジションに位置しています。飄々としていて他のキャラよりは余裕があるように見えるので、少しだけ大人視点にある人物として描かれるのかと思っていましたが、意外と彼女は自分の軽さに悩んでおり、今を維持することに必死です。思った以上にその性格は歳相応で、誰よりも順風満帆で悠々自適とした人生を送っている、というわけではありません。

いつだって私は他人とまっすぐ向き合うことを避けて
心地いい距離を保つことに必死で
誰にも嫌われたくないし誰も嫌いたくない
そう思ってきた
でも彼女は違う
まっすぐ私を見て私と向き合おうとする
どうしたらいいのか 答えはわかっているはずなのに


 まっすぐに感情をぶつけるリカと、それを羨む暁の関係が上手くいったのは必然なのかな、と。



 軽くまとめ。ここまで意図的に(しつこいくらい)各キャラ紹介で「意外」という表現を使ってきましたが、今作は外見、外面、第一印象とのギャップ、意外性を見せる作品です。外から見える記号性と、実際に描かれるその人の内面には、結構な差異があります。初期に抱いていた印象は大体覆されていますし、そしてそれは全てよい方向に修正されていく。読み進めるごとに「ああ、実はこいつはこういう奴だったんだ」とわかってくる。この作品は別段、特別なことを書いているわけではありませんが、非現実的な要素(ここでいうのは魔法等の要素)なしに、きっちりと説得力を用意できているのは、著者の筆力のたまものだと思います。

 この作品は神奈と悠が付き合ったところで終わりますが、恐らくまだまだ先の構想もあったのでしょう。生徒会のメンバーはもっと掘り下げるつもりだったのでしょうし、付き合った後の変化も考えていたのでは。それを考えてしまうと、(表面上は上手く終わったとはいえ)未だに完結してしまったことは残念で仕方ありません。現在、新たに企画を作成しているようなので、今度は作者の描きたいところまで描ききればいいな……と願っています。

蒼穹のファフナー ADOLESCENCE 感想

 蒼穹のファフナー ADOLESCENCEの感想です。著者は冲方丁。2005年に電撃文庫で発売された作品に加筆修正がされたもので、今年放映される(らしい)EXODUSに合わせて再販されたものと思われます。

 今作はアニメをそのまま小説化させたものではなく、アニメ版と世界観を共通させつつも、キャラ設定・ストーリー展開を再構成した内容のため(企画段階の脚本がこうだったという可能性もありますが)、普通のノベライズとは多少毛色が異なります。翔子や甲洋については原作よりも深く掘り下げられているのに対し、カノンや道生といった人類軍側のキャラは全く登場しませんし、剣司や衛、咲良といった面々も活躍しません。一騎が島を出ようとする9~10話くらいで話が終わってしまうため、仕方ないっちゃ仕方ないのですが、多くの方が抱かれるであろう「アニメ版と同じ内容を小説でもう一度!」という欲求に応えられる代物ではないかと。ただその代わりといってはなんですが、この再販版には前日譚にあたるRIGHT OF LEFTのシナリオがまるっと載せられているので、そちらで当時の思い出をプレイバックさせてみるのも一興でしょう。テレビアニメ版の視聴者で、かつ電撃版を未読の方なら手に取ってみるのもありかと。

 電撃版はもう手放してしまったので、詳細な新旧の対照はできませんでしたが、そこまでの加筆はされていなかったような気がします。これは薄々わかっていたことなので、そこまでがっかりしませんでしたが、どうせ再販するのなら、これを機会に作り直してほしかったなあ……と思います。

 発売当時に読んでいたはずなので、恐らく8年振りの再読となります。意外と記憶に残っているもので、あまり目新しいところはなかったのですが、これまた数年ぶりにRIGHT OF LEFTのシナリオを眺めてみると、こちらには思うところがありました。視聴した当時はシナリオに後付感を強く感じてしまい、あまり本編そのものを楽しめなかったのですが……。時間が経てば印象も変わる、ってところでしょうか。
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Author:SAIN455

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